一般質問原稿 ③豊かな人間性を育む教育について

一般質問原稿 ②克雪に向けた取り組みについて より続く


1)平成26年度版 子ども・若者白書の特集等から見る教育課題について

東海大学名誉教授の川崎一彦氏の論文を参考にさせていただくと、今、人類は狩りを生活の糧とする「狩業」の時代から、約1万年の「農業時代」そして約200年前の産業革命より「工業時代」へと移行し、現在は急速な知識産業、知恵産業としての「知業」の時代へと移りつつあります。すでに欧米では就業者の3分の1以上が「考える事」を職業にしていると言われています。それはこれから社会が必要とする能力とは、「何を知っているか?」ではなく「知っていることで何ができるか?」ということを求められていると言い換える事ができると思います。

『第三の波』の著者であるアルビン・トフラーは、今日の日本の最大の問題を教育と断言しています。「日本が国際社会で生き残るためには、何よりも-Think-考えることです。教育の現場を見て下さい。時間通りに生徒が教室に集まり、大人数で授業を受ける。これは、工場で働くための練習みたいなものです」と指摘しています。(http://www.sci-utokai.jp/jhe/jhe_No3_1.pdf

これを裏付けるような事象を、つい先日内閣府より公表された「子ども・若者白書」から垣間見ることができます。白書の中で特集として取り上げられていたのが、日本を含めた7カ国の満13~29歳の若者を対象とした意識調査です。

この内容を見ると、日本の若者は「自分自身に満足している」という割合が7カ国中最低であり、アメリカ86%、フランス82.7%が自分自身に満足しているという割合に対し、日本は僅か45.8%となっています。「うまくいくかどうかわからない事にも意欲的に取り組むかどうか」という設問に対しても、フランス86.1%、ドイツ80.5%と大きく離れる52.2%で最低の数値でありました。

他にも「社会現象を変えることができるかどうか。」「将来への展望」など、そのほとんどが7カ国中最低で推移しており、これからの人口減少社会、グローバル化で激変していく時代に適応するための能力である、「逞しく逆境に向かい、クリエイティブな能力を発揮して新しい道を切り拓く力」が不足しているのを垣間見ることができます。

また、今年の4月にシンクタンクである共立総合研究所が、「全国学力・学習状況調査」の結果を元に「生活習慣」「意思・人格」「家庭」「道徳・規範」「地域」「テレビゲーム・メール等」「社会への関心」「学校生活」「学習意欲・習慣」「コミュニケーション能力」「体験」の11分野から都道府県別に偏差値化した「いい子どもが育つ」都道府県別ランキングが発表されました。
http://www.okb-kri.jp/_userdata/pdf/report/153-research1.pdf

このデータを見ると、白書の特集で日本は国際社会の中でも非常に低い数値を示す中で、更に北海道は総合ランキング47都道府県中46位であり、分野別に見ても非常に低い項目が目立つ結果となっています。

例えば、「難しい事でも、失敗を恐れずに挑戦しているか?」では47都道府県中最下位。「自分には良いところがある」「人の役にたつ人間になりたいか?」「テレビゲーム等をする時間の長さ」「地域や社会への関心」「自分の発言に対する自信」「言いたいことをうまく伝えることができるか?」などなど、あらゆる項目でワースト5位に入る残念な結果となっています。

更にこの北海道の中で岩見沢市がどういう位置づけかというのは残念ながら計るすべはありませんが、これからの時代を生きていく子どもたちのことを考えると、国内での評価はもとより、国際社会で生き抜ける能力を身につけることを目指すべきであり、そのために岩見沢市の教育行政として真剣に何をすべきかを考える必要があると思っています。

まずは脳科学において重要な成長の機会として位置づけられる幼児教育期の「生きた体験」を通して人間としての能力を育むための環境づくりとその支援。学校教育においては、平成26年度 岩見沢市教育行政方針にも掲げられている通り、課題を解決するための思考力、判断力、表現力等をバランス良く伸ばす。また自尊感情を高め、自己指導能力の育成等を含め、主体的に「自らの思考を高め具現化していく力を育む」ことを重視した実行力のあるカリキュラムづくりが必要だと考えます。前段で述べた通り、先進国の中でも日本は非常に評価の低い状況、更にはその日本の中においても一段と危機的な状況といえる北海道の中で、岩見沢市の教育行政がどういった課題を持ち、どう解決を図っていくかを考えていかなくてはならないと認識しています。もちろん子育てや教育は行政のみがすることではなく、家庭、地域が一丸となって行うべきことであります。しかしながら教育行政が危機感とそれを打破するビジョンを掲げること、また課題解決に向けた環境づくりを後押しすることは何よりも重要な責務であると考えることから、教育長としての見解をお聞かせください。


以上、①~③が今回の一般質問となります。

私の出番としては6月13日(月)となります。
http://gikai.city.iwamizawa.hokkaido.jp/

本当はあと二項目質問を準備したのですが、詳細部で裏を取ることができず、次回以降で行うこととします。もし、関心のある項目がありましたら、是非議会傍聴に足を運んでみては如何でしょうか。

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