6月24日 本会議終了後、議会特別委員会、並びに中心市街地活性化特別委員会が開催されました。
委員会の中での質問・発言に関して、補足が必要かと思いますので、私の思いとともに記載させていただきます。
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現在、内閣府認定による中心市街地活性化計画 第1期計画が1年延長され、2期目に向けた計画が策定されている最中であります。
なんで今更中心部?という声があろうかと思います。確かに「現在大型店が出店している近郊を開発した方が話は早いのでは?」という声を良く聞くのも事実であります。
しかし、今後の右肩下がりの世の中において、社会環境維持においては生活圏が分散するよりは極力コンパクトにまとめた方が効率が良いことなどを視野にいれることはとても大事であり、長期的にみた社会投資に関しても、できるだけ中心部に集中されることで維持費等の減少のみならず、プラス方向への相乗効果も得られることに繋がります。また、中心市街地と言われる範囲において、岩見沢市全体の固定資産税(土地のみで検証)の約1割をしめているという事実があり、この中心部の価値の下落は市の税収減にも直結し、逆にこのエリアの価値が上がれば税収の向上にも影響が大きいと考えられると思います。(このあたりはまだ上辺の知識しか持っていませんので、今後精査していきたいと思っております)
そして、駅を中心としたエリアは岩見沢の開拓からの記憶を背負うところでもあります。
駅北には19世紀の建物であるレールセンターがあり、これからの都市整備を考えた時にあらためてアイデアを構築しやすい土地区画整理事業区域があったり、何より、交通の拠点として栄えた歴史を持つ立地環境は、今なお公共交通機関が見直されるようになれば、再度スポットライトが当たってくる可能性もあります。これは市内のみに話を移しても同じことであり、はやり公共交通機関を用いれば、中心部へ向かうのは容易なこととなります。(今後、高齢化が進めば、否応なしに車社会では対応できなくなります。)
確かに現状としては、郊外の大型店の方が無料バスがあったりして、そちらの方が行きやすいという方も多いとは思いますが、実際問題として中期的視野に立てば、すぐ先の2040年に人口が現在の8万8千人から6万人と現状の約7割程度となり、また、高齢化率も大幅に上がっている(特に高齢化が進むと、消費行動の必要性が激減するので、経済が流動しずらいい)ことを考えたときに、現在の大型店がどういう状況になっているのか・・・。市場原理だけにその市場に最適な量が生き残ることになるとは思いますが、その結果、市民にどういう影響が発生するかはその時になってみなければわかりません。
いずれにせよ、岩見沢市としての魅力を高めることをしなければ、この人口減少=悪循環へ拍車をかける傾向は止めることが出来ず、自治体間の生き残りに埋もれていくこととなります。
だからこそ、、少なくともすぐ隣に特急でわずか25分程度のところに190万人が住んでいて、また、北海道の中でも交通の要所として栄えた要素があるがゆえ、どこから来るにも適度な距離であることなどを考えると、まちとしてのアイデンティティを確立することが出来れば、都市間の生き残りにも十分勝機があると思っています。
ただ、その勝機を掴むには戦略的な投資をしなければならず、その核となりうるものが中心市街地をどうするか?という部分と緊密にリンクしなければならないと感じております。
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という背景を考えつつ、今回提示された中心市街地活性化 第2期計画骨子案を読み取ると、、これまで実施されてきた1期目の反省を踏まえ、様々に考察し作成された骨子案の内容には大きな変化はなく、このまま進めばやっぱり人口問題研究所の発表の通り、約6万人しかいない街になってしまうことが予想されてしまいます。(少なくとも、現状の計画内容が100%実施されたとしても、この岩見沢の人口減少に歯止めをかけることは不可能であることは想像に難くありません。)
それは雇用の場が激減することにも繋がり、若者は働く場所に恵まれず、岩見沢市内で家庭を持つことすらハードルが高いものとなり、ひいては更なる生産年齢人口の流出に拍車をかけるという悪循環に陥ります。
更にはそれが市としての著しい歳入減を招き、今後増大する社会保障費等の負担により、にっちもさっちも行かない疲弊した地方都市になってしまうでしょう。(これは平成18年に合併をした北村、栗沢にとっても大きな問題であり、今後の岩見沢市の健全財政を目指すためには、戦略的に投資をし、その波及効果を全地域へと分散させる考え方が必要なのだと思っています。)
そんな危機的状況が目前に迫っている事を把握しながら、何らアクションを起こせないのは大問題なのであります。(これは行政、事業者のみならず、市議会としても責任は重大です。)
少なくとも、現状の平成30年時点で掲げられている目標値【歩行者・自転車通行量等において、ほぼ現状維持を実現すれば目標達成。】を考えた時に、それが対処療法にしかすぎないことは明確であり、今後の駅前通りにしても、民間投資の意欲が高まるかというと、恐らく相当な苦労をすることと思われます。
という事で、私としては、この中心市街地の活性化を岩見沢市全体の魅力向上のための起爆剤としなければならず、そのためには思い切ったビジョンが必要だろうと考えている一人です(もの凄く難しい事だけれども、やらなければ2040年には前述の通り、人口6万人の疲弊した地方都市になる可能性が高くなります)。
ただ、これまでの体制では新しいアイデアを構築するのは非常に難しいことだと感じています。私だっていくら頑張ったところで専門的な知識もなく、悔しいながらも小さな花火を打ち上げて終わってしまうレベルであろうし、これは現在中心となって活動している「中心市街地活性化協議会」の面々においても同様のことが想像され、その結果が1期計画の焼き直しとも言える2期骨子案になってしまっているのがその証拠であろうかと感じています。
