〈令和3年9月6日投稿〉
昨年の第3回定例会における一般質問議事録の転載を失念しておりましたので、掲載させていただきます。
○議員(平野義文君)〔登壇〕 通告に従い一般質問をさせていただきます。
まず、一つ目は、人口減少社会への対応について、現在の人口推移とその対応についてお伺いをいたします。
岩見沢市の人口は8月末で7万9,726人となっています。この人口推移として、平成30年度に改訂された国立社会保障・人口問題研究所の推計値では、岩見沢市の本年10月時点での人口予測が7万8,591人となっており、その推計と比較すると減少幅がかなり緩やかになっていることが分かります。これは、今までの市の施策や、市民の皆様の様々な取組が功を奏していると言ってよいのではないかと思われますが、現在の人口推移について、市長はどのような見解を持ち、今後どのような見通しを持っておられるかお聞かせください。
また、第2期岩見沢市総合戦略の2014年から4年間の人口動態分析によると、特に14歳以下の子供と、その親世代に相当する30代での改善が顕著になっていることから、より一層の取組をもって選ばれる岩見沢として認知されていくことが重要だと考えています。そのような中、先日も報道等で話題となりましたが、内閣府による地域少子化対策重点推進交付金のうち、結婚新生活支援事業が来年度から拡大する方針が固まったとのことであります。この事業は、現時点においては、対象者が夫婦ともに34歳以下、世帯年収が480万円未満などと対象が制限され、効果が限定的と思われること、また補助率も2分の1であるためか、今年度、北海道内においては5市15町4村のみの実施で、岩見沢市も実施はしておりませんが、今後の展開として、対象年齢及び世帯年収も拡大される方針であるとのことから、市としてどのような考えを持っておられるかお聞かせください。
また、中長期的に見ても、この世代の社会動態が改善されるのは、岩見沢市全体に波及する好循環が生じる可能性があり、大変心強いことでもあります。この現在好転している強みとなるものをより効果的に発展することが重要と考える中、市としても国の動向等を注視しながら効果的な施策の検討を続けているものと認識をしています。そこで、改めてこの世代に対し、より効果的な事業展開を行うべく検討されていることがあればお聞かせください。
また、14歳以下の子供、その親世代に相当する30代での改善が進んでいると評価をされる一方、20代の転出超過傾向に改善が見られないことから、対策が急務であるとされておりますが、現在、その改善に向けた施策について、どのような検討と見通しを持っておられるかお聞かせください。
次に、公共施設の状況と今後についてお伺いをいたします。
日本全体の状況を見ると、地方都市において人口減少の進行を抑制することは必須であるが、人口減少を止めるということは非常に困難なことであると認識をしています。よって、市長もおっしゃるように積極戦略と調整戦略とのバランスをうまく取りながら、積極的な調整戦略をいかに進めていくかが重要との見解に同意をするところであり、私自身、選ばれる岩見沢となるための施策と、今後の人口減少社会に的確に対応すべく、極力痛み少なくまちを縮める準備と、そして覚悟が必要であると考えています。
その調整の最たるものとして、公共施設をいかに適正な規模としていくかが問われていると認識をしています。この公共施設には建築物系や道路、橋梁、上下水道等のインフラ系があり、それは膨大な量となります。改めて平成28年に策定された岩見沢市公共施設等総合管理計画を見れば、建築物系の公共施設だけでも415施設、1,056棟、延べ床面積62万平方メートル、人口1人当たり面積では5.62平方メートルと近隣類似自治体平均の3.84平方メートルと比較し約30%多い状況となっています。これを今後30年間で約19万平方メートル、30%ほど削減をしていくことが目標として掲げられておりますが、この計画が策定された平成28年12月から4年近くが経過している状況下、公共施設の再編等の過渡期であり、なおかつ人口減少が進行していることから、今現在における施設数また延べ床面積、人口1人当たり面積はどのようになってるかお聞かせください。
今後、再編を進めていくに当たり、岩見沢市公共施設再編基本計画が策定をされています。この内容について、現在は第1期計画の前期と位置づけた中で膨大なデータをまとめ、評価を行い、各方向性を提示されており、その努力に敬意を表すところでもあります。
