平成25年11月27日
所属会派である新政クラブにて、他都市調査を行ってきました。
今回は公共施設設置おけるPFIの有効性に関し、先進地を視察させていただいたものと、岩見沢産の農産物が給食にも使用していただいている東京都板橋区の中で、これまた岩見沢産農産物を取り扱っていただいている大山商店街への視察調査、更には関内においての歴史的建造物の活用等々、密度のある視察となり、最終日にたっぷり時間を取って、メインの視察となったのがこの川崎市の子ども夢パークでした。
会派としては勿論、私個人の関心としても、この[子どもの居場所]に重要な意味を感じており、昨年の一般質問でも教育環境に対する質問をさせていただいた部分とリンクするものでした。
この川崎市の取り組みは本当に素晴らしいものであり、この岩見沢においても、子ども達の育つ環境に危惧を抱く1人として、大いに参考になるものです。
せっかくなので、夢パーク西野所長よりレクチャーを受けたものを簡易的にレポートします。(私個人のメモを元にしていますので、もしかすると聞き間違いや勘違いもあるかもしれませんのでご容赦ください。あくまで私の備忘録を公開しているというスタンスで認識いただければと思います。)
【メモ開始】
背景&子どもの現状から
生きづらい世の中。神奈川県は不登校17万4千人。川崎市で1,200人の不登校。そのような状況を鑑み、居場所づくりが大事と認識。
全国に70万人の引きこもりがいる。外に行くにしてもコンビニ程度。就労問題が常に伴う。
現在は学校が荒れている。
小学校は過去最多の暴力行為。しかし表面に見えづらい。対教師15%・対物27%・対生徒58%
文科省のいじめ調査では7万人/年 → しかし、再調査すると14万人/年となっている。しかも小学生が3倍になっている。そのうち、命に関わる様なものは100件単位で増加。
年間の自殺者数 336人→大学生まで入れると971人・39歳以下の死因の第一位は自殺。これは日本だけ。
人と人との関係性として、群れる場所がない。人と人とのコミュニケーションが取れず、人間として未成熟となる。
そんな子育て環境をどうするか?
子どもに優しいまちづくりが必要。
では、どうやって子どもが幸せに生きていけるか。
川崎市は【子どもの権利に関する条例】をつくることにした。
2000年12月~2年間で200回の会議を実施。それを元に、市長の新春構想で夢パークを発信した。
予定地は、図書館構想等でバブル期に市が購入した場所→土地代だけで100億円→その後塩漬けに。
この夢パークは全体で7億円ぐらいで整備した。
所管は生涯学習推進課でスタート。
☆冒険遊び場エリア → 土を使ってドロで遊ぶ、焚き火ができる
☆建物エリア → 子ども達が自由に使える体育館~通常は社会団体登録をしていなければ借りられない。結果として子ども達は通常はジムに行くとかプールに通うとかしかなく、行き場所がない。好きな時間に自由に使える広場が決定的に不足している。
狭い場所でもサッカーをする。ゴールが一つしかなくても子ども達は遊ぶ。ちょっとした道具の貸出をすると中高生は来る。それが居場所となる。
中高生が荒れる→メンタルを崩す→不登校が増える。これを何とかするために「居場所」が必須。
音楽スタジオも2つ用した。貧困も背景にある。高いお金を使ってスタジオを借りるのは大変。無料で使えるところは貴重 → 設備投資に比較的お金がかかった施設であるが、、十二分に効果がある。
2Fには「ごろり」という部屋。そして、乳幼児の「ゆるり」という部屋がある(補足:他にも有用な施設が充実していますのでwebサイトをチェックしてみてください)。
最初は乳幼児親子は付属品的な考え。中高生が主であったが、子育て支援を必要とする層に支持された。乳幼児親子は行き場がない。この部屋は自由にこれる、スタッフもいない。利用者割合としては4割近くになってきた。
公設民営で初めて出来た「フリースペースえん」
最初はNPOで任されたのはここだけ。
今は夢パーク全体を指定管理者で任されている。
最初は財団法人川崎市生涯学習財団とNPO法人とのジョイント~年中無休9時から9時まで。
【ゆめパーク3つの柱】
1)子どもの参加活動拠点 川崎市子ども会議場
2) 冒険遊び場
3) 不登校
☆怪我と弁当は自分持ち。やりたいことにチャレンジ ~自分の責任で自由に遊ぶ~
子ども達が非常にストレスがたまっている。自己肯定感が欠如している → 自信がない。
某有名大学生:「学生に自分に自信がある人?」と聞いたら4人中3人が自信がない。どうして大学に来たか分からない。これからどうやって生きていけば良いか分からない。
小さいころに「俺、やった!」という経験が地域になくなってきた。達成感に出会える場がない。だからこそ、そういう体験のできる場所をつくらなければならない。
その実現のために、危険を2つに分ける。
《リスク》と《ハザード》の概念
リスク ~ 挑戦したい。へたしたら怪我する? → これは取り除かない。
ハザード ~ 子ども達が予測できない危険。施設の責任が問われるものは徹底的に取り除く。
