児童虐待の実態と課題

平成26年8月31日 (日)教育を考える市民の会において、

第10会学習会「児童への虐待を考える」
~あなたの救いをまっている~

と題して開催されました。

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近年、非常に関心が高まっているテーマということもあり、開催前に席を追加するほどの来場者にお集まりいただきました。

今回の講師は北海道岩見沢児童相談所の堤茂樹所長様

詳細なデータを元に非常に説得力のあるお話をいただきました。
特に、現状を述べるだけではなく、支援のあり方、幼児期の目指すべき環境づくりに向けての前向きなお話まで大いに参考になりました。

その内容を自身のメモ書きとしてだけでは勿体無いので公開いたします。是非ご覧いただければ幸いです。(その場でタイピングしておりますので、誤字やおかしな文面等あるかと思いますがお許し下さい。)

 


《児童相談所の概要》

戦後に児童福祉法にもとづき設置。市町村と適切な役割分担・連携を図る。子どもの福祉を図るとともにその権利を擁護することを主たる目的とする。

業務:
① 相談、調査、判定、援助認定
② 在宅指導、児童福祉施設入所措置、里親委託等
③ 24時間365日対応できる一時保護

《相談の種類と主な内容》

① 養護相談~保護者の家出、失踪、死亡、入院等による養育困難、虐待、養子縁組に関する相談
② 保険相談~疾患等に関する相談
③ 障がい相談
④ 非行相談
⑤ 育成相談
⑥ その他

《児童虐待の定義(児童虐待防止法第2条)》

この法律において、「児童虐待」とは、保護者(親権を行う者、未成年後見人その他の者で、児童を現に監護するものをいう。以下同じ)がその監護する児童(18歳未満)について行う次に掲げる行為を言う。

① 身体的虐待~児童の身体に外傷が生じ、または生じるおそれのある暴行を加えること。
*外傷を生じるような行為/首を締める、殴る、蹴る、激しく揺さぶる、熱湯をかける、布団蒸しにする、溺れさせる、食事を与えない、戸外に締め出す、縄などにより一室に拘束する/意図的に病気にさせる

② 性的虐待~児童にわいせつな行為をすること、又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
*子どもへの性交、性的行為(示唆を含む)/触る、触らせる、見せる/ポルノの被写体にする等々

③ ネグレスト~児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、保護者以外の同居人による前二号又は次号に掲げる行為と同様の行為の放置その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
*不衛生、健康・安全への配慮ができない、子の意思に反し登校させない・教育を保証する努力をしない、遺棄、置き去り、保護者以外の家族同居人や自宅に出入りする第三者による虐待を保護者が放置する、子どもにとって必要な情緒的欲求に応えていない。

④ 心理的虐待~児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力(配偶者(婚姻の届け出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む)の身体に対する不法な攻撃であって生命又は身体に危害を及ぼすもの及びこれに準ずる心身に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
*言葉による脅し、無視、否定的な態度、子どもの心を傷つけることを繰り返す、自尊心を傷つける、差別、DV、配偶者やその他の家族などに対する暴力や暴言、子どもの兄弟に虐待行為。

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◆岩見沢児童相談所の相談対応状況◆

最も多いのが障がい相談。約6~7割。。

《全国的に見る虐待による死亡事件》

毎年50~60名程度が命を落としている(心中を含めると100名前後)。
0歳児の割合が4~5割と多く、虐待が妊娠中から始まっていることがある。

ひどい身体的虐待とネグレストが死亡事件につながる。

主な動機は、しつけのつもり(3歳以上の4割)、泣き止まない(3歳以下の2.5割)、保護を怠ったこと(3歳以下の3割弱)等。
加害者は実母5~6割、実父1~2割。

安定していた状況が家族の状況等の変化によって、急激に危険な状況に変化することがある。

 

《虐待と反応性愛着障害》

生後5歳未満までに親やその代理となる人と愛着関係が持てず、人格形成の基板において適切な人間関係をつくる能力に傷害がおこったもの。

・抑制型→自閉的傾向に似ている。他者に無関心・無反応
・脱抑制型→ADHDに似ている。誰に対しても薄い愛着を示す。

《虐待と心的外傷後ストレス傷害》

過去の耐え難い苦痛な体験により、強いトラウマを追ったもの。

1)侵入症状 2)回避と麻痺 3)過覚醒

《悪循環と虐待》

① しつけのためと思って行う努力が生む悪循環
*しつけのための(あるいは問題行動を直そうとするための)誤った努力が悪循環を作り、解決努力が虐待にまでエスカレートしてしまうことがある。
*私がこんなに努力しているのにという思いが怒りに変わり、その怒りが子に向かってしまう。
*この時、子どものために行っていたはずのしつけは、いうことを聞かせるための「支配」に変質している。死亡ケースでも「しつけのために行った」という保護者は多い。自己中心的な支配が虐待の本質である。(自己中心的な支配ではなく、知的な能力や精神的な問題から不適切な養育をしてしまうケースもある)

② 間違った考え~子どもに対する基本的な考えが間違っている場合は、その考えに基づいた行動が虐待であったり、虐待を誘発する要因となることがある。

*例えば
・体罰はしつけのために必要である。(しつけ=罰を与える)
・子どもは絶対に親の言うことに服従すべきである。(子どもは独立した人格ではなく、親の所有物である。)

◇こうした考えは、「しつけ」を「支配」に変質させる。

【悪循環】 問題行動→怒り→叱る・叩く→情緒不安定→さらなる問題行動というループ
【好循環】 適応行動→情緒安定→褒める認める任せる→情緒安定、意欲→更なる適応行動

《虐待通告について》

・虐待は保護者のSOS、問題行動は子どものSOS
・通告は援助につながるもの
・子どもも、保護者も助けを待っている。援助を必要としている。
・通告されて良かった。助かったと言ってもらえるのが理想。
・通告は国民の義務
・通告義務は、医療従事者や公務員などの守秘義務に優先する。
・通告者を特定する情報は漏らしてはならない。

《支援の基本》

① 援助の基本は、保護者、児童との信頼関係、協力関係の上に立って援助することである。そのために、保護者との関係を対立関係から虐待環境の改善を共通目標とする協働関係へ変えることが重要。
② 保護者が悪いのではなく、虐待行為が悪い。保護者に虐待をさせている「何か」を無くすため一緒に協力する。あるいは誰もが望ましいと考える状況(共通目標)をつくるために協働するというスタンス。
③ 人が変わるには温かさが必要。保護者も自分も守ってくれる人が必要。人は人から絆(つながり)を通して、心のエネルギーを得て生きる存在。共感が心を癒やし、エネルギーを与えてくれる。



ここまでは虐待の現状を教えていただいたものと認識しました。ここから先のお話が自分にとって、非常に参考になる内容でありました。

長くなりますので、それは次項にて投稿させていただきます。

2 thoughts on “児童虐待の実態と課題”

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