【前編より続く】
次は11月11日(月)18:30~ 旭川市の事業ではなく、旭川市議会による「市民と議会の意見交換会」の「除排雪のあり方とマナーを考える」というテーマの回に田中議員の紹介で共にお邪魔してきました。
旭川市議会では、議会条例に基き、このように市民との意見交換の場を設けており、今年は上図の通り5つのテーマに別れて実施していました。
主催が除排雪に直接的に携わる行政や業者を入れない市議会単独ということもあり、あくまで意見収集までが限界であり、技術的なことや対応等を問われても、どうしても歯切れの良い回答ができない状況であるのも事実。そういう指摘が幾分市民からも出ていました。
とは言うものの、こういう場を設けることは大事なことであると認識しますし、中身としても、意見交換の前の事例発表では大いに参考になる部分がありました。
それは地域における除雪活動と題し、旭川市の永山第3地区市民委員会の事例発表でした。
内容としては、
旭川では除排雪に関する組織として市民委員会という地域単位がある。= 永山第3地区市民委員会は17の町会から構成され、各町会3名程度の実行委員を選出:50~55名で実行委員会を立ちあげ、翌年の3月末まで活動。
主に3部会で構成。
①啓蒙普及部:地域住民に対して年6回の地域説明会を開催。独自のパンフレット・除排雪の指導ポスター・駐車禁止の幟等々の配布を実施。
②排雪量削減部:地域内の雪置き場(民有地)・空き地スペース等の提供協力者確保、自主的に排雪を実施する地域に対して助成制度の活用と指導、春先の借用地の雪割りと融雪剤の散布を行う。
③パトロール部:各町内会からの情報を基にパトロール・指導(土木事業所・永山除雪センターと共に)、パトロール後センター内で各地域間の問題点等の話し合い解決を行う。
というような部会構成で活動しており、その成果としては、、
最も効果が大きかったのが、排雪量削減部による民地借用による雪置き場の確保とのこと。これにより、例年交差点に高く積まれていた雪山の高さが1.5m程度となり安全の確保ができた。
これはこの住人で構成する委員会が空き地の所有者の調査から、地主への交渉、春先の雪割りまで行うもので、行政や業者が空き地に押し雪させて欲しいと交渉するよりも遙かに借用できる確立が上がるもの。ただし、この交渉作業等の負担というのは相当なもので、この地域委員会の志の高さがあるからこそ実現できることだと感じる。
また、啓蒙普及部による効果で市民意識も確実に変化してきているとのこと。更にはパトロール部によって、地域住民の方々とのコミュニケーションが取れ、高齢者世帯への便宜を図る等のことも確実に進展している。
さらには、アパートや事業者による駐車場からの道路への雪出しに関しても、この市民委員会が注意、啓蒙を行っており、非常に苦労が絶えないと思われますが、着実に効果を発揮してきているとのこと。
この岩見沢においてもアパートや駐車場からの雪出し、はたまた民間業者による間口を処理した雪の道路、交差点付近へのはりつけなど目に余るものがあり、広い道路が蛇行してしまったり、せっかく排雪が終わり道路が広くなったと思いきや、その後からどんどんと道路に雪を出してくる人や重機があったりと、このあたりのルールを徹底していかなければ「やったもの勝ち」の風潮が助長することに繋がって悪循環に陥ります。
旭川のこの事例では、そういった役割を完全に市民が担っていることに驚きました。
この永山第3地区市民委員会のお話では、こういった活動が将来的な市全体の除排雪費の大幅削減に繋がると確信している。という力強い言葉がでておりました。
この発表が終わった後、今度は議会と参加市民との意見交換の場となりました。
その中では、前述事例と逆行するような要望も多く、もっと除雪予算を増やして快適な道路事情を維持すべきだとの意見や、行政、業者に対する不満が多く出ました。また、この機会に一言物申す的な方向性の発言も多く、市民の議会に対する信頼が揺らいでいることを感じずにはいられない。その中で、自分も我が事として矜持を正す意識が高まった次第。
次に11月18日(月)
岩見沢市の除排雪説明会に参加してきました。
こちらは流れとしては例年通りの内容であり、行政側からの状況説明。今年度においては昨年からの変更点が重点的に話されました。
昨年までとの主な変更点は
①空き家対策を除排雪対策本部の機能に統合・空き家パトロールの強化と状況把握
