② 克雪に向けた取組みついて より続く
3つ目は現在の子ども達を取り巻く環境に対し、どう私達が取り組んでいくべきなのかを取り上げ、それを豊かな人間性を育む教育についてと題して教育長に質問をさせていただきました。
(平野:②より一括して質問)次に、豊かな人間性をはぐくむ教育について、教育長にお伺いをいたします。
まずは、平成26年度版「子ども・若者白書」の特集等から見る教育課題について、ご質問をさせていただきます。
東海大学名誉教授の川崎一彦氏の論文を参考にさせていただくと、今、人類は、狩りを生活の糧とする「狩業」の時代から、約1万年の「農業時代」、そして、約200年前の産業革命より「工業時代」へと移行し、現在は、急速な知識産業、知恵産業としての「知業」の時代へと移りつつあります。
既に、欧米では、就業者の3分の1以上が「考えること」を職業にしていると言われています。それは、これから社会が必要とする能力とは、「何を知っているか」ではなく「知っていることで何ができるか」、そういうことが求められていると言いかえることができると思います。
1980年に発行された、「第三の波」の執筆者でありますアルビン・トフラーは、きょうの日本の最大の問題を、「教育である」と断言をしています。
「日本が国際社会で生き残るためには、何よりも『Think』、考えることです。教育の現場を見てください。時間どおりに生徒が教室に集まり、大人数で授業を受ける。これは、工場で働くための練習みたいなものです」という指摘をしています。
これを裏づけるような事象を、つい先日、内閣府より公表された、「子ども・若者白書」からかいま見ることができます。
白書の中で特集として取り上げられていたのが、日本を含めた7カ国の満13歳から29歳の若者を対象とした意識調査です。
この内容を見ると、日本の若者は、「自分自身に満足している」「うまくいくかどうかわからないことにも意欲的に取り組む」「社会現象を変えることができるかどうか」「将来への展望」等々、そのほとんどが、7カ国中最低で推移しており、これからの減少人口社会、グローバル化で大きく変わっていく時代に適応するための能力である、「たくましく逆境に向かい、クリエイティブな能力を発揮して新しい道を切り開く力」が不足していると思われます。
また、ことしの4月に、シンクタンクである共立総合研究所が、「全国学力・学習状況調査」の結果をもとに、「生活習慣」「意思・人格」「家庭」「道徳・規範」等々の11の分野から都道府県別に偏差値化した、「いい子供が育つ」都道府県別ランキングが発表されました。
このデータを見ると、白書の特集では、日本は、国際社会の中でも非常に低い数値を示す中で、さらに日本国内においては、北海道は、総合ランキング47都道府県中46位であり、分野別に見ても非常に低い項目が目立つ結果となっています。
例えば、「難しいことでも、失敗をおそれずに挑戦しているか」という問題では、47都道府県中、最下位。「自分にはよいところがある」「人の役に立つ人間になりたいか」「テレビゲーム等をする時間の長さ」「地域や社会への関心」「自分の発言に対する自信」「言いたいことをうまく伝えることができるか」などなど、あらゆる項目でワースト5位に入る、非常に残念な結果となっています。
さらに、この北海道の中で岩見沢市がどういう位置づけかというのは、残念ながらはかるすべはありませんが、これからの時代を生きていく子供たちのことを考えると、国内での評価はもとより、国際社会で生き抜ける能力を身につけることを目指すべきであり、そのために、岩見沢市の教育行政として真剣に、どんなことをするべきかを考える必要があると思っています。
まずは、脳科学において重要な成長の機会として位置づけられる幼児教育期の「生きた体験」を通して、人間としての能力をはぐくむための環境づくりとその支援。
学校教育においては、平成26年度岩見沢市教育行政方針にも掲げられているとおり、課題を解決するための思考力、判断力、表現力等をバランスよく伸ばす。また、自尊感情を高め、自己指導能力の育成等を含め、主体的に「みずからの思考を高め、具現化していく力をはぐくむ」ことを重視した、実行力のあるカリキュラムづくりが必要だと考えます。
前段で述べたとおり、先進国の中でも日本は、非常に評価の低い状況、また、さらには、その日本の中においても一段と心配な状況の北海道の中で、岩見沢市の教育行政がどういった課題を持ち、どう解決を図っていくかを考えていかなくてはならないと認識をしています。
もちろん、この子育てや教育は行政のみがすることではなく、家庭、地域が一体となって行うべきことでありますが、しかしながら、教育行政が危機感とそれを打破するビジョンを掲げること、また、課題解決に向けた環境づくりを後押しすることは何よりも重要な責務であると考えることから、教育長としての見解をお聞かせください。
以上、一般質問とさせていただきます。
○教育長(舛甚和俊君)〔登壇〕 平野議員の一般質問にお答えします。
豊かな人間性をはぐくむ教育についてでございます。
平野議員のお話しのとおり、「子ども・若者白書」の特集によりますと、日本の若者は諸外国と比べて、自己肯定感、自尊心、意欲的な態度、自国に対する誇りを持っている割合が低く、さらに、自分の家庭、職場、学校生活に対する満足度なども低いという実態があり、中でも、私は、将来に対して希望を抱いている割合が低いということに危機感を持っているところであります。
また、これからの社会が必要とする能力とは、「何を知っているのか」ではなく、「知っていることで何ができるか」である、とのお話がありました。
「知っていること」というのは、基本的な知識・技能、いわゆる基礎学力であり、「何ができるか」というのは、思考力、判断力、表現力、いわゆる活用能力であると考えます。
これらをバランスよく育てていくことが学習指導要領の趣旨であり、まさに岩見沢市教育行政方針で重点としているところでもあります。
また、全国的に、子供たちの学校生活への満足度や自己肯定感が高い都道府県と、全国学力・学習状況調査において高い学力を示している都道府県は、ほぼ一致しております。
これらのことから、子供たちの確かな学力の向上を図り、豊かな心と健やかな体を育てていくこと、すなわち学習指導要領の目標である「生きる力」の育成こそが、平野議員がお話しされた、豊かな人間性をはぐくむ教育であり、現代の教育課題を解決していく手だてであると考えます。
岩見沢市の子供たちは、学力、体力とも、まだまだ向上させていかなければならない現状にあります。
教育委員会といたしましては、「子どもが輝く岩見沢の教育づくり」を推進し、幼児期からの支援も含め、岩見沢で学ぶ子供たち一人一人が、将来に向けて、夢や希望を持って力強く自己実現を図っていける教育を実現していきたいと考えております。
以上でございます。
この3点が6月定例会における一般質問の議事録となりますのでご紹介させていただきました。
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