現在、多くの建物が取り壊され、またアーケードの解体も始まった駅前通り。この通りが新しく生まれ変わるのは皆様ご存じの通りかと思います。
しかし、どういう風に変わっていくのかというのは詳しく知っている方は少ないかもしれません。
よって、少しだけここで紹介してみようと思います。
【岩見沢市ホームページより[駅前通り地区計画]】
http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/i/sangyo/tosi/chikukeikaku/book/keikakusyo.pdf
というリンク先を見てもイメージしにくいかと思いますので、前回(平成24年11月12日)の岩見沢市中心市街地活性化特別委員会時に配布された資料をスキャンしてご紹介いたします。
*クリックして拡大されても、あまりキレイではないので見づらいです。すみません。。
青が平成23年度の物件補償、緑が平成24年度、オレンジ色が平成25年度の物件補償予定箇所です。
まずは何がどうかわるのかについて。
全体幅員が18mから22mに広くなりますが、車道の幅はそのままで、歩道部のみ2mずつ拡幅されます。
その歩道も車道側から2mの位置に街路樹が植樹され、内側が自転車、外側が歩行者という棲み分けになります。
また、民地においても建物を60㎝セットバックして建築することにより、この60㎝のエリアには自販機等は置かないルールとなっています。
(イメージパースはこちらです↓)
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【駅前通り地区まちづくり要領】というのが定められております。
この運営は「岩見沢駅前通りまちづくり運営委員会」という地権者等を中心とした方々で構成されているとのこと。
1.建物用途について
風俗営業等の規制等々ももちろんあり、それには完全に規制されるものと、運営委員会が判断をするものに分かれます。
また、駅前通りに直接面する1階部分は、原則として居室を設置してはいけないこととなります。ただし、住居専用施設を建築する場合は除かれます。
2.壁面の後退について
3.建物意匠について
○建物を建築する際は、外壁等を道路境界から60㎝以上後退することとします。これは2階以上も同じく後退され、その敷地内には自動販売機等を置くことも規制されます。この60㎝の空きスペースの舗装は、素材や色等、歩道との整合性に努め、段差は設けないこととします。
○新設する建物の正面は、JR岩見沢駅舎や駅前広場のデザインとの調和に配慮し、外壁は原色を避け、落ち着いた色彩を基調とするよう努める。(個々の具体的な調整は運営委員会で行う)
4.広告物等について
○数量や表示面積を抑え、集約・縮小化に努める
○看板など広告物の位置・規模・色は建物全体のデザインと調和するよう配慮し、過度に華美な色彩のものや、必要以上に動光・点滅するものは使用しないこととする。
○袖看板(張り出し看板・吊り絵看板など)、置き看板、のぼり旗などの広告物は、後退空間内に収めることとする。
5.建築敷地について
6.保全・清掃・除排雪について
○休憩施設や植栽空間など、人にやさしい空間を設けるよう努める。
○後退空地を含めて敷地内は緑化に努めることとする。
○駐車場は共同化・集約化に努め、駐車場への出入り口も安全性を確保し、集約化に努める。
○ゴミ出しは歩行者に不快感を与えないように注意を払う。また、共同ビルはその管理者が責任を持ってゴミ処理をする。
○道路など、共用空間の清掃・管理・除排雪は、行政との連携を図りながら、協定者がお互いに協力して安全で美しい街なみを形成・維持していく。
○ロードヒーティングの維持管理費用は、地区の関係者でルールを取り決め管理してく。
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というような内容になっています。
心配なのは、今回の立ち退きにより空き地が増える恐れがあること。それを無理に解消しようとするあまり、ただでさえ明確に見えていないコンセプトがウダウダになってしまうこと。
また、栄通等でも採用されたロードヒーティングが本当に機能するのか。受益者負担のための電気代等の維持費用が個々の負担になりすぎはしないか?その結果、スイッチを入れるところ、入れないところが出てくる恐れもある。
そして、すでに何軒が新築物件が建っていますが、意匠性の統一という観点から、すでに「あれ?」と思うような状況が垣間見えること。
せっかくの「まち再生」への起爆剤が、中心市街地活性化計画との連動も上手く機能せず、尚かつコーディネーター不足の現状から不完全燃焼で終わってしまうこと等々が心配されます。
