今回の一般質問の読み原稿(ラフ版)を投稿します。
主旨としては、まち・ひと・しごと創生法の第10条に基き、「市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」を今年度中に策定することが努力義務として求められており、その策定に伴い、重要と思われる観点を確認させていただくものです。
①総合戦略策定の課題と見通しについて
②公共施設マネジメントに関し、今後の立地集約や駒沢跡地の活用について
③固有の歴史文化をどう反映させるか。また、地域連携をどう考えているか
というのが骨子になります。
以下、ラフ原稿を記載します。
現在、人口減少に伴う様々な状況変化に対応すべく、多くの地方都市において、種々対策に苦慮をしているところであります。国としても「まち・ひと・しごと創生法」及び「地方再生法の一部を改正する法律」等が成立し、「長期ビジョン」「総合戦略」が出され、いよいよ「地方創生」という言葉が存在感を増しているところです。
その国の施策とし、この岩見沢市においても、まち・ひと・しごと創生法の第10条に基き、「市町村まち・ひと・しごと創生総合戦略」を今年度中に策定することが努力義務として求められており、この岩見沢市においても、昨年の第4定例会の谷口議員の一般質問、並びに市長答弁にもあったとおり、いち早く昨年10月に市役所内の組織の枠を超えて構成する「組織横断型課題対策チーム(CFT)」が組織され、「人口減少」と「地域経済活性化」の二つのチームにより現在の岩見沢の現状を調査分析し、この3月には中間報告がなされたところであります。
それらを礎とし、5月27日付で「人口減少問題対策本部」を設置され、来月7月には「総合戦略等推進委員会」を立ち上げ、本年10月をめどに岩見沢版の「総合戦略」及び「人口ビジョン」を策定するというのは報道にもあった通りかと存じます。
この地方版総合戦略及び人口ビジョンの策定は、今年の5月に全国紙で報道された内容によると、現存の補助金等の削減を視野にいれ、その財源を元に地方創生の目玉として新型交付金制度をつくり、市町村ごとの総合戦略によって交付規模や対象範囲に差をつける。また交付後も数値目標等をもとに効果を検証し、事業見直しや交付内容を変更したりする。とありました。
これは大変厳しい条件ではあるものの、地方が知恵を絞る機会、主体となって動く気運を高める機会。という観点からいけば、非常に貴重なチャンスであるとも感じているところです。ただ、いかんせん策定期間が非常に短い。今年10月末までに策定しなければ新交付金の対象とならないと伺っており、この岩見沢市においても種々苦労されていると考えているところですが、すでにいくつかの都市では総合戦略及び人口ビジョンの策定を済ませ、ホームページで公表している内容を見てみますと、それぞれに特色があり、記載内容に関しても当初想像していたよりも比較的自由度も高いことを感じることから、この岩見沢市においても、これまでの現状分析を踏まえた中で、どの様に的確なビジョンを描くことができるかに期待するところです。その中で、先日も総務常任委員会で概要についてはお伺いしたところではありますが、あらためて、現在の課題と今後の見通しについてお聞かせください。
次に、この総合戦略は5カ年の計画であり、国の方向性で行けば、「雇用創出」、「地方へのひとの流れ」、「結婚・出産・子育て環境の充実」、「安心な暮らし、地域連携」等4つの区分により議論が進んでいくと思いますが、そのどれもが一筋縄ではいかないものばかりです。これらを絵に書いた餅に終わらせることなく、実行力のある計画へと昇華させていかなくてはなりません。そのためには重点施策をどう設定するかが非常に重要だと感じているところですが、まずは数値化しにくい大枠の部分を固めていくことが重要だと考えています。大枠として喫緊に考えていかなくてはならないものも多い中、その内のひとつが老朽化する公共施設の再配置、再整備についてです。
これは昨年4月に国から「公共施設等総合管理計画」の策定が指示されたこと、またその指示以前から松野市長の旗振りにより、「行政改革大綱」において重点的に取り組む事項として「公共施設マネジメント基本計画」の策定を進めていることと思います。
今回の総合戦略の策定においても、市役所庁舎、市立病院、スポーツセンター等々の各種老朽化している大型の公共施設の建て替えや改修を計画するにあたり、その立地については集約化を図っていくのか、根拠をもった中である程度の分散を図っていくのかも重要な視点です。「まちの動態は交通手段で変わる」という言葉の通り、徒歩から公共交通へ、公共交通から自家用車へという変遷でまちの姿が激変してきた様に、今後は高齢化に伴い、自家用車から別の交通手段に変化せざるをえなく、それらも今後の交通ビジョンの行く末を踏まえつつ、まちの動態予想とリンクさせてモノゴトを考えていかなくてはならないのでありますが、それら公共施設の再整備に関する立地や施設集約等の考え方は、現在どのようになっているのかをお聞かせください。
また、その際駒沢跡地についてはどのように考えているかもお聞かせください?