これはもちろん、、その組織そのもの、また構成する一人ひとりを批判するものでは決してなく、それぞれに全力で事に当たっているのであり、私としても第2期計画の下部組織的な検討チームに参加させていただいたりしているわけですが、残念なことに劇的なものは出てきませんし、リスクを考慮した時にそのアイデアを打破する専門的知識の欠如から、夢物語よりも前に進むことができません。
本来であれば、そういったことを取りまとめ、実現すべく、エリアマネジメント組織が必要なのですが、残念なことにそんなスーパーマンの様な能力を持った人が、わずかの報酬で来るわけもありません。
その結果、今回の定例会、特別委員会の中でもエリアマネージャー的なポジションを置くべきか、もしくはそれぞれのセクションにアドバイザー的な役割を入れていくかという話になりがちですが、私がこれまでの経験から感じてきた中活において根本的な問題は、誰一人として「みんなが夢を見れるような共通のビジョン」を掲げることができておらず、あくまで”点的な活動を積み上げている”だけということであります。
そこで、2期計画においても、新しく雇用するエリアマネジメント組織にビジョンを元にしたリーダーシップが欠如していたり、セクション事にアドバイザーが入ったりしても、それは点的な活動を繰り返すに過ぎず、やはり大きな進展は見られないだろう。と考えています。
そこで、こういった問題を打破するためには、やはりプロフェッショナルの知識と行動力を借りる他はないのではないかと思っています。
そんな思いから、定例会の一般質問の再質問でも述べさせていただいた、公募型プロポーザルに話は移ります。
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現状として、我々に色々と全国のまちづくりの事例を教えてくれる㈱ワークヴィジョンズが手がけているものだけでも、佐賀市では疲弊した商店街の中の空き地に芝を張り、目的を定めたコンテナを配置し、多くの人の賑わいが戻ってくる社会実験を実施し、現在は次のステップに進行中です。また、大分市では駅周辺を大胆に変えていく構想により、市民の意見を二分しながら激しい議論が継続中です。これはこれまでの6車線道路を2車線に変えて「公共機関の充実した街が今後は生き残ることができる」という視点の中で、新しいトライをしているところです。
また、函館も中心市街地トータルデザイン作成業務において、プロポーザルを実施しています。この函館市の担当の方々はとてもアンテナが高く、コミュニティデザインに関しての第一人者である山崎亮さんと、建築物だけではなく、まちづくりデザインのスペシャリストとなりつつあるwaoの西村浩さんとのシンポジウムなどを開き、尚かつ、私たちの「いわみざわ駅まる。」の活動もわざわざ視察にくるなど、とてもアグレッシブな方々で、恐らく今後の函館は魅力的なビジョンをつくりあげ、市民の投資意欲も高まり、活気のある街になってくるであろう期待感が出ています。
更に、最近では福島県の喜多方市で、市民活動と行政の連携により、新たなプロジェクトがスタートしているようです。
それ以外にも、ちょっと検索をすれば、松山市も様々なトライをしているようですし、東北の被災地でも新たな都市デザインそのもののを外部の力を借りて推進していこうという動きが見えます。きっと日本中で新たな動きが発生してきています。
であるからして、、
この岩見沢市においても、こういうトータルデザインを示し、リードしてくれる役割が必要だと心から感じています。
例えば、これまでの私の「駅まる」や「JC」等の活動においても、横の連携というのは、意欲はあってもなかなか取れないものであり、結果として勝手に自分たちのできる事をやることに繋がります(それでも手一杯で結構疲弊してきます)。これは他の活動団体にしても同じであり、所詮点が勝手に動いているに過ぎず、岩見沢市全体の取り組みとしては、ベクトルの合わないものになってしまい、結果として成果が現れず、みんなで疲れていってしまっているようなものです。
そんな経験を幾多も繰り返しながら、現状の考え方に行き着いたわけですが、この壁を打破するには「よそ者」の知恵が必要だと考えるに至っています。
まちを変えるのは「よそ者」「若者」「バカ者」と言われる通り、煮詰まっている中で狭い議論をするより、積極的に実力のあるよそ者の力を借りるべきだろうと思うのです。
岩見沢複合駅舎だって、全国のJRグループで初めて設計コンペでつくられた駅であります。結果、著名な建築家も含め400近い応募があり、その中から選ばれた現在の駅は国内外の13もの大きな賞を受賞するに至っています。ただ、私たちの力不足により、その駅がどれほど素晴らしい駅かを強く発信できずにいるのが申し訳ないところですが・・・。そんな環境から、駅周辺・駅前通りや中心市街地を「地方都市再生に向けたトータルデザイン」として公募することが出来れば、これまた時代の流れの中で、非常に優秀な方々の知恵を借りることができるのではないかと想像しているところです。
もちろん、その環境を作っていくのは地元の人間であるからして、それぞれのファシリテーター的な役割を含め、中心人物となりうる者、組織が必要であります。できれば本業の片手間ではなく、それを生業として生活できるぐらいが理想ですが、ここはまだ我慢が必要なところかもしれません。
いずれにせよ、なんせ難しいことでありますが、「難しい」「大変」「かなり困難」という言葉ばかりが聞こえる中で、それを避ければ対処療法しかできないのであります。
私達市民も、対処療法の繰り返しを求めるのか、それともある程度のリスクを認めながらも、積極的に挑戦していく道を支援するのか。そんな選択を迫られているのだと思います。
皆さんはどう思われますでしょうか?