私個人の意見としては、こんな類い希な豪雪地ですから、アーケードは必須ではないかと感じています。過去にあったような暗いものではなく、採光屋根を用いて(積雪があるとお手上げですが)、それも複合駅舎と同じような意匠をもって、実際の30㎏レールを構造体にしつつ、刻印レンガなどで装飾したアーケードがあると最高に良いのでは?と感じます。ただ、以前なら簡単につくることができたアーケードも、現在の規制からいくと道路敷地に新規につくるのはかなり難しいと聞いたこともありますが、何事も熱意があれば叶わないものはないはず。どうせなら夢を見れた方が素晴らしいと思います。
また、事業主体が北海道であるがゆえ、岩見沢市としてもどうしても遠慮気味になっているのが実情ではないかと感じております。しかし、岩見沢市の発展に非常に重要な役割を果たす駅前通りにおいて、多くの市民がもっと積極的に議論し、汗を流す空気が必要なのだと考えています。
《参考資料》
3月に一般社団法人ろのじ組で主催した、駅前通りを考えるシンポジウムの様子
https://hiranoyoshifumi.jp/2013/03/30/1433
【平成26年4月追記】
現在、この頃より工事も進行し、また私自身の考え方も色々と変化してきておりますので、この駅前通りに関しては新たにカテゴリー分けをさせていただいております。まだ量的にも大したことはありませんが、参考にしていただけると幸いです。《駅前通りカテゴリー》
名乗るほどでもない小市民ですが、コメントさせていただきます。
まずはこうした資料を公開していただきありがとうございます。市のHPに掲載されているPDF資料には無い点も記載されており大変興味深いです。
そして気になった事を三点、コメントさせていただきます。
一つ目は建物の用途についてですが、居室設置のルールに「住居専用施設を建設する場合は除く」という例外がありますが、これではせっかくのルールが効力を失ってしまうように思えます。というのも、岩見沢の街中を歩いていると新しいアパートが割と高い頻度でできているんですよね。不動産屋は空き地があれば手当たり次第に買って全部アパートにする気じゃないかと思えるぐらいに。
全街区にきちんとした再開発ビルなどの計画があれば別でしょうけど、このまま立ち退きや建て替えが終わって、いざ駅前通りにできた大量の空き地を民間に売却するとなれば、そこがアパートで埋め尽くされて「1階に店舗を並べて賑わいを形成する」という目的が完全に失敗する、そういった将来しか見えてこないわけです。そうなれば駅前通りは今以上に素通りされるだけの道と化してしまうでしょう。
私案ですが(本当に止むをえない特殊な事情を除き)1階に居室を設ける事を完全に禁止し、それによって建物の新築がしづらくなるのを建設費の助成制度などで補う、といった方法もあるのではないかと思います。
二つ目に夜も明るい街並みについてですが、これは現段階ではどういった案が出ているのでしょうか。
私としては、1階正面をガラス張りにし店内が見えるようにした上で、防犯上の不安を解消するためにガラスの飛散防止フィルムを建物の所有者に提供するというのが基本にしてはどうかなと考えています。夜の明るさの確保だけでなく、昼間でも道行く人に店の中を見せる事に繋がります。看板に店の名前などが出ていても実際の店内が分からないと不安で入りづらい、というのは全国共通だと思うのでまず見せる事からスタートする。
たとえば全国チェーンの店がオープンするとすぐ人が集まるのは、CMであったり雑誌であったりインターネットであったり何かしらの形で知らず知らずの内に情報を得ていて、黙ってても店内が予想できるからだと思うわけです。だからすぐに不安より興味が大きくなる。
でも個人店にそこまで情報を浸透させる発信力は無い。しつこいようですが、じゃあまずは道行く人に店内を見せるのが第一歩。駅前通りにも(素通りですが)若者が登下校時に大勢歩いてるわけですから。そうして昼間に店内を見せつつ、イルミネーションで飾ったりという個々の店の取り組みを追加して夜の明るさを引き出す形が良いのかなと。
あと、最後にどうしても気になるのが土地の有効利用。市のHPに掲載されている中心市街地活性化基本計画も読みましたが、与えられた容積率を十分に使っておらず土地が有効利用されていないと問題視している割に、対策らしき物が書かれていない。この記事にある駅前通り拡幅の地区計画においてもスルー。まさか市は何も手を打たずに、他の事業からの波及効果だけで何とかするつもりなのかと。
最近できた生涯学習センターなんかは敷地を目一杯使って地上5階建て・駐車場は地下と、土地を非常に上手く使っています。でもそうした公共施設ばかりではなく、民間のテナントビルなどもそうした土地の上手な使い方を見習ってほしいと思う訳です。
