北海道自治立志塾(札幌トモエ幼稚園)

平成26年8月29日

クラブ会議&議案説明終了後、元恵庭市長の中島興世氏が主宰する、超党派の勉強会、北海道自治立志塾に参加してきました。

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(上記画像は民主党道議会議員の広田氏のブログより拝借。立志塾は超党派勉強会のため、自民系、民主系、維新系、完全無所属系等々、様々な議員が集まるのがこの塾の素晴らしいところです。)

前段は各参加議員からの活動及び質問等についてのディスカッション。

前々から、当塾の「一般質問は理事者の答弁には期待するな。それよりも共感が広がっているかどうかを意識しろ。」という教えを信じています。


さて、今回の勉強会に関しては札幌トモエ幼稚園の宮武大和先生のお話でした。

非常に感銘できる内容だったため、大変失礼ですが、以下、未精査の殴り書きメモを公開します。

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事前の紹介フレーズより、、

「世界に誇る森の幼稚園である。」「子どもの遊び&保護者を支える。」

自己紹介:大学時代、トモエ幼稚園に行く機会があった。そこで自分が育った白老町の価値に気づいた。全く畑違いであったが資格を取り直してこの幼稚園に勤めさせてもらった。今、勤続16年目。

北海道の子どもの体力測定値は全国46位。身体能力を高めることを含み、子どもの遊びをどう保証していくか?

幼稚園の考え方→母親が元気なら子どもも元気になる。

親も一緒に通う幼稚園


トモエの実践について

・家族でいつでも参加できる(自由)毎日参観日?
・オープンスペース
・自由を大切にする生活~失敗を含めて子どもが体験する。
・チーム保育~基本的な窓口としての担任は決まっているが、相性があるので、全職員が担当という意識
・豊かな自然環境
・男性保育士が多い

「トモエ」という園名の由来~窓際のトットちゃんの「トモエ学園」からとった。

~物語の中の教育観を引き継いだ~

札幌市内でも山の中、近くで熊もでる。しかし、幼稚園の敷地は賑やかなのでこれまて出たことはなし。

園舎は斜面を利用して建てられている。フロアも大きく4段に分かれていて、壁は無いが、段差である程度仕切られている。

プライベートな時間を過ごすこともできるスペースもある。

2歳未満児に関しては完全無料。

子育てがしにくいと言われる現代社会。その要因は?

・核家族化で身近な相談相手がいない。
・地域社会での人間関係の減少
・住宅事情
・etc(メモが間に合わず・・)

母と子の密室子育て ~ 親の孤立。子育てや自分の時間を楽しめない。ストレス→虐待。

子育て未経験であれば、親としての能力がすぐに発揮できないのも当たり前。

・親になって初めて赤ちゃんを抱く
・氾濫する育児情報と現実のギャップ
・わが子を「かわいい」と思えないことに悩む

今の親が育ってきた環境からは仕方のない現実・・。育てられている時に育てることを学ぶ機会が少ない。家庭地域の子育てが少ない。

赤ちゃんは昔も今も変わらないはず。

様々な事例は保護者が悪いわけではない。社会全体の責任。

現状を批判するのではなく、現状に合わせてどう子どもと親が育つ場をどうつくるか?


トモエ幼稚園の実践~考え方

親子の相互作用(親の感情と子どもの感情はリンクする)を考えると、4時間の保育時間で子どもだけを支えても限界がある。

・親子が精神的に安定して過ごせる場をつくる。
・子どもの生活の基板である家庭と積極的に連携する。
・親が楽しく「自分で子育てする力」を高めるための支援。
・多くの人間関係の中で子ども、親・職員が互いに支えあって育つ環境づくり

