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この度の一般質問について〈ふるさと納税・市ホームページ〉

〈令和3年9月3日投稿〉

本日、13時より令和3年第3回定例会の3日目が行われます。

私の一般質問は2番目の登壇となります。

現在も新型コロナウイルスの感染拡大が収まっていないため、申し合わせにより質問の持ち時間が半減していますので、質問項目も大きく2点だけとしました。

今回の質問の要点を記載します。

まずふるさと納税についてですが、総務省のデータを見るといろいろなことが見えてきます。

 

総務省 ふるさと納税ポータルサイト

特に「令和2年度受入額の実績等」というデータを見ると、他市と岩見沢市の状況を客観的に把握することが可能です。

上記エクセルデータをもとに分かりやすくグラフにすると、全国的な状況は令和元年度に一度、額・件数ともに落ち込みを見せますが、令和2年度には一気に回復しています。

その額は約6,700億円にもなります。

この傾向を踏まえて岩見沢市を見てみると

令和元年度までは右肩上がりで推移していたものが、令和2年度には額として前年比約65%、件数として約半分に落ち込んでしまっています。

先日の報道でもありましたが、お隣の美唄市はふるさと納税が前年比で約10倍の実績となり、それに伴い一般会計が黒字決算になるとのこと。この様に他市のふるさと納税の伸びが顕著にみられ、その影響を受けてしまっている状況と見受けられます。そのようなことから、以下の質問を作成しています。

一点補足すると、この質問は令和2年度に実績が大幅に下がったことを責める趣旨ではありません。

担当部局も常に努力していることを理解していますし、このふるさと納税制度自体が、当初のふるさと応援の趣旨を大きく外れて返礼品競争になっていることから、行政としても非常に難しいフェイズになっていることを認識しています。よって、現在の認識と今後の対応についての確認と、もっと理念とか意義を育て上げ「モノ」より「コト」を重視し、本当に岩見沢市を応援していただける方々を増やしていくことも大事なのではないか?という視点からの質問となります。

 


以下、質問原稿です。


□ふるさと納税について
近年の市政方針においても、〈国の「ふるさと納税制度」の活用により、岩見沢を応援していただく寄附金を広く募り、岩見沢の魅力の発信やまちづくりの充実を図っていく〉という想いが述べられておりましたが、やはり人口減少や経済活動の縮小等による厳しい財政状況が続くことが予想される中、あらゆる制度を活用し、歳入の増加を目指すことはとても重要なことと共感いたします。

このふるさと納税に関し、総務省による全国の寄附受け入れ額の推移を見ると、平成26年度が約390億円、平成27年度が約1,650億円、令和2年度においては約6,700億円と、平成26年、27年を境に急激に増えていることがわかります。その中で、令和元年度のみは前年比約95.1%と若干の落ち込みを見せたものの、令和2年度は前年度比約138%と一気に回復し、全国的な傾向としては、ふるさと納税の活用が益々活発化していると捉えることができます。この状況を踏まえ岩見沢市の推移を見てみると、平成28年が約1億9千万円、平成29年度が約4.4億円、平成30年度が約6.3億円、令和元年度が約7.5億円と、関係各位の努力もあり順調に増加傾向で推移してきたものの、令和2年度においては4億8587.2万円と前年比64.8%にとどまり、寄附件数では40,324件から前年度比49.5%となる19,965件と非常に大きな減少が見られます。そこで北海道内の179市町村も確認してみると、一気に10倍以上の伸びとなった美唄市を筆頭に142市町村が増加。逆に前年より減少したのが37市町村。その37市町村の中で岩見沢市は3番目の減少額であり、市としては返礼品の目玉になっていた高額所得者向けのオーダースーツの工場が撤退し、その影響でふるさと納税額が大幅に下がってしまった芦別市に次ぐ2番目に多い減少となっており、その状況に危惧をするものです。あらためて、この令和2年度の大幅な減少はどのような要因で発生しているか見解をお聞かせください。

また、現時点における今年度の岩見沢市へのふるさと納税の傾向はどのようになっているか、更に年間の推定に関してもどのように分析されているかお聞かせください。

岩見沢市民が他の自治体にふるさと納税として寄附されたことにより、岩見沢市への市民税の控除が発生します。平成30年度の寄附に関しては約4,000万円の控除があったと聞いておりますが、やはり全国の利用が増加傾向にあることから、岩見沢市民の他自治体への寄附が増加し、市民税控除も年々増えているのではないかと想像しますがいかがでしょうか。その推移もお聞かせください。また参考までに何名ぐらいの市民が当制度活用による控除を受けているかもお知らせください。