とにかく少しでも多くのモノを狭い範囲にギュッと凝縮しないと、せっかく街中に来た人もどこへ行けば良いか分からないわけです。服屋はどこだ、レストランはどこだ、と。結局、電車で遠出する時など「どうしても」という用件の時だけ街中に来て、それ以外はいつも郊外ショッピングセンターの専門店街へ足が向く生活スタイルに固定されてしまいます。
たとえば高度利用地区という容積率の下限を決められる制度もあり、それに指定すれば駐車場付き平屋建てなどの土地の贅沢な使い方はある程度しにくくなりますよね。(岩見沢市内にも指定地区は一応ありますが、ポルタビルのある区画のみ)そして、建物の用途の件でも書いたように、そうした規制で建物が建てづらい状況になるのを別の方法で補うと。
また、市議がおっしゃるロードヒーティングの受益者負担による問題、これも土地の高度利用で1つの建物に複数の入居者が入れば負担を分散できますよね。万一ロードヒーティングのキャパを超えて人力で除雪する事になっても、あるいはセットバックした60cmに置いた花壇の手入れなど色々な面で負担を分散できると思います。
以上、半ば妄想のようにダラダラと書いてしまいましたが、これから生れ変わる駅前通りと街中のために、1行でも1文字でも目を通していただければ幸いです。
コメントありがとうございます。
非常に興味深く読まさせていただきました。専門的な分野から一般的な見解まで幅広く記載されております。感謝申し上げます。
私が今最も危惧しているのが、時間も押し迫っている中で、こういう貴重な意見を各方面から集め、集約していく専門的な部門が弱いということであります。それは市の担当部門、中心市街地活性化協議会、商店街、市議会等々、更にはそれらの連携等、すべてにおいて言えることであります。
このまちの顔とも言える、大事な駅前通りが新しくなるのにもかかわらず、多くの方々にはそれがどのようになるのかの議論がみえてこない状況。今後もただ不満不安になっていても仕方がないので、私も出来うる限り、議論の活発化に向けて働きかけていきたいと思っております。もちろん、その前に自分なりの仮説を見いだせるようにしっかりと調査研究もさせていただきたいと思っております。
全国の多くの地方都市は疲弊してしまっており、この岩見沢も生き残りをかけて魅力を高めて行かなくてはなりません。そのためにどうしていくことが最良なのか?というのを多くの市民で共有していかなくてはならないと思っておりますので、今後ともお力添えのほど宜しくお願い申し上げます。
【6月12日追記】
*1階部分の居室について
「住居専用施設を建設する場合は除く」という例外についてですが、詳細はまた別の機会に調べてみたいと思うのですが、平成25年3月26日に施工された「岩見沢市地区計画の区域内のおける建築物の制限に関する条例」によると第4条において(1)一戸建ての住宅又は長屋 (2)都市計画道路駅前通に面した1階部分に居住のための居室を設けるもの等々に関して、[建築してはならない建築物」として規定されております。
本ブログ内に掲載されているルールは、「岩見沢駅前通りまちづくり運営委員会」がつくった【駅前通り地区まちづくり要領】を抜粋したものでしたので、今回ご紹介した条例においては50万円以下の罰金が発生する禁止事項となっています。(禁止事項等は上記と同じでありますが、このリンク先をご覧下さい)http://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/i/sangyo/tosi/chikukeikaku/book/keikakusyo.pdf
平野さん、お疲れ様ですー!
アーケードは本気で必要ですよ(^o^)v雨の日も雪の日もあれがあったお陰で
助かった感はたくさんありましたもん!
かといって、外野でガヤガヤ言うしか
出来ないんですが(T_T)、そんな1市民は署名でもして
集めればいーんですかね?!
マエカワさん
最も大事で、最大限の力を発揮できるのは、やはり当事者である商店街からの声だと思います。是非4条通りと連携をとって、駅前通り商店街の方々と夢を語ってみては如何でしょう?誰もがそんなアクションを待っているような気がします。もちろん、できる限りお手伝いもさせていただきますし!!
ちなみに、アーケードが大げさであれば、どこかの街でやっているように、通り商店街でおそろいのオーニングをつける手もあります。歩道が拡幅され、賑やかで楽しそうなイメージを出すにはとってもオシャレで良い案だと思います。コストもかからないし、冬期間や使用しないときは収納しておけますし・・。結構本気で考えておりますので、今度商店街に向けて提案してみようと思ってます。