〈令和8年10月21日投稿〉
~105年間の全国人口と、岩見沢市の45年間のデータから考えてみる~
すでに人口減が言われて久しいですが、その課題の根幹は、「社会を支える年齢層」と、「社会保障を受ける年齢層」の構成や比率が大きく変化していくことであり、その状況にはとても厳しい現実があります。
そこで今回は、自分自身の思考の見える化を兼ね、1920年の第1回国勢調査から、2025年までの全国人口を年齢別に整理し、「最も稼いで、最も使う世代」がどう変化したかを追ってみます。さらにそこに岩見沢市の統計を重ねると、人口減少が地方都市の暮らしや行政運営にどんな課題があるのかが見えてきそうです。
〈要素1〉 日本では、”現役世代”の人口がすでに減っている
2025年国勢調査の15~64歳人口(生産年齢人口)は約7,348万人。1995年の約8,716万人から約1,368万人(15.7%)減少しました。
65歳以上は2025年に約3,614万人、総人口の29.4%です。
ただし「15~64歳=働いている人」ではありません。今では65歳を超えて働く人も多く、年齢だけから所得や納税能力を直接求めることはできませんが、社会全体の人口構造の変化を捉えるには欠かせない基礎値となります。

【図1:全国の年齢3区分別人口推移(1920~2025年)】
〈要素2〉 注目すべきは、”次の働き盛り世代”の少なさ
将来の仕事や消費を考えるため、生産年齢人口ではなく、「25~39歳」と「40~59歳」を分けて比較してみました。
全国の25~39歳は1975年の約2,846万人から2025年の約1,960万人へ約31%減少。一方、40~59歳には約3,434万人の厚みが残りますが、こちらも1995年をピークに減っています。
40~59歳には家計消費の中心となる世帯主が多いと考えられますが、世帯人員や雇用形態によって消費力は違います。年齢別人口を、そのまま所得総額や売上高と読み替えることはできません。ここで見たいのは、これからの経済活動を支える人口の「土台」の変化になり、25~39歳の減少が深刻な状況に繋がることをイメージできます。

【図2:全国の25~39歳と40~59歳の人口推移】
以下は5歳年齢別のヒートマップで、色が濃いほど人が多いことになります。

このヒートマップを見ると、戦後の人口の厚い世代が”時間とともに高齢側へ移っていく”様子を確認できます。一方、近年は若い年齢階級ほど人口の層が薄くなっていることもわかります。
なかなかショッキングな図です。
〈要素3〉 岩見沢市では、その変化が全国より早く厳しく現れている
岩見沢市の2026年版統計書にある国勢調査の年齢別人口を、旧岩見沢市・北村・栗沢町で合算し、現在の市域として1975年から2020年まで追い、合併をはさんでも比較できるようにしてみました。
25~39歳は21,135人から9,616人へ、45年間で54.5%減少。
40~59歳は22,816人から20,477人へ減少しました。
これに対し、70歳以上は4,036人から22,281人へ約5.5倍となり、2020年には40~59歳の人数を上回っています。

【図3:岩見沢市の25~39歳・40~59歳・70歳以上の人口推移】
同じ1975年を100とした25~39歳人口指数で見ると、2020年には全国72.4に対し、岩見沢市は45.5。
若い働き盛り世代の減少が、全国平均より大きいことが分かります。

【図4:25~39歳人口の全国と岩見沢市の比較】
これだけの人口構成の変化があれば、住宅を取得する世代、子どもを育てる世代、地域商業の客層、事業所の働き手や後継者のあり方も変わることとなり、やはり地方の厳しさを感じます。
〈要素4〉 社会保障の需要増に、どのように向き合うか
全国の社会保障給付費は、1990年度の約47.4兆円から2024年度には約138.3兆円へ、名目額で約2.9倍となりました。(ただし、この数字には年金、医療、介護だけでなく、子育てや障害などの給付も含まれます)

【図5:全国の社会保障給付費の推移】
高齢者が増え、現役世代の人口が減れば、医療・介護を必要とする人を支える人材や財源の確保は難しくなります。社会保障は安心と消費を支える仕組みでもあります。だからこそ、給付を単純に減らすか増やすかだけでなく、必要なサービスをどのように持続させるかが問われることとなります。
実は今日の決算審査特別委員会で、介護保険給付費の不要額について質問をしましたが、その真意は「2035年頃までは介護認定者は増える一方なのに対し、介護人材となる働き手は減る一方」という厳しい状況を鑑みたものでした。なかなか楽観的にはいられない現実が懸念されます。
〈要素5〉 日本の世界経済における相対的な規模も縮んでいる
世界銀行の名目米ドル建てGDPを比較すると、日本が世界経済に占める割合は1995年の約17.8%から2025年には約3.7%になりました。世界経済全体の成長に加え、為替の影響も受ける指標のため、これだけで日本の全産業の競争力低下を意味するわけではありません。