現在はこの制度の利用者は、より利便性を高め利用しやすくするために、確定申告ではなくワンストップ特例で簡単に税控除を受けられる様になっています。一般的にふるさと納税による税控除は、確定申告の場合はふるさと納税を行った年の所得税と、翌年度分の住民税が減額されることとなりますが、現在一般的になっているワンストップ特例の場合は、所得税からの控除は行われず、その分を含めた控除額の全額が翌年度の住民税の減額となります。単純に考えると所得税は国、住民税は岩見沢市が賦課・徴収を行うことから、国への所得税控除が減った分、岩見沢市と北海道の住民税控除額が増えてしまうという不合理が発生することになると考えて宜しいでしょか。その影響はどのようなものでしょうか。

そもそもふるさと納税は、自らのふるさとなど、縁や思い入れのある地域を応援することを目的に始まったはずですが、現在では返礼品競争が過熱し「寄附を通じた応援」という理念から外れ、様々に課題が生じていると認識しています。その側面として返礼品による地域内経済循環も非常に重要な要素で大切にすべきですが、あらためて原点に立ち返ることも必要ではないかと感じます。

市では現在も「ふるさとづくりの推進」「青少年健全育成」「スポーツ・文化の振興」「農業振興」の括りで、意図を持った寄附協力をいただいていますが、より具体的な一例として、岩見沢の生い立ちに関連する鉄道や炭鉱に関することの利活用支援、基幹産業である農業において、先進的なスマート農業のより強力な推進のための支援など、地域の特徴や目指すものを明確に絞りながら、クラウドファンディング型などのふるさと納税で支えていただいたり、現在IPCCの第6次評価報告書が発表され、気候変動に関し更なる関心が高まることが予想される中、ゼロカーボンシティの実現に向け、再生可能エネルギーの地産地消の推進等々、「モノ」だけではなく「コト」としての魅力や理念、意義を発信し、賛同者に応援していただくという方向性も重要ではないかと思うのですがいかがでしょうか。 また、市内企業や、スポーツ、文化系団体等から、支援していただきたいプロジェクトや返礼内容等を公募するなど、新たな視点は検討されているかお伺いいたします。


また、もう一点、岩見沢市のホームページは、閲覧者から不評で、重くてなかなか開かない。見たい情報が見つけにくいなどと指摘を受けていました。それが現在、ホームページリニューアルに向けた公募プロポーザルを実施中ということもあり、どのような変化を目指しているのかを確認するものです。

以下、読み原稿を転載します。

 


市のwebサイトについて

自治体のホームページは企業等のサイトとは異なり、膨大な情報量を掲載する都合上、サイト内検索を上手く活用しなければ、目的の情報を探すにもコツが必要で大変でありますが、市民の方々や岩見沢市に関連する情報を必要とする方々にとって、正確な情報を迅速に取得できる重要な場であります。またゆくゆくはweb上で電子申請などもできるようになれば、窓口手続きの簡素化等、業務の効率化も進んでいくものと思います。

しかしながら現在のwebサイトは知りたい情報にたどり着きにくい、また動作が非常に重く表示速度に不満が募る等々、ICT化の推進を標榜する岩見沢市としては誠に残念な状況でありましたが、この度、ホームページのリニューアルに向け、「岩見沢市ホームページリニューアル業務」公募プロポーザルが現在実施中ですが、9月7日締め切りの企画提案書は何社の応募があったかお聞かせください。

また、今回の公募の案内を見ると「スマート・デジタル自治体としてふさわしいICTやAIなどの未来技術を活用した機能やサービスを目指す」とあり、どのような機能が実装されるのか非常に楽しみでもあり期待が持たれるところです。そこで、ホームページのリニューアルにあたり、あらためてどのようなポイントを重視し、何がどのように変化するのか考えをお聞かせください。


(2)双方向性の活用について
 私達の社会において、インターネットはなくてはならないものとして確立されています。各自治体のホームページにおいても、情報を一方的に発信するだけではなく、市政への市民参加手段の一つとして、直接的に意見を伝えることができる双方向性の活用が一般的になってきています。岩見沢市のホームページにおいても、パブリックコメントの募集だけでなく、「市政に対するご意見・ご要望」や「ホームページに対するご意見・ご要望」というフォームを設け、市民の方々の意見を賜り、改善に向け努力される姿が見えます。

そこでお伺いいたしますが、このホームページの「市政に対するご意見・ご要望」へは、どれぐらいの数でどの様なご意見が寄せられているか。同様に「ホームページに対するご意見・ご要望」への状況もお聞かせください。

 さらに、このホームページからご意見やご要望があった場合、どの様なプロセスで検証し、反映されているのか、その流れについてもお聞かせください。

 また市ではSNSも積極的に活用しています。これに関しては、他の自治体と同様にコメントの返信は行っていない状況です。その方針については議会SNSにおいても、議論を重ねた中で同様の対応を取っていることからも、十二分に理解をするところですが、いただいたコメント等について、確認、検証、反映等に結びつける仕組みは有しているのかどうかお聞かせください。

 

以上、本日予定している一般質問となります。

岩見沢市議会youtubeは以下のURLです。
https://www.youtube.com/channel/UCjjSzdyAOXBFq_yRLRIS7gg/featured