②市民雪堆積場を新たに新設
③雪押し場の確保に関して、遊休市有地の活用促進と新たな協力(募集)による民有地の確保。
④冬期生活に関するガイドブックの作成
⑤屋根雪下ろし助成の対象世帯要件の改正
という流れになっています。(詳細は市の資料:総合的雪対策の概要をご覧下さい。)
その説明の後、質疑応答の時間になりましたが、やはり道路幅員と排雪の頻度等に関するものが多く、それを実現するためには相当な予算増が必要とされる内容と感じます。また、業者目線での重機の取り扱い、雪押しの物理的な事情等を含め、要望はわかるけれども実際には無理であろう事も多く、そこは実際に施工する業者側の実情と、その事由を理解する機会がない住民とのギャップに繋がっていることを感じました。
本当であれば、そのような相互理解に繋がるような内容が新たに作られるガイドブックの中に記載されてくると良いのでしょうが、どこまでの中身になっているかはまだ私にはわかりません。そのガイドブックも内容がいくら適切であったとしても、あとはどれだけ行政が本気で指導できるのか?という部分が大いに気になるところで、前編の札幌市の例のように、市民の納得度を上げることで少しでも苦情対応にかかる労力を減らすことが至上命題的な思いがあれば、マナー、ルールの周知徹底活動に繋がるであろうし、もしくは春になれば収まるのだから、少しの間苦情に耐えてやり過ごせば、来年は担当ではなくなるだろう。と思えばそこまでであろうと思われます。ここは期待をしながら今シーズンを過ごしてみたいと考えています。
また、新たな堆積場の確保に関しては、中幌向に新設されることで、これまでシーズン途中で満杯になってしまい閉鎖されていた栗沢堆積場の延命に繋がるであろうことが期待できます。
しかしながら、前回の一般質問でも述べさせていただいた、路線除雪に関する業者の厳しい経営状況は何とも進展がありませんでした。
この除排雪費用に関しては、他都市と比較をしようにも降雪条件が異なるので一概には言えないのですが、下記のような概要になっています。(一応各数値はweb等で調べてますが、勘違いや計上間違い等があるかもしれませんので、あくまで目安として考えてください。)
岩見沢 |
札幌 |
旭川 |
|
除雪延長 |
約960㎞ |
約5360㎞ |
約2160㎞ |
排雪延長 |
約83㎞ |
約1640㎞ |
約750㎞ |
費用(平年) |
約7億円 |
約150億円 |
約20億円 |
これを基に、人口一人当たりないし、1㎞あたりの単価等を出すと比較しやすいのでしょうが、あくまで地域ごとで降り方や交通状況が違うので今回はそのような比較は避けます。
しかし、こういった事を調べている内に、岩見沢市には有数の豪雪地でありながら、除排雪に関する基本的な雪対策等の計画が無いことに気がつきました。
ちなみに札幌は【冬の道づくりプラン】がつくられており、旭川市には【新総合雪対策基本計画】があります。しかし岩見沢市でこれに当てはまるようなものは見あたらず、説明会の際に使用する「平成25年度 総合的雪対策の概要」があり、他に軽く触れられているのが「岩見沢市地域防災計画の第7章[雪害対策計画]」という部分。
こういう抜本的な計画を通し、一度ゼロから雪対策を考えていくことが必要だと感じると共に、あらためて、行政、業者、市民の役割と責務を整理していくことで、もう一歩進んだ相互理解に基づく除雪体制が構築されるような気がしてなりません。
ただ、いくら立派な計画でも絵物語では意味がありませんので、実情を鑑みた実行力のある内容でつくることができれば良いのですが・・・。これに関しては、私自身、簡単に口先だけで「雪対策の計画を作るべし!」と公式に訴える前に、色々と勉強を続けてみたいと思います。
何はともあれ、今年も間もなく本格的な冬がやってきます。
多面的に視野を拡げ、調査研究を深めながら、しっかりと今シーズンを過ごしてみたいと思っています。
除排雪に関する課題は、そのまま今後の社会事情を反映する縮図であろうと感じています。何とか良き方向性を見出していけたらと考えておりますので、この除排雪のことで何かご意見がありましたら、いつでも気軽にメールをいただけると幸いです。
info@hiranoyoshifumi.jp
になります。
何卒宜しくお願いいたします。
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