【図6:世界の名目GDPに占める日本の割合】
しかしながら、国内の人口構造が変わり、世界における日本の相対的な経済規模も変化した今、かつてと同じ経済成長を当然視して社会制度を維持することは難しい現実があります。
ここに数年前のウッドショック等の日本の買い負けや、近年の輸入関連の物価高騰などなどに繋がってきます。もうかつての強い日本は影を潜め、どんどん力を失い、それが私たち一人ひとりの生活に大きな影響を及ぼすレベルにきてしまってます。
恐らく今冬の灯油高騰による補助などの話も出てくると思いますが、これら様々なネガティブな背景の中で、どこからそれらの費用を捻出するのか?未来からの借入とするならば、あまりにも次世代にとって苦難が残ることになりはしないか、ここはしっかりと考えていかなくてはならないと思っています。
〈要素6〉 岩見沢ならではの難しさ
岩見沢市の面積は481.02平方キロメートル。
市街地に加え、栗沢や北村などの農村地域も抱え、冬は積雪への対応が欠かせません。住民が減ったからといって、生活道路の除排雪、救急搬送、上下水道などのボリュームまで人口に比例して小さくはなりません。その多くが、かかる費用は増え続け、今より少ない人口での割り勘になっていくと覚悟しなければなりません。
もちろん、お金のことだけではなく、若年層が減ることで労働力たる担い手の不足が顕著になります。
市が2026年に策定した地域公共交通計画でも、人口減少や乗務員不足を踏まえ、持続可能な交通ネットワークの形成を課題としています。免許返納後の移動手段や、地域間での通院・買い物をどう確保するのかは、これから一段と重要になってきます。
また、市立総合病院は岩見沢市だけでなく南空知の地域医療を担う拠点です。
新病院の整備や医療機能の再編は、人口が減る中でも必要な医療を維持し、人材と費用の両面で成り立たせるという、難しい課題の象徴でもあります。
商業、農業、医療、交通、除排雪。これらは一見別々の政策ですが、働き手と利用者の構成が変わるという共通の土台の上にあります。
いよいよ、何を残すかだけでなく、どのような方法なら将来も機能を守れるかという問いに変えていかなければならないフェーズになってきたことを感じます。
〈要素7〉 「将来の岩見沢」を、予測ではなく問いとして考える
国立社会保障・人口問題研究所の2023年公表の地域別将来人口推計では、岩見沢市は2020年の79,306人を基準に、2050年には45,761人と見込まれています。約42%の減少に相当します。(注:2020年国勢調査を基にした条件付きの将来推計で、2025年国勢調査の結果を反映した確定的な未来ではありません。)
もちろん、人口を増やす努力は必須です。
同時に、仮に人口減少が進んだ場合でも、医療、交通、教育、上下水道、除排雪などの基礎的な機能をどう守るか、具体的な設計が不可欠となります。公共サービスの範囲や水準、広域連携、AIなどのデジタル技術の活用、公共施設の利用料改定や更新方法など、議論すべきことが山積していながら、明確な正解となる「答え」はどこにもありません。
あらゆる行政サービスの改善や維持、新設に対し、「いつ誰がどうやって?」という問いが常に付き纏うことになります。
そこから目を背けた議論は意味をなさないのであろうと思います。
〈要素8〉 目指すのは人口減少への嘆きではなく覚悟
今回の統計が示しているのは、将来への単純な悲観ではありません。
女性や高齢者の就業、労働生産性の向上、AIやロボット、地域の新しい産業づくりなど、社会を支える方法は変えていかなくてはなりません。
何より、従来の人口構成や経済成長を前提にした制度を、今後もそのまま維持できるとは考えにくいものがあります。人口が減ること自体よりも、今、その変化から目を背け、変化を知りながら対策を先送りすることの方が、将来の選択肢を狭めてしまうことにつながります。
「今を直視し、次代をつくる。」 私たちの暮らす岩見沢の未来を考えるためにも、まずは数字が示す状況を共有し、ある程度の覚悟を決め、どの機能をどう守り、どこを変えるのかも議論していかなくてはならないと思っています。
現在もSNS上で見るような、「税収が過去最高を記録しているのに・・・」という不満の声は、その反面、「政府の支出も過去最高になっている」ことから目を背けた声でもあると思います。
私たち、議員としての仕事の一つには、市民の要望を市に伝えることはもちろんですが、その逆として「なぜそれが叶わないのか」を市民に伝え、理解してもらう努力も必要だと思っています。誰だって実情を知ることで、変わってくる意識はあるのだろうと思っています。
今回のデータは自分の朧気な印象を整理する目的でありますが、ぜひ未来の岩見沢を考える上で、参考にしていただければ幸いです。
※このデータやグラフ類は、AIと壁打ちして作成しています。
これまでは、あらゆる官公庁の資料などを探し、Excelで自分でグラフを作ってという作業が必要でしたが、すっかり進化中のAIのお陰でこの手の調べ物が格段に楽になりました。ただ、今回は思考が総花的になってしまい分散してしまっていて、明確な落としどころがない、途中経過的な投稿となってしまいましたが、自分の中では朧気な懸念が簡単に数字として確認することができるのは凄い進化です。
ただ、ハルシーネーションや、私の解釈が間違っているものもあるかもしれませんことをご了承ください。
データの出典・留意事項
- 全国人口:総務省「国勢調査」(1920~2025年)。1945年は人口調査。年齢区分人口は所得・就業者数そのものではない。
- 岩見沢市人口:岩見沢市「2026年版統計書」第6表。旧岩見沢市・北村・栗沢町を合算した1975~2020年の系列。全国の2025年データとは集計終期が異なる。
- 岩見沢市将来人口:社人研「日本の地域別将来推計人口(令和5年推計)」を引用した岩見沢市第3期総合戦略。2020年基準の条件付き推計。
- 社会保障費:国立社会保障・人口問題研究所「2024年度社会保障費用統計」および厚生労働白書。金額は物価未調整の名目値。
- 世界GDP比:世界銀行「World Development Indicators」の名目米ドル建てGDPに基づく比較。為替の影響を受ける。
主な一次資料:
https://www.stat.go.jp/data/kokusei/2025/kekka.htm
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/material/files/group/3/toukeisyo2026-ikkatu.pdf
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/material/files/group/7/3senryakuR7.pdf