次に、第1期の後期、第2期、第3期と30年間にわたり計画が進行していくわけでありますが、今後の市財政の長期健全性を重視すると、適切なタイミングで少しでも早い再編を進めていくことが必要であります。しかしながら、移転・統合・廃止・廃止または地元への譲渡を視野に協議を行うもの等については、やはりそれぞれに地域の方や事業を営んでいる方々などが存在し、その調整には、全体の理論と個々の事情のはざまの中で様々に難航することが予想をされています。よって、今後、おのおのの施設において具体的な進行、調整や提案、交渉等がなされていくものと思いますが、その際、やはりその当事者となられる方々との丁寧な議論が必要であることは言うまでもありませんが、それらの対応について、どのような配慮が必要と考えておられるか、市長の見解をお聞かせください。
また、今後の充当可能財源による更新費用の不足も懸念をされております。老朽化の進行により大規模修繕、更新費用が増大する一方で、人口減少に伴う市税等の減少により、充当可能財源の確保が困難になることが推測をされており、普通会計と公営企業会計を合わせると、今後45年間で6,500億円が必要とされ、年間にならすと145億円が必要とされています。しかしながら、現在充当可能と推測されるのは約145億円のうち約63億円の試算であるがゆえ、毎年約82億円もの不足が生じることとなるなど、非常に困難な予測がなされております。これまでも市の広報やウェブサイト等でこれらの情報が発信をされておりますが、今後は、今まで以上に市民共通の課題として認知をされる必要性を感じていることから、より積極的な情報発信を行うことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
また、この懸念に関しては、長期間を見据えたものとなることから、ぜひ、現在の小中学生や高校生等にも授業などを通した情報提供を行い、共に問題意識を共有するなどの施策も必要と思われますが、市長の見解をお聞かせください。
次に、ICT環境について質問をさせていただきます。
市長も常々、Society5.0への対応を述べておられますが、まさしくこれからの時代において、持続可能な地域社会の実現に向け、有効な環境が構築されてくるものと期待をしています。既に、岩見沢市では、他地域に先駆け、種々産学官連携を実現し、5Gや最先端のローカル5Gの活用を含め、自他ともに認めるICT農業の先進性のみならず、農・食・健康・環境等の連動を掲げ、さらなる進化に取り組まれている状況です。これは関係各位の先進性や努力を含め、大いに評価をされるものであります。また、それぞれの最先端技術の追求と並行し、今後、市内広域のスマート化を図るために欠かせないブロードバンド環境の整備としても、光ファイバーの増強整備への努力、FWAサービスや地域BWAの構築等、いち早い取組の下、条件不利地域のデジタルデバイド対策が進められていると認識をしています。
そこでお伺いをいたしますが、今現在、一般通信事業者のみならずFWAサービスや地域BWAを含めると、全市におけるブロードバンド環境の世帯カバー率はどのような状況になっておられるでしょうか。また、実際にFWAやBWAが活用できるエリアに居住している方々において、現在の世帯加入状況はどのような感じか、また、加入したいと考えているが、様々な事情で利用を見合わせている方などの状況を把握されているかどうか。把握されているとしたら、どのような傾向があるのかお聞かせください。
また、通信速度の面において、FWAでは規格上の最大速度も決して速くない状況であり、BWAにおいても現在の利用者の声では、残念ながらその速度に幅がある状況と聞いています。今後のSociety5.0の実現に向け、セルフヘルスケアや障害者支援、このコロナ禍において一般化してきたテレワークやオンライン授業など、様々に環境が変化していくと考えますが、現在の通信環境はベストエフォート型が主体ということもあり、この弊害として利用者の増加や技術の高度化等でデータ量が増えるに従い、通信速度の低下が避けられないのではないかと考えています。その際、設備の増強等も検討されることと思いますが、公設民営型である地域BWAなどの場合は、市の負担も相応に発生するのではないかと想像をいたします。今後のICT農業のより一層の普及、また他の利活用の推進などもあり、活用が進行するほど、このような懸念が発生し得るのではないかと思われますが、どのような見解を持たれているか、お聞かせください。