更には、これらの考え方は総合戦略にどう反映されるのか?という部分についても確認させていただきたく思います。
次に、岩見沢の魅力づくりに不可欠な歴史と文化の考え方に関してお伺いいたします。
人口減少社会において、多くの人が魅力的と感じるまちになるために、どこの街でも実現しうる”利便性”や”快適性”、”その他優位点”を求めるのは勿論ですが、それだけではなく、最も重要なのは、市民自らが「自分たちのまちにはこういう価値がある。」という誇りや自信、言うなれば「まちのアイデンティティ」をいかに創りだしていけるかが重要だと考えています。それは単純にこの岩見沢のココが好きだとか、文化、環境的な要素だったり、またこれまで歩んできたまちの歴史への共感かもしれません。そんな市民が誇りに思えるような歴史と文化を整理し、市民共有の価値観としていくことが重要なのは今更言うまでもないことですが、実際問題としてなかなかそれができていないのも事実です。
その中の一つとして駅の北側にあるレールセンターがあります。
これまでも都市計画マスタープランや観光振興ビジョンなどでも重要な施設として記載されているものの、その実際の活用については深く議論するに至っておらず、常に机上の提案がなされているだけです。
元来、この岩見沢は河川合流点でもなく、厚い泥炭層の軟弱地盤という不利な条件にありながらも都市機能が成立した理由は、明治15年、日本で3番目に敷かれた手宮~幌内線の開通に伴い、鉄道の拠点として発展してきたからであります。
1899年に竣工されたと言われる岩見沢レールセンターは、横浜や小樽の赤レンガ倉庫や函館の金森倉庫よりも古く、19世紀のレンガづくりの建物は、今なお現役のJR北海道の工場ではありますが、岩見沢が開拓期より発展してきた証として非常に貴重な価値を持っています。言うまでもありませんが、壁にレンガで形付けられているマークは、北海道開拓使のシンボルマークと共通の五稜星の中心に円が描かれている北海道炭鉱鉄道(北炭)の社章です。北炭は北海道開拓使から炭鉱と鉄道の払い下げを受け、囚人の役務権限等、政府からの手厚い保護を受けつつ、近郊の炭鉱と室蘭港の開発、鉄道交通網の整備等を大規模に行い、北海道の開発、日本の近代化に大いに貢献した企業であり、紐解けば黒田清隆、福沢諭吉等も設立に関与していることがわかります。
その日本の近代化の一翼を担った企業が、明治37年~鉄道が国有化される39年までは岩見沢に本社があり、北海道の物流の中心地として機能していた事実は、北海道開拓や明治、大正の近代化とうまく整理していけば岩見沢の誇りとつながる重要な要素だと考えています。また、鉄道の歴史でいけば、約130年前にクロフォードがアメリカに発注し、ニューヨーク港から小樽港に水揚げされ、岩見沢市内で架かっていた国内最古のトラス鉄橋も市内に存在しています。
あらためてこの度、岩見沢版総合戦略を策定するにあたり、その背景に流れる要素として、この様なまちのアイデンティティを構築しうる、歴史、文化等の整理、発信、活用を取り込んでいくべきと考えているところですが、何か岩見沢市としてこの様な貴重な歴史背景を取り入れるべきとして、考えられていることはありますでしょうか。また、今回の総合戦略に直接的に反映できる要素ではないならば、今後、平行して取り組みを進め、各種計画のバックボーンに位置づけられる要素としていくことが重要と考えるが、市長の考えをお聞かせください。
また、今回の総合戦略における基本目標等を考えた際、交流人口増を目指すのと定住人口増を目指すのにはアプローチが異なってくるかもしれませんが、まずは交流人口を増やすことは「雇用」と「地方への人の流れ」をつくるのには有効な手段です。それは新たな定住人口の増加を促します。
今、鉄道の要素を取り上げさせていただきましたが、先日、イコモスの勧告によりユネスコの世界遺産登録に登録される可能性が非常に高くなった「明治日本の産業革命遺産」においても、当初のタイトルが「明治日本の産業革命遺産 九州・山口と関連地域」だったものが、先方の条件変更の一環として「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」とサブタイトルが変更になる模様です。この条件においては、空知の石炭、室蘭の鉄、小樽の港という「炭・鉄・港」の括りにおいても、今回の世界遺産と関連する貴重な資源が残っています。また現在空知総合振興局においても地域政策の要素の一つとして「炭鉱の記憶」にスポットをあてており、今後益々充実してくることが期待できます。
今回の総合戦略の策定において、内閣府地方創生推進室の資料によれば、地域の特色や地域資源を活かして地方版総合戦略に活かすこと、また、一体性、関係性のある広域圏においては、複数の市町村が共同して地方版総合戦略を策定することも視野にいれているとされています。更には国の総合戦略アクションプランに記載されている文書においても、本年度から新たに創設された「日本遺産」というキーワードも盛り込まれています。現在、空知、この岩見沢近郊としては、今述べた産業遺産の他にも、ワインや自然環境等、岩見沢市だけではなく広域で考えることで見えてくる可能性が高まっています。あらためて、本総合戦略の策定をきっかけとし、道や他都市との連携強化を模索することも視野に入っているのかを伺わせていただきます。
という様な感じで考えています。
行政課題にピンポイントで当たる様な質問ではないかもしれませんが、今後のまちの姿にじわりと影響してくる大事なことと考えています。明確な答弁は難しいかもしれませんが、今回の岩見沢版総合戦略の策定にあたり、このような考え方が広く認識されるきっかけになりうると考えつつ、この度の一般質問とさせていただきます。
答弁については議事録が公表された後に転載させていただきます。
また、これらの質問の意図、補足についても後日、時間をみつけて記載してみたいと思っています。
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