平成26年9月12日
第3回定例会最終日、第57号議案 「財産の取得について」に反対を表明し、会派(新風会)を代表し、若輩者の私に反対討論を述べさせていただく機会をいただきました。(ちなみに討論というのは、議決の際に賛成反対が別れる場合、多数決の採決を行う前にそれぞれの言い分を述べ、他議員の賛同を求めるものです。)
今回の否決に意思を固めた背景としては、議案の説明等に曖昧な要素が多いと感じられた状況下、岩見沢全域、また今後の未来にむけた「全体最適」を自らの判断定規とする中で、せめてもう少し議論を深めることが必要ではないかという感覚を抑えることができず、だったら議員としての責務を全うすべきとの思いで実施をさせていただいたものです。
以下、その思いの中で、今回の討論として述べさせていただいた内容です。(途中アドリブ等を含みますので、実際の議事録とは異なる場所があると思いますが、意味合いとしては全く相違ありません。)
議案第57号 財産の取得について、反対の立場から討論させていただきます。
今回の提案は新消防庁舎建設に伴い新たな用地を取得するというものです。現在の消防庁舎は老朽化も進み、耐震基準も満たしていないことから、速急な建て替えが求められているものであり、私自身、適切な環境で一刻も早く新庁舎建設の機会を迎えることを望む一人であります。
しかし、今回の提案に関してはいささか取得用地選定のプロセスに疑問が残ります。それは以下の3点について顕著です。
一つは立地条件についてです。
総務常任委員会の資料及び説明においては、本議題の候補地の他に購入可能地1箇所、市の所有地が2カ所の計4か所が示され、それぞれに比較、説明がされました。特に重要な要素とされた市中心部から半径1キロメートル以内という中心円の括りについても、それはあくまで机上のものであり、実際の道路通行距離のことではありません。実測してみればわかるのですが、例えば当該用地と候補地の一つである市保有の5条東15丁目の用地では、岩見沢中心部まででほぼ同一距離と言ってよく、月形、北村方面への移動に関しても大差ありません。これにより中心円の直線距離にこだわることなく、より現実的な通行距離で議論していくことが重要だと考えられます。
2つ目は費用対効果についてです。
候補地は決して使い勝手の良い土地形状ではないと認識をしています。形が歪であること。一辺に法面があること等を考慮すると、実際に活用できる面積は基準としている6,000㎡にも満たないのではないかと心配するところであり、考えうる施設、装備を配置すると、非常に無理のあるレイアウトとなり、効果的な活用をスポイルする恐れがあります。また、ここは市の所有ではなく民有地であり、購入費用に8,500万円を必要とするものです。更に、万が一土地を有効活用するために法面に手を掛けることになれば、より一層の費用が発生します。
これらの費用に関しては、今後40年、50年間の岩見沢市民、及び広域のあんしん・安全・生命・財産を確保するためと考えれば決して軽んじてはならない費用でありますが、その効果と実際に必要とされるコストは、これまでの説明の中では適性と判断できる要素があったとは言い難い状況でした。
3つ目は前述の観点を含め、十二分に議論が尽くされていないということです。
今回候補地として選定されなかった場所でも、視点を変えると再度検討するに値する要素を垣間見ることができます。
また何より、本庁舎に備えるべき施設や装備も、他都市においては、岩見沢と同規模の自治体であっても、新規建設時には十分な訓練施設、防災設備を配置するために、今回の候補地の2倍、3倍の面積の敷地に設置するのが一般的になりつつあります。今回においては、この地域の将来を見据え、どのような規模のものを配置するのが理想的かという「防災機能最優先」の議論が見えてこないことからも、これら重要な要素が十分議論されているとは言い難いものがあります。
この様な状況を総合的に判断し、現時点では本会議において可決を問う段階ではないと判断します。
誰もが新消防庁舎の一刻も早い着工を望むところでありますが、今後、40年、50年間、あんしん・安全・生命・財産を守る大事な消防施設において、その建設地の選定プロセスが今回の説明のような不明瞭なままで可決してしまうことは、議会としての責務を担っているとは考えづらく、より質の高い結果を目指し、議員各位のご賛同をお願いいたしまして、本議案への反対討論といたします。
という様な内容で反対討論を実施をさせていただきました。
岩見沢市議会の近年の歴史の中では、理事者提案の案件に人事案件以外で否決を求めることはまずありえなかったとのこと(一部の政党を除き)。そのような事を聞けば、なおさら議員になって高々2年目の新米の私が持論を述べることは覚悟のいることでもありましたが、事前に総務常任委員会での否決を会派として決定する際に、「良いことは良い、そうでないものはしっかりと意思を持つ(是々非々のスタンスを守る)」という事が確認された中での行動でありましたので、この役割をありがたく担わせていただきました。
ただ、今回は様々な思惑が錯綜する中、多数決の結果、僅差で原案通り可決となりました。
冒頭にも述べましたが、私達が目指さなければならないものは、自己の利や何らかの偏った部分に利を誘導するものではありません。それは岩見沢の今後を見据えた「全体最適」であると信じています。
ただ、今回否決ではなく賛成にまわった方々も、それぞれの正義の中で行ったものと信じたく思います。(先方の賛成討論において、こちらを陥れる事を意図した事実と異なる極端な脚色があった事は非常に残念ですが。)
このように今回、用地の取得が決定し、新消防庁舎も8条東10丁目に建設されることが決定しました。
決定した以上、しっかりと気持ちを切り替え、その場所でより良い効果を発揮し、市民及び広域の安心・安全・生命・財産を守ることができるよう、私も努力していきたいと考えています。
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