以上、一般質問とさせていただきます。
○議長(篠原藤雄君) 市長。
○市長(松野 哲君)〔登壇〕 平野議員の一般質問にお答えをいたします。
初めに、人口減少社会への対応についてのご質問でございます。
当市における近年の人口の推移につきましては、昨年度に行った第1期総合戦略の検証の中で、14歳以下の子供とその親世代に相当する30歳代における社会動態に顕著な改善が見られるなど、政策の効果が現れる一方、全国と同様に出生率の改善が見られず、少子化に伴う自然減の影響をより大きく受けているものと総括したところでございます。
今後の見通しとしましては、一定程度の人口減少が避けられないことを前提とした考え方へと転換をすべきであり、地域の活力や経済規模を維持・向上させていく、積極的な調整戦略が、より重要性を増してくるものと考えております。
次に、結婚新生活支援事業のお尋ねでございます。
この事業は、結婚に伴う経済的負担を軽減することにより、若い世代の結婚を後押しし、出生率の改善等につなげることを目的としております。
市では、第1期における結婚支援事業といたしまして、出会いの場の提供に取り組んでまいりましたが、この結婚新生活支援事業は、経済的支援を目的とした当市にとって新しい事業であり、今回、国が対象要件の緩和等の方針を示したことを踏まえ、先行自治体の状況なども分析し、結婚や出生に与える効果を見極めた上で、今後の方針を検討してまいりたいと考えております。
次に、14歳以下及び30歳代に対する施策についてのお尋ねでございます。
これらの年代につきましては、第1期から取り組んでまいりました様々な施策が着実な成果を上げているところであり、その好循環を止めることなく、さらに伸ばしていく必要があるものと考えております。その例を挙げますと、新たな産業の創出による雇用の拡大と所得の向上、充実した子育て支援による子供を産み、育てやすい環境づくり、教育大学と連携した芸術文化・スポーツの振興といった取組があり、まちの魅力を高め、誰もが暮らしやすく、住み続けたいと思っていただけることにつながっていくものと考えております。
次に、20歳代に対する施策の検討と見通しについてのお尋ねでございます。
この年代は、高校や大学の卒業を機にまちを離れる方が多く、当市の社会減の大半を占めております。当市の歴史的背景を振り返ると、そこには、ある意味宿命とも言うべき構造的な要因があり、早急に改善できるものではありませんが、若者を引きつけるような魅力ある働きの場をつくるなど、地道な取組が必要と考えております。
また、コロナ禍において、東京圏など都市部への人口集中によるリスクが高まる中、働き方やライフスタイルに対する意識の変化を好機と捉え、高度なICT基盤や豊かな自然環境といった優位性を生かし、新規就農者を含めたUIJターンの促進や、テレワーク、デュアルワークといった新たな働き方の提案なども必要と考えているところでございます。
次に、公共施設の状況と今後についてのご質問でございます。
初めに、公共施設の現況についてのお尋ねでございますが、平成30年度末現在の施設数は396施設と、公共施設等総合管理計画の基準年である平成25年度末と比較して19施設の減少となっております。また、延べ床面積は、いわみざわ環境クリーンプラザ9,515平米の建設などもあり、計画策定時とほぼ横ばいの62万平方メートル、行政財産の市民1人当たりの延べ床面積は、人口減少に伴い、5.91平方メートルと若干増加しております。
現在は、各施設の所管課におきまして、具体的な再編プロセスを示す個別施設計画の策定を進めているところであり、公共施設再編基本計画でお示しをした令和7年度までの方向性に基づき、その着実な実行に努めてまいりたいと考えております。
次に、施設の再編検討の際の当事者等への対応についてのお尋ねでございます。
平成27年度に策定した、施設カルテにつきましては、全ての公共施設の現況を可視化した情報について、広く一般に公開するなど、計画等の策定の都度、市民の皆様との情報共有に努めてきたところでございます。現在策定を進めている個別施設計画につきましても、市民の皆様との合意形成がこれまで以上に重要となりますことから、個々の施設の利用状況や、廃止時の受皿となり得る代替施設等も考慮しながら、市民の皆様との対話や利用者団体との調整など、丁寧な説明を行い、検討を進めてまいりたいと考えております。
