〈令和7年12月9日投稿〉
本日、岩見沢市立総合病院のWebサイトにおいて、「新病院がZEB Orientedの認証を取得しました」という発表がありました。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、省エネや光熱費のランニングコストを考慮すると、非常に良いニュースであると思っています。
ZEBという言葉はあまり耳にすることはないかもしれませんが、環境省WEBサイトの言葉をお借りすれば、「快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物」ということになり、現在下記4つの基準が定められています。

(上記画像は環境省のwebサイトより引用 https://www.env.go.jp/earth/zeb/about/04.html)
今回の発表では、現在建設中の新病院がZEB Orientedの認定を受けることとなったことと、それがまだまだ稀有な状況であることがわかります。
(以下発表より引用)
急性期病院では重症患者の治療を24時間365日行うためエネルギー消費量が多く、他の用途の建物と比べて省エネルギー化のハードルが高いといわれています。(社)住宅性能評価・表示協会で公表されているZEB認証を受けた病院のうち、延床面積30,000㎡を超える大規模な急性期病院として積雪寒冷地(北海道・東北・北陸)では初、全国でも5例目(令和7年12月現在)〈岩見沢市立総合病院webサイト〉
https://www.iwamizawa-hospital.jp/construction/details/04sekkei.html
ちなみに私自身、このZEB認証に関しては、まだそれほど話題になる前の令和4年8月時点で新病院建設特別委員会にて質問のひとつとして取り上げていますので、以下、議事録を抜粋してご紹介します。
◆平野委員会質問(令和4年8月25日新病院建設特別委員会 要約:抜粋)
改めて5点にわたって確認をさせていただきたいなと思うのですが、まずは資料の4ページと7ページ、基本計画で言うと9ページと18ページにかかると思うのですが、記載としては、経済性と環境に配慮した施設という表現があります。近年、公共施設においても、省エネルギー基準に適合した建築物というものから、さらに一歩先に進んだネット・ゼロ・エネルギー・ビル、ZEB認証が広がっているというふうに思われます。国の第6次エネルギー基本計画においても、2030年度以降に新築される建築物は、ZEB基準の性能確保を目指すという記載もあります。御承知のとおり、このZEBというのは、快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物のことで、エネルギー削減の程度等によって4段階が定義をされています。今回、新病院の建設に向けて、経済性と環境に配慮した施設という表現になっていますが、このZEB認証に関しては視野に入れられているのかどうか確認をさせてください。
続いて・・・(以下省略)
◆答弁(要約:抜粋)
平野委員の御質問にお答えをいたします。大きく5点にわたる御質問でございます。
初めに、施設整備方針に関連しまして、ZEB認証を視野に入れているのかというお尋ねでございます。世界規模の課題である気候変動問題の解決に向けて、2015年にパリ協定が採択されたことを受けまして、国では2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラル、脱炭素社会を目指し、2030年度の温室効果ガスの削減目標の実現に向け、平野委員からお話のありましたとおり、昨年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画の中で、2030年度以降に新築される建築物につきましては、ネット・ゼロ・エネルギー・ビル、いわゆるZEB基準の省エネルギー性能の確保を目指すとともに、公共建築物における率先的な取組が行われることが期待されており、北海道においてもゼロカーボン北海道を掲げているところでございます。
そこで、このような国、道の動向も踏まえ、新病院の施設整備方針においては、自然エネルギーや雨水、地下水の利活用や建物の高断熱化、設備システムの高効率化などによる省エネルギー化の実現を通じて、地球環境に配慮した持続可能な施設を目指すこととしております。病院施設は24時間体制での稼働が求められる建物の特性上、エネルギー消費量の削減による省エネには限界がございまして、再生可能エネルギーの活用を前提とした一次エネルギーの消費量の正味ゼロ、ネットゼロ化の実現まではなかなか難しいものと認識をしております。現状では、全国的にも新病院と同規模、延べ床面積4万平方メートル以上の病院ではZEBの導入事例はありませんが、今後の設計段階において経済性と環境に配慮した施設の実現に向け、4段階ありますZEB認証の可否についても検討をしてまいりたいと考えております。
という答弁となり、約3年半前の時点では、ZEB認証にあまり前向きな答弁ではなかったことがわかります。結果として、令和5年2月に示された「基本設計業務公募プロポーザル」に関する報告の中では、2社から応募があり、そのどちらもZEB認証について明記されており、今回のような延床面積30,000㎡を超える大規模な急性期病院として積雪寒冷地(北海道・東北・北陸)では初、全国でも5例目となるZEB認証となっています。
この取り組みに「私が委員会で質問したからこのような結果になった」とは言えませんが、少なくとも発注者、基本設計業務応募者への心構え的な部分に多少なりとも影響はあったのではないかと思うところです。これも小さいながらも議員としての役割のひとつではないかと思っているところです。
今後の新築物件はZEB認証が当たり前になってくると思いますので、今回、新病院が難しいハードルをクリアし、このような結果になったことを嬉しく思っています。