岩見沢市のふるさと納税に関する驚き

《平成28年5月26日投稿》

昨日、総務常任委員会の所管事務調査がありました。

総務部、企画財政部、教育委員会に関する今年の内容を説明いただき、関連する質疑を行うものです。

私は企画財政部の中で、これまで気になっていた「ふるさと納税」について質問をさせていただきました。ここにその内容をご紹介したいと思います。

***補足(岩見沢市webサイトより転載)****

【ふるさと納税制度とは】

■ふるさと納税制度とは、納税者が岩見沢市などの自治体に寄附をした場合、寄附金額のうち2,000円を超える額について、個人住民税所得割額の概ね2割を上限として、今住んでいる場所で納める所得税や個人住民税から控除される制度です。

■所得税及び個人住民税の控除を受けるためには、寄附をされた翌年に住所地の所管税務署で確定申告をしていただく必要があります。確定申告をすることにより、寄附をされた年分の所得税の軽減と、翌年度分の個人住民税の税額控除を受けることができます。

【注意】
控除対象となる寄附金額は、地方公共団体に対する寄附金以外の寄附金と合わせて、総所得金額等の30%が上限です。

****(転載終わり)******

今回の質問の内容は要約すると以下の通りです。

ふるさと納税は功罪併せ持つ制度と言え、特に返礼品に多くの特典をつけて動機づけを促す自治体もあり、結果として過度な自治体間競争を促し、状況によってはふるさと納税として寄付される額よりも、市民が他市に寄付をしてしまう額が大きくなってしまい、本来入ってくるはずの住民税が減少してしまっている自治体もあると聞いています。

そこで本岩見沢市において、他都市からの寄付額、及び返礼品にかかる費用。また、岩見沢市民が他市に寄付をすることによって減ってしまう税収がどのようになっているかお聞かせください。

という内容です。

想定としては「岩見沢は大丈夫だろう・・」という前提であったのですが、決してそのような甘い解釈ではならない事態でした。

その答弁の一端をご紹介すると。。

***********

岩見沢市の現状

平成26年度は1,235件、1,467万2千円の寄附額だったのに対し、平成27年度は1,359件、1,719万2千円の寄附があり、前年比で124件、252万円の増となっている。

返礼品は1万円以上の寄附をいただいた回数分贈呈。返礼品代の他に送料、クレジット決算手数料を合わせ、平成26年度は518万5千円、平成27年度は597万円を支出。寄付額から費用を除いた実質的収入は平成26年度が948万7千円、平成27年度が1,122万2千円となっている。

この数字だけ見ると、それなりに有難い効果があるような気になりますが、問題はこの先になります。

《岩見沢市民が他都市へ寄附した事によって、本来納税されるはずの市民税の減収》

平成26年度 123件 760万円程度の寄附に対して市民税の減収は約250万円。

平成27年度 395件 2,900万円程度の寄附に対し市民税の減収は約1,200万円。

結果として、平成26年度は約700万円程度の増収、平成27年度は約78万円の減収と収支でマイナスになってしまう状況でした。(これには個々人が確定申告をしているかしていないか等でも変化してくるので、決して正しい数値ではありませんが、基本的な考え方としてはこの様になります)

ただ、岩見沢市としても何もせず手を拱いているわけではなく、減収の兆候を掴んだことからすぐに対応をすべく、現在「岩見沢市ふるさと応援寄附管理業務の公募型プロポーザル」を準備しています。この成果として、あらためて岩見沢市に寄附していただける方が増え、増収につながれば良いのですが、世の中の流れが「ふるさと納税」を益々身近なものとなり、岩見沢市民の方が税額控除を目指して他都市に寄附することが増えると、市全体としては減収につながってしまうという大きなジレンマに苛まれることとなります。

だからといって本市においても、節操なしにお得感のある返礼品を並べ、それで寄附者を増やすというのは、国全体の事を考慮すると決して正しいことではないと考えているため、その方向性についての確認もさせていただきました。

今後の展開としては、純粋に岩見沢を応援したいと思っていただけるコンテンツを明確にしていくこと。これは現在私が行っているシビックプライドの概念と通じるものだと信じております。

ただ、今回本当に驚いたのは年間2千万円近くの寄附を受けている岩見沢市においても、他都市に寄附をする市民が増えることで、簡単に収支でマイナスの効果が出てしまうということに衝撃を受けました。現代はあらゆる格差が発生してしまっていますが、まさかこんなところでまで自治体間格差が・・・。というのが率直な感想です。恐らく収支でマイナスになってしまっている自治体が驚くほど多いのかもしれないと想像するに至ります。

ある程度の納税をされている方にとっては、それなりにメリットのある「ふるさと納税」ですが、自分たちの住んでいる岩見沢市にとって、この様な弊害が出てきてしまうということも是非知っていてほしい現実であるため、ここに簡単ではありますがご紹介させていただきます。