プレーパークに怪我はつきもの。10年間、捻挫、骨折、やけど、救急車で運ばれるような怪我もあった。しかし、一度も訴訟はない。親の保険で親の指定する病院に行くのが原則。
穴をほったらほりっぱなしで良い、刃物も使える。直火も使える。高いところに登っても怒られない。幼稚園の遠足でものこぎりを使ったりする。
できない体験も大事。
子どもが工夫する、発見するという経験も大事。ともすれば大人が奪っていること。
暮らしの中に役割があったのが、これまでの社会。今は家庭の中に子どもの役割がない。
ゲームを与えられる。すると自分で遊ぼう!という時に、友達と何して遊ぶ?というのがない。
常勤のスタッフがいると児童養護の機会にもなる。ネゴレスト・虐待。
子どものSOSを発見できる。これはスクールカウンセラーが週一回きてもわからないこと。
今は政策的に遊び場づくりを作ろうとするところが多い。
大阪市西成区~ドヤ街の町で子育てをする世代を呼ぼうという遊び場づくり。
井戸づくりが最初。水遊び・ドロ遊びが大好き。
その中で群れて遊ぶことが大事。ドロぶつけたら怒る。いじける。調子にのったことによる反省。等々の経験。。五感を育む。
プレイリーダー・プレイワーカーが必須
遊び場との連携
もともとは川崎市の不登校支援で始まった。
放課後の子ども達の支援にする場合等々は一角に調理をする場を用意する。
荒れている子ども達、イライラしている子ども達の共通項は【腹ペコ】。お金だけおいて親がいない。親がテーブルの上に1,000円置いて出かけて行っても、子どもはカップラーメンだけ買ってあとはゲームに使う。
お金を置いて行かない親も居る。
空腹が満たされると、子ども達の雰囲気が変わる。好きな時に好きなことをする環境。(どういう場所をつくろうか!というアンテナ。)
親を元気にしないと、子どもが抜本的解決にならない。
自己肯定感を育む居場所づくりが必要。
生きているだけで幸せ。。ぼく馬鹿だから、私ダメだからという子どもが多い。
自分で作るプログラム。
~1日の過ごし方は自分で決める~
今日は塾、体操、水泳・・全部目的にそって行動する。
ただぶらりと公園にいって、人まちをするような環境がない。今は子ども達が遊ぶのもアポがいる。子ども達の生きづらさを学ぶ。
子どもの自由な遊びを面白がる大人が大事。
パークのスタッフは若いボランティア等がとても大事。
一日の過ごし方は自分で決める。今日は寝に来た!それで良い。
1日中ゲームしているのはけしからん。~寝てる子はだらしない。~混沌とだらしない姿~
しかし、やり続けるとだんだん飽きる。誰かが外で楽しそうに遊んでいる。楽器をやっている。等をみると、勝手に学校に行き始める。(高校生の場合は多い)
自分で大丈夫だ!と思えれば元気になる。
台所がある。楽器がある。体を動かせる。ゲームができる。
これは大事~不登校対策だから。
子ども達にやりたいことが発見されると、スタッフが講師を呼んでくる。
ボランティア・・。予算が無い。道具も使いふるし等をもらってくる。でも、なんとかなる。
地域の人材をどう発掘できるか。
その中で自分ができるということに自信を持つ。
表現手段を得る。~言葉は後からついてくる。
あらゆる状態の子どもを受け入れるフリースペース。
以上、西野所長からのレクチャーを抜粋
*この続き、詳細については、平成26年2月23日14時より、岩見沢市生涯学習センター「いわなび」で開催するシンポジウムにお越しいただければと思います。当日は第1部として、夢パーク西野所長による基調講演。第2部として西野所長と北海道教育大学札幌の平野准教授によるトークセッションを開催します。(詳細はチラシが刷り上がりましたら再度掲載させていただきます。)
尚、この視察の日は、私達の他にも1名他都市から調査に来ておりました。我々とその方を含めての質疑応答がありました。その内容に関しても軽くご紹介いたします。
Q:子ども達にハンドリングさせることを大事にしつつ、趣旨から逸脱しそうになった場合のコントロールはする?それとも??
A:子ども参加には大人の待つ力がとても大事。子ども達のやることは大体脱線する。その時の駄目出しをするのではなく、スタッフの力量が大事。思うようにはいかない。スタッフが9人。全然足りない。
夢パーク9人、えん9人で回している、
子ども達が盛り上がってきた時に、大人が出しゃばるとだめになる。自分がやった!というのが大事。そんなスタッフになるために、研修には力をいれている。子どもは試し行動をするもの、暴言、暴力。。それを受け止めながら子どもと接する。
フリースペースは6時に閉まる。9時に夢パークが閉まるまでは毎日研修をしている。
Q:某市(もう1名の視察市)では、これから設置を考えているが、指定管理者で行うと思う。器ができても中身が問題。
A:川崎は条例をつくるときから、ずっと関わってきているからできている。企業論理だけでは難しいと思う。
Q:禁止事項はリスクとハザードがあると思うが、そのルールづくりに子ども達はどこまで参画するか?
