座学においては、長岡技術科学大学 准教授であり、NPO法人 中越防災フロンティア 代表でもあられます、上村靖司氏による講義。
まずは雪害の現状についての理解を深めます。
[北海道における雪による被害状況]
今年度 |
H24年度 |
H23年度 |
|
死亡 |
8 |
33 |
31 |
重傷 |
78 |
164 |
203 |
軽傷 |
94 |
318 |
260 |
合計 |
180 |
515 |
494 |
*1年間に500人前後の被害が出るというのは、これが一時的に起きるとしたら大きな災害規模になる。これが日々少しずつ単発のニュースになるから新聞の片隅に取り上げられるだけの状況になり、安全確保、安全推進に対する動機づけにならないのではないだろうか。しかし、現実問題として、年間(実質僅か2~3ヶ月程度)これだけの人が被害にあっていることから、決して人ごとではないと思われます。
[北海道における雪による被害状況]
今年度 |
割合 |
|
屋根転落 |
84 |
47% |
ハシゴ転落 |
39 |
22% |
落氷雪 |
19 |
11% |
除雪機 |
5 |
3% |
その他 |
33 |
18% |
合計 |
180 |
*被害の約半分が屋根からの転落事故。本年度、わずか1月22日までの間に84件の事故が報告されており、これを防止することができれば、被害は大きく減らすことができる。
講義の中で、この多くは高齢者の被害であること。また、過去の被災年齢の推移として、現在の高齢者の方々の年代が最も被害が多い。例えば、現在80歳の人であれば、10年前の事故状況は70歳代が一番多く、20年前であれば60歳代、30年前であれば、50歳代が最も事故が多いという状況。
これはいつまで経っても除雪の担い手が世代交代していないことを表している。
ヘタをすると、今の30歳代の人で雪国に住んでいながら一度も除雪をした事がなく、70歳後半の親がその担い手になっているということも決して少ない事例ではない。
実はこのような状況が見える様です。
この担い手の世代交代というのは、どの世界でも大問題でありますが、除雪に関してはその状況が更に深刻であると言っても良いと思います。
この座学の後は、命綱をつけるための実技。
今回はロープワークを2種類と安全対の活用方法、そして、それを固定するアンカーを応急で雪を使用する方法のレクチャー。
この間、午前中に思ったより早く除雪作業が進行してしまっていたため、地域町会の役員の方々が午後からの作業場所を計画してくれていたのですが、結果として、現在の雪の量が少なかったこと、何より、参加者が多く、その進捗が異様に早かったこと等々の影響で、午後の除雪ボランティア作業は中止に。
結果としては、参加者に多大なる達成感が蔓延する。という状況には至りませんでしたが、それでも参加メンバーには多くの喜びと充実感が漂っていました。
最後に集合写真を撮って、メープルロッジの温泉に移動となるわけですが、そこで今回CSRの一環として参加されていた企業の方々が集合写真を撮っていらっしゃったのでご紹介させていただきます。
日新火災さんの18名です(勝手に掲載してすみません)。
車中の自己紹介でも企業のCSRとして参加という旨はお話されておりましたが、どなたも真剣に前向きに取り組む姿勢に感銘を受けました。
その内、1名の方のお話を伺ったところでは、会社として火災保険を取り扱っている中で、岩見沢近郊の雪害があまりにも多く、その状況をこの目で確認したいという意思と、自分たちが除雪ボランティアをすることにより、その被害が一軒でも少なくなれば、その活動には大いに意義がある。というような事を仰っておりました。
本当にその通りだと感じた次第で、まさしく(2)で記載した[win-win]の関係が構築されており、今後における地域ボランティアの可能性を感じることとなりました。
最後に、メープルロッジの温泉に入り、講師であった上村氏とゆっくりとお話をさせていただきました。
自身も大学准教授の傍らNPO法人を主宰し、越後雪かき道場の代表・筆頭師範代としてご活躍されているだけに、地域に密着した「本物の話し」を沢山伺うことができましたのがありがたかったです。
その中で最も印象に残ったのが、「支援力」に対する「受援力」という言葉。
支援したいと思う人がいても、地域がそれを受ける力がなければそれは実現されない。
今回の美流渡にしても、この様に38名のボランティアが訪れても、それをさばくために地域の11町会が連携して、アテンドをする活動は地域で担わなければならない。今回も町会連絡協議会を構成する各町会の会長さんを中心にその役割を担っていただいておりましたが、この体制がなければボランティアを受け入れることもできないのです。
しかし、通常はそういう力を入れるにも覚悟が必要で簡単にはいかない。
それを邪魔するものが、
①保守性ー変化を嫌う風潮
②閉鎖性ーよそ者を拒む空気
③依存性-行政などが行うもの!という固定観念が強い
これらの3つを取り除く事(覚悟)が、受援力の向上に繋がる。
というお話でした。
過疎地域に沢山のボランティアが日常的に関わるようになると、若い定住者も増えてくる可能性がある。そんなところに地域過疎と高齢化を含む鍵もあるのかもしれません。
今回はこのように、除雪ボランティアという活動の中から、過疎、高齢化に陥ってしまっている地域をどうやって支援していくかという流れを参考に、今後の地域課題全体を解決するための小さな糸口を見たような期がします。
難しい問題が山積しています。
この美流渡の現状は、近い将来の地方都市の姿であると感じています。だからこそ、どのような将来像を目指すのか。そんな事を視野にいれながら、議論と支援の輪を拡げていくことが何より重要だと感じる次第です。
*最後の画像は(右)今回のキーマンである小西氏、(左)は昨年の同除雪ボランティアで知り合って意気投合したI氏。
こういうボランティア活動は、沢山の人と人との繋がりを産み、それがまた更なるパワーになることを感じます。(でも、何よりも大変なのは運営する側のエネルギーなのですよね・・。その力強さに敬意を表します)
また機会があれば、こういう取り組みにもアンテナを張っていきたいと思います。
正確にニュアンスまで伝わる
レポート有難う御座います
この思いをより多くの方に
伝えたいですね
E班リーダー土本
つちもとさん
コメントありがとうございます。
言葉足らずで恐縮なのですが、大体の思いは感じていただけるかと思います。今後とも何卒宜しくお願いいたします。