特に、地域における集会施設等につきましては、再編基本計画において廃止や譲渡等の方針を拙速に定めることなく、協議という項目を設け、十分な合意形成を図ることとした経緯があり、地元の町会等と時間をかけて協議するなど、より丁寧な対応を進めてまいりたいと考えております。
次に、市民と課題認識を共有するための情報提供や手法についてのお尋ねでございます。
公共施設の老朽化が進む中で、既にその維持管理費が市の財政硬直化の一因となるなど、
公共施設の再編は、差し迫った市政の重要課題であります。その認識を市民の皆様と共有するため、平成31年3月の広報では、公共施設の未来を考えると題し、公共施設の現状と課題、将来の在り方についての問題提起と情報共有を図ったところでございます。今後におきましても、引き続き時機を捉えて、様々な立場や幅広い世代の皆様に、共に考えていくことを働きかけてまいりたいと考えております。
次に、ICT環境についてのご質問であります。
まず、市内ブロードバンド環境の世帯カバー率に関するお尋ねでございますが、いわゆるインターネット接続サービスにつきましては、接続方法により、光ファイバーを用いたFTTHサービスなど優先接続方式と当市で構築するFWA・固定無線接続や地域BWA・広帯域移動無線接続などの無線接続方式、さらには、スマートフォンなどで一般的に利用される高速モバイル通信技術を使った通信規格や、既に市内でも整備が開始されている5Gなど、携帯事業者による通信サービスがございます。これらの接続方式を合わせますと、それぞれの利用可能な伝送機能に差異はあるものの、中山間地域の一部を除き行政区域のほぼ全域において、いずれかの接続方法でサービスが利用可能であると捉えております。
次に、FWAや地域BWAに関するご質問であります。
構造改革特別区域法の認定、平成15年でございますが、認定を経て平成18年度よりサービスを開始したFWAにつきましては、当時FTTHやADSLによるサービス利用が困難なエリアを条件不利地域と設定し、自営光ファイバー網と無線を用いたインターネット接続サービスとして開始したものであります。サービス開始時は、ADSLでもインターネット接続に支障がないとされておりましたが、利用されるコンテンツ容量の増加や通信事業者の設備投資の抑制等により、近年では利用が厳しくなっていると伺っております。また、スマート農業の普及に伴い、ご家庭への接続だけではなく、圃場に設置するセンサーの接続など、面的な機能拡充が必要となってきております。
このような利用環境の変化を踏まえ、機能や対象エリアを増強する形で今春よりFWAから地域BWAへの切替えを順次開始したものであり、新型コロナウイルスの影響による関連設備の納品の遅れなど想定外の支障はあったものの、8月末現在の加入世帯数は125世帯となっております。また、対象エリアにおける利用者傾向でありますが、スマート農業に取り組まれている世帯を中心に加入が進む一方、高齢者世帯ではインターネットを利用する機会が少ないなど、加入を見合わせている方が多いようであります。今後、健康サポートをはじめ日常生活に関する様々なサービスの普及により、利用される世帯も増加していくものと考えております。
次に、利用者数の増加による通信速度の低下に関するお尋ねでございます。
一般家庭へのインターネット接続はベストエフォート型が基本であり、これはFWAや地域BWAなど、無線接続方式に限ったことではなく、FTTHサービスを利用されているご家庭においても、利用に支障を来す時間帯があると伺っております。今後の技術進展により、例えばウェブ会議用のアプリケーション自体の効率化が進むものと考えておりますが、一方で、日常生活など様々な分野における利活用は加速していくものと考えております。
現在、同時接続数の増加による影響が少ない優先接続方式によるサービスについて、通信事業者との間で対象エリア拡大に向けた協議を進めているほか、無線接続方式によるサービスに関しましても、関連する通信事業者と連携しながら、利用状況に合わせた機能強化を進めるなど、快適に利用いただくための環境形成に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
(「終わります」と呼ぶ者あり)
○議長(篠原藤雄君) 平野義文君の一般質問を終わります。