A:夢パークの構想段階で、大人部会、子ども部会とわけて、どんな場所にしたいかと会議を重ねてきた。小学生がずっとかかわってくれると思っていたが、中学に入ると忙しすぎてこれなくなる。子ども達のルール決めはイベント事で決める。ロックフェスティバルをする際に自分たちに有利に、、、スタジオ予約や機材を下手に使うやつがいるからダメだ!等々に関しては必死になる。小さなことだけれど。全体の運営に関わることは難しい。かといって、行政が枠をつくりすぎるとお客さんになってしまう。
決定のたびに、声を聞いていく仕組み。
Q:本来は不登校支援であったと思うが、群れる場所が無い。居場所がないというのは普通の子も一緒だと思うのですが、そういった子はあまり来ない?
A:不登校は登録制。ほかは自由に~全体で年間85000人が利用する。最初は3万人ぐらい(7月23日オープン~3月末)年々増えている。右肩上がり。
しかし、そろそろヨコバイになると思う。数値目標でやるとおかしくなる。
【備忘録メモ①】
しっかりとした町会とボランティアとの連携関係を構築することが大事
夢パーク型のものがどれぐらい全国にあるか?年間180回ぐらい視察を受けるが、広がっているかどうかはわからない。子ども権利条例は増えてきた。首長が変わればいらないと言われると困るので。
「冒険遊び場」を行政主導で・・というのはある。室内型の子ども支援施設をつくるという場合も広がっているが、この形態はないかもしれない。まずは市民と様々なことを知ることが大事
それは、ここの”マインド”を元にした、それぞれの地域なりのこと。
愛知県 ゴジカラ村
集合体で保育園、幼稚園。集合住宅的に点在。真ん中に子ども達が遊べるログが立っている。外に遊びに行ける。年寄りの寄り合い所とのコーディネート。乳幼児に対して、上の世代が「大丈夫よ」と言ってくれる場所。
[異世代の力]
お年寄りとお母さんが混ざり合う。不登校の子が赤ちゃんを抱っこして元気になる。器ではない。あるものを利用してできるかも。
【備忘録メモ②】
◯フリースペース ~ 下は6歳から、上は20歳以上まで(アスペルガー、統合失行症、発達障害等々)異質異年齢が混ざることを大事にしている。
◯夢パークまつり~泥遊び。自分たちがやりたいことをできる環境を大事にする。10周年~最初のころ10歳の子どもは20歳になっている。
フリースペースに来ていた子のその後は?
ここに来られる子はまだ幸せ。まずは親の面談があるから・・・。
そんな親の目をかいくぐってここに遊びにくる子がいる。
生活保護家庭~暴力的で学校に行き場がない。児童館からも出入り禁止になる。しかし親は興味が無いので面談に来ない。偶然保護課で親と合う。大人が関わり続けないと行き場がなくなる。それで来るようになる。
精神疾患が入院先のドクターから依頼がくるケースがある。
その子たちの今は、大きな家族のようになっている。
ここを巣立ったあと高校は行く子が多い。定時制にいくと昼間はここでご飯をたべて夕方から学校に行く。そんな子たちが結婚して子育てしている。
戻ってきた子ども達は実家に帰ってくる感覚。スタッフは単年度では難しい。非常勤嘱託のルールでは縛りがある。NPO受託にすると10年前のスタッフが変わらずに居られる。雇用の時に市の基準を適用しない方法も模索すべき。
ここで遊んだ子が結婚して子育てを初めて、一回他の町へ出て行くが、ここに戻ってくる子たちが多い。自分たちが育った環境を自分の子どもにも必要と感じる。
障害のある子もない子も、自分のしんどい頃を知っている人が大事。いつでも相談できる環境を求めてくる。
地域で子どもを育てていける環境づくり=学校現場では限界。
地域で施設等でサポートしていけないか。生きるための基本的な力を得る機会が無い。それをどうにかしなければならない。
指定管理者~夢パーク全体の管理運営費6,200万円~全て含む。18人の雇用。光熱費、清掃、植栽、電気外部委託込み。フリースペースだけでは1800名~9名のスタッフ~均等割すると1人200万円しかない。よって他から費用をかき集めている。実際には倍はかかるはず。
しかし、この事業をなくしてはならない。金儲けより生き儲け。
-備忘録メモ終了-
川崎市子ども夢パーク(2) 視察状況の紹介へ続く
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