私は対処療法的な活動が展開され、平成30年において中心市街地の歩行者数が現状とほぼ同レベルであれば目標達成!というのは活性化計画としてはあまりにも寂しすぎると感じています。
であるならばどうする?というところで前向きな議論を進められればと思っています。
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**以下、参考資料**
中心市街地活性化特別委員会の中で質問した際に、自分の思考を整理するために作成した原稿です。(実際の質問とは異なりますので、正確な質問、並びに答弁については議事録が出来次第投稿させていただきます。)
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例えば、1日あたりの歩行者及び自転車通行量の平成30年度目標値が、平成24年度から約300人増の6,000人と設定されています。内閣府から求められる数字的根拠を考慮した際、今、現実に考え得る事業案を積み重ねた結果として、何とか現状より微増となる数値目標を掲げられたというのが実情なのだろうと察しますが、果たしてこの岩見沢の中心市街地の将来を考えた時に、この数値目標で良いのかどうかというところに大きな危機感を感じています。
この資料にも記載されておりますが、中心部が賑わっていた昭和50年には、歩行者数だけで1日あたり約25,000人。自転車数を考慮すると恐らく30,000人/日を越える通行量だったと思われます。郊外に大型店が出揃い、中心部の通行者数が激減したあとの平成16年の段階においても約10,000人/日の歩行者、自転車もいれると恐らく13,000人/日はいたであろうと思われます。
この計画のように、平成30年の段階で昨年の平成24年度より約300人/日の増加がみられるようにするというのは、「いわなび」の利用者が1日約250人程度と考えると、まさしく今現在の中心部の歩行者数が平成30年度に維持できていれば目標達成となるわけであります。
私は今後の人口減少社会において、人口問題研究所の予測の通り、2040年に6万人になる街にしないための努力をしていかなければならないと信じています。今の目標は人口減少が予測通り進む前提の数値であろうと考えますが、この中心市街地活性化の議論においては、交通の拠点としてのポテンシャルや歩んできた文化、歴史、また、特急でわずか25分のところに190万人が住んでいる札幌市があるということも含め、何とかこの街の魅力を育み、自治体同士の生き残りの中でも勝ち残っていける岩見沢市にしていかなければならないと思っています。
したがって、岩見沢と環境が近いある街では、実際に街中再生のビジョンと実践をコンサル等に委託し、目に見えて街中に人が戻ってくるという結果を出しつつあります。またある街では、駅周辺のトータルデザインを公募型プロポーザルで行い、今後の縮小社会においては「公共交通機関が充実している街が生き残れる」という視点の中で、6車線の道路を2車線にして大胆に駅周辺を再整備することを市民と厳しい議論しながら進めているところもあります。また、あるところでは、地域住民が中心となって、町並み再生に向けたデザイナーを雇い、そこに市が助成しながら官民連携で中心市街地再生に向けたデザインづくりをしています。他にも中心市街地活性化基本計画策定に伴う支援業務、またトータルデザイン業務、将来ビジョンの策定に関して外部委託を行うのは、すでに他都市では珍しい手法ではなく、今、アイデアが手詰まりの状況のこの岩見沢市の中心市街地活性化にとっては非常に有効な手段であろうかと考えます。
現実のところ、駅北土地区画整理事業区域に関しても、都市計画マスタープランにも載っているようにレールセンターの活用を含めて全市的に魅力づくりの作業を始めるべきだろうとも思いますし、やりようによっては、1・6地区や他の未利用地についても、これまた都市計画マスタープランの20ページに載っているようなライトダウン方式というのも起爆剤になるかもしれません。
いずれにしても、平成30年において現状維持を目指すのか、それとも長い目で見た岩見沢市の活力向上に向けて舵を切るのかというのが、この中心市街地をどう考えていくかで変化してくる重要な部分だと考えています。
この外部委託を含め、市の考え方をお聞かせいただきたいとともに、10月には2期計画を国と協議しなければならない状況下、今後の進行スケジュールにおいて、公募プロポーザルをふくめた新たなアイデアを実現するためには、どういった手法があるのか?という2点について質問。
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