(1)から続く
翌日は経済常任委員会として正式な調査となります。
対応していただいたのは、佐賀市経済部商業振興担当のS課長様、E主任様、そしてNPO法人ユマニテさがの常務理事であるI様であります。
丁度、この出発前に見た朝日新聞の佐賀地方版には、これから行われる市長選にまつわる記事として、これまで行われてきた中心部の施策についての記事がありました。
記事の内容は非常に厳しいものでありますが、この約23万人の人口を持つ県庁所在地において、結果を出していくのは本当に至難の業であろうし、ピーク時には猛烈に栄え、そして急激に衰退してしまった場所だけに、この中心部の疲弊を何とかするために市の経済部としてもかなり斬新な企画にトライしている様子がうかがえました。
また、この佐賀市というのは非常に岩見沢と環境が似ているような気がします。
特急に乗ればわずか40分かからずに福岡市がある環境。
まるで岩見沢-札幌間のような流れがあります。
そして、県庁があるという事、更に福岡が近いという事からも、駅を利用する通勤者が多くいるものの、その多くは中心部には目的が無い。まるで岩見沢駅から空知総合振興局に歩いている札幌居住通勤者の実情が浮かぶ状況でありました。
また、下図でもあるとおり、黄色の枠が中心部の核になってきます。
岩見沢で言えば、①岩見沢複合駅舎 ②駅東市民広場&赤レンガホール ③であえーる&ぷらっとパーク ④中央公園といった、「ろの字」回廊を核とした取り組みと相通じるものがあります。
ただ、その手をかけなければならなエリアが岩見沢とは違って全市で約23万人いる街だけに広範囲にわたり、尚かつ費用もかかることに繋がります。また、前述の新聞記事の中でもあったように、もう大型投資をすることが許されない環境になっています。
それだけに、どうやって人を呼び込むか!という観点で核づくりをしていく中で、商業施設ではなく人が集まる場所、環境づくりというものに説得力が出てきます。
元々、密集していた商業施設が減少することで、どんどんと空き地が増え青空駐車場になっていく。この段階で中心市街地に人が来ないのはモータリゼーションの波の中で、駐車場が無いためだという理論が意味をなさないこととなっていく。
だからこそ、そういう商業的投資を行うのではなく、一番右の図にあるように、人が集う原っぱ~ドラえもんの土管のある公園のような意味合いを持つ広場~が重要になってくる。人は群れるのを好み、子どもは群れる中で社会を学ぶ。しかし、現代はその環境があまりにも無さ過ぎるのである。
実際、この「わいわいコンテナ」も施設費としては、地元の建設会社が初期投資をしてコンテナを用意し、それを行政に20万円/月でリースするという仕組みで成り立っており、そこを管理するのは中心部で広く活動しているTMOを前身とする「NPO法人ユマニテさが」が行政からの資金を基に活動をするとい仕組みになっています。
また、どこの街でも、どんな事例でもそうですが、最後は人であります。
このNPOも、実際に佐賀の街を何とかしなければならないと私財を投入して活動されている方が頭となってまちづくり機構が成り立っている。そしてその職員さんも、行政の担当ももの凄く熱く、これまでに行ってきた活動を聞いてもアクティブで見事。
それでも今の現状だけを見ると、元気の無いまちでありましたが、これを機に上向いていくであろう期待感を感じることができる。
↓委員会で正式に訪れた時は午前10時でありましたが、帰り際には多くのご婦人達が集まって何かをしておりました。
特にこの佐賀市は街中居住の施策が功を奏し、街中居住人口が近年増えてきており、しかしそのマンション住人が街中に降りてくることは無かったというのが、このコンテナの核ができてからは、ここを目的に集まるようになっている。そして、そこからの回遊の動きが見えつつあるとのこと。
さらに、佐賀市では街中の景観を向上させるために、行政主導で佐賀市景観賞というのを設けており、美しい景観を持つ場所を表彰し、その景観向上を促す取り組みがされておりました。
「中心市街地考察(佐賀市わいわいコンテナ②)」への2件のフィードバック