これらのことを実現するために、1986年の開園時から、すべての登園日に園児家族へ開放をしている。

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最初はビニールハウスで2年。

調整区域のため、認可がなければ建物がつくれなかった。

保護者が積極的に支援。署名、ストーブ、備品等々。

保護者の関わりは自由、1日中いても良い、お迎えだけの人もいる。しかし、園とコミュニケーションが取れない保護者は皆無。通園バスで子どもと一緒にくるのもOK。

午前中は思い思いの活動

保護者が火の炊き方をレクチャーしたり、泥団子をつくったり。

虫、蛇 ~ 種類の分かる子は自分で捕まえても良いルール。

少し降りると川がある。河川使用料を払っている。

サンショウウオやヤゴ、ザリガニがいる。木登りができる。

アブナイと思われる場所、遊びが多いが、経験を蓄積してきているので、怪我は少ない。ここから先はアブナイ!とやるから本当にアブナイ。子ども達に判断力を培わせる。

本当にアブナイことは子どもがやらない。

その判断力や危険箇所等は毎日先生同士で情報を共有している。

来園する赤ちゃんを関係のない子どもがあやしたりする。子育て経験を積める

子どもに混じって先生も一緒に飛ぶ。子ども達は徐々に経験を積んでステップアップしていく。

山ではぶどうのつるでブランコをつくったり、崖滑りをしたり、美容師のお母さんが他の保護者の髪を切る。役割ができる。感謝される。居場所ができる。

映像で小さな子どもをあやすシーン。これは他の子の赤ちゃん。

みんな自分の子どもも他の人の子どもも同じ扱い。

お母さん同士の情報交換の場になっている。

一人っ子の子どもも兄弟が沢山いる状態。。

密室で子育てすると子どもに注意する事ばかりになる。この幼稚園にくるとそうでなくなる。お昼ご飯もみんなでつくる。食べるところも誰と食べるかも自由。

職員室も夕方等はサロンの様に開放されている。

午後からは年齢別での活動となる。

仕事をサボって参加するお父さんがいたりする。

子どもに対しての関わりは勿論、保護者が精神的に不安定な人が爆発的に増えている。「母という病」という本がある。愛着障がいというもので、特に母親から受けた精神的なトラウマ的なものをお母さんのお母さんからの関係で負った傷が、自分が子育てする段階で噴き出してくる。そういう問題を抱えているケースが多いのが実感できる。

そういう対応が必要 ~ 相談を受ける。個別の場もあれば車座の場もある。子どものこと、自分のこと、それぞれに問題を共有できる。職員は勿論、親同士が支えあう。この「愛着障がい」は全国的な傾向。

保護者自身も楽しむことを大事にしている。

3泊4日 園庭キャンプ ~ いつ来ていつ帰っても良い。ここから仕事にいくお父さんもいる。(映像作家のお父さんがつくった映像を見る)

この間に保護者主催だったり園主催だったりのイベントがある ~ 日常と違う人間関係が生まれる。

時々、幼稚園でお泊り会がある。

子ども達が寝たら、お父さん、お母さんが飲み会になる。

そういうネットワークから、保護者の力を持ち寄ってピザ窯をつくったりという事象に繋がる。

幼稚園は土日休みだが、緊急な場合は職員の家庭で子どもを預かったりする。


《幼稚園開放の利点》

・発達や個人差に合わせて緩やかな親子関係ができる。
・自分の家族以外の幅広い年令の人間関係の中で、様々な個性を認められるようになる~同じことをしてもおこる人、おこらない人。

 

[保護者の視点から]

・子どもの成長がよくわかる。
・よその子との関わりを通して自分の子を客観的に見ることができる。
・親同士の支えあいが生まれる
・親自身の様々な経験、才能を活かせる。

[職員の視点から]

・親子の関係や家庭の様子がよくわかる。家庭訪問が必要ない。どんなに取り繕ってもよくわかる。
・送り迎えだけでないので、喜怒哀楽を共にする機会が多いので信頼関係を築きやすい
・職員だけではできない活動がうまれる

[デメリット]子どもが自分の親に来ないで!という場合がある。これは子どもが親の前の姿と違う個を持ち始める。こういうことも大事。。

 

幼稚園という場で子育て中の家族と家族を繋ぐことで、助け合いながら楽しく子育てができる共同体を実現している。


国勢調査などからのデータ:子ども一人あたりに対する大人の数

1970年 1.74人
1970年 3.18
2014年 6.9人
2061年 10人

何かを学ぶためには自分で体験する以上に良い方法はない。(アインシュタインの言葉)

トモエ幼稚園も同じ、体験する以上に良い方法はない。


という様な講演がありました。

【補足】

私の感想は、想像以上の凄さ。本当に素晴らしい環境ができていました。是非、視察にいってみたいです。

先日からプレーパーク等を実施しているのも、少しでもこういう環境に近い経験を大人にも子どもにも得てほしいからであります。

さぞかし、人気の幼稚園で順番待ちが発生しているのだろうと想像していたら、実際には定員割れであり、経営も苦しいとのこと。

 

その信じられない言葉に対し、要因を伺ってみると、、、

 

今、人間関係を得意としない人が増えてきている。トモエのコミュニティは初めて来る人にとっては既に出来上がったものに感じてしまう。そこに自分からは入れないという尻込み。

幼稚園なので、今は働かないと生活が成り立たないという家庭が増えている。

トモエ幼稚園でも所得の高い層(市からの援助対象外)は1割程度。

この10年ぐらいは定員120人中80名ぐらいで推移。

保護者の持っている問題に対応しながら、今の職員で対応していくには丁度良い規模。

保護者の抱えるトラブルへの対応をするには限界の人数。(平野補足:幼稚園でありながら、子どもだけではなく親が抱えるトラブルへの対応という言葉がでるところが、この幼稚園の本物の凄さだと感じました。)

この保護者の問題に手を入れなければ、絶対に子どもの環境は良くならない。

男親なら見守っていられることも、女性だと危険に敏感で見守っていられない傾向がある。

いかに親をお客さんと感じさせないかが大事。サービスを提供する方、受ける方に二分すると向かい合ってしまう。

子どもを育てるという方向で一緒に同じ方向に向かわなくてはならない。

先生も自由采配が多い。(園長が責任を持つから自由に!というスタンス)

先生が縛られていたら、子ども達にも広がらない。

 

 

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塾参加議員さんの話。

ニュージーランドのプレイセンターと似ている。

目標:家族が一緒に成長する

それを実現するために自由遊び、学習、自主運営

一番大事なのが自主遊び(セッション)0歳~5歳の就学時までが対象。

学習は知識を養う場ではなく、モノゴトを解決していくというスタンス。

「ダメ」と言わない。「こうしたら良いよ」も一歩ずれると今を否定していること。

否定しないことを原則に接するのがルール。基本的には親が自分たちでつくる。

プレイセンターは実はニュージーランドでは幼稚園や保育園より最も古い制度。


トモエ幼稚園を一言で言うと

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母が輝く幼稚園。

母とはこうあるべき。という概念から、ありのままで認められるところ。

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大人が楽しんでいる姿を子どもに見せるのが最高の教育である。

定員割れしている現実:世の中のニーズと合わない。

現在は保護者はもっと学習に力をいれてほしいと思っている。幼い頃から英語を教えてくれ等々。

自己肯定感が育めない現実。学習の前に本当に人間として身につけていかなければならない能力があるはず。それを培う環境づくりが必要。

親も社会もその大事さを認識するに至っていない。

そのために、価値を感じる説得材料が必要。これは社会全体の問題としてもっと真剣に議論を深めるべき。


ざっと、しっかり精査せず、殴り書きのメモとなりましたが、本当に素晴らしい取組みでありました。そうでありながら世のニーズと合致しないという歯がゆさを感じています。自分も今後の人口減少社会において、自治体間の生き残りに関しての優位性は、いかに子育て環境を良くしていけるかが大事だと考えています。その方向性というのが、これからを担う子ども達に、しっかりと生きる力を身につけさせる。ということで、このトモエ幼稚園の考え方ともリンクします。

しかし、それだけの価値あるものが世のニーズとして受け入れられ難いということは、また違う角度からも検証が必要だということでもあります。

ただ、この方向性は絶対に間違っていないと信じています。

この価値を社会全体で共有できる環境づくりをまずは進めていかなくてはならないということがわかりました。

ちなみに、この幼稚園の様子はyoutubeでも色々と見ることが出来ます。是非、ご覧いただければと思います。

 

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札幌トモエ幼稚園公式webサイト:

http://www.ne.jp/asahi/tomoe/forest/tomoe_top/tomoe.htm

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