各地 除排雪への取り組み【前編】

今年も11月に大量の降雪があり、ちょっと心配でしたが、今のところ何とか平静を保っているようです。

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(平成25年11月12日の様子)

せめてここ2年間の豪雪レベルまで達しない、穏やかな冬であることを望みますが、自然環境には勝てませんので心して準備をしたいと思っています。

そんな一端として、各地の除雪に対する考え方等を勉強したく考えておりまして、チャンスがあれば色々と伺っているところです。

ここ最近では札幌市西区が主催する【地域と創る冬みち懇談会】、旭川市議会が主催する【市民と議会の意見交換会~除排雪のあり方とマナーを考える】と題した意見交換会、岩見沢市が主催する鉄北地区の【除排雪説明会】に参加してきました。


まずは札幌市から

この札幌の取り組みは非常に感銘を受けることが多く、付け焼き刃のその場対応ではない本質を考えた取り組みを感じるに至ります。

私自身、これまでの取り組みの中でも、市民に対する情報発信等々、大いに参考にさせていただいています。

今回は、今シーズンのより良い除排雪のあり方を考えるというテーマに基づく岩見沢シチズンの取り組みとして、10月24日(金)に札幌市西区主催で開催された【地域と創る冬みち懇談会】に参加させていただきました。札幌市役所の担当の方々にも快く受け入れていただき、心から感謝する次第です。

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この懇談会は基本的には町内会役員を対象としたもので、特筆すべきは一方的な説明会や市民VS行政の構図による苦情・要望抽出の場ではなく、参加した市民、業者が肩を寄せ合い、自らが考えるワークショップ形式で進行するということです。


今回の懇談会の概要としては、

◯主催:札幌市役所西区土木管理課

◯参加者~市役所・町内会・業者

○特筆すべき事項として、中立的立場のコンサルが懇談会の業務を受託し、司会進行→㈱キタバ

18:30~あいさつ
18:35~本日の流れの説明
18:40~札幌市の除雪事業について
19:00~テーブル討議
20:00~まとめと発表
20:20~質疑と応答
20:30~終了

◯西土木センター 維持管理課長佐藤氏あいさつ

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予算は例年並み。

雪とりには二種類ある。除雪と排雪。札幌市の問題は排雪場所の確保~運搬費がかかりすぎる。業者の体力低下・作業者の高齢化・重機も老朽化から更新が難しい。逆境の中であるが、限られた予算の中で満足してもらえるように地域懇談会を開催していきたい。テーブルディスカッションでは地域課題を抽出~何でも聞くわけにはいかないが、行政と地域が話し合って、力を入れるところ、抜くトコロを一緒に決めていくのが重要。例えば、降雪量10センチの基準について、ある町内会では20センチまで我慢するから、出動回数を減らして、減った分の費用で交差点の雪山を削るとか、地域の特性にあった除雪をしていきたい。

◯除雪センターと業者の紹介  

◯札幌市の除雪事業の説明~維持係長より

.ppt 除雪の種類について

① 新雪除雪~降雪10センチ~地域によっては違う。道路幅員8m以上の道路でなければ入らない。原則かき分け除雪。

② 路面整正~圧雪が溶けてザクザクになるので、削り取る作業。

③ 拡幅除雪~道路脇の雪を積み上げ、歩行や走行のできる道路幅を確保する。

④ 歩道除雪~歩道部の雪を車道側に積み上げて歩道幅を確保。(幅員2m以上で歩行者の多いトコロ・駅前や通学路など、極度に要望が多いところはハンドロータリーで実施、幅員2m以上あるところも、雪を置く車道が広く取れるところを限定)

⑤ 運搬排雪~道路脇の雪をダンプトラックに積み込んで、雪堆積場へ運ぶ(4車線以上の幹線道路・主要な2車線道路(バス路線等の補助幹線道路)・通学路というごく限られた道路のみ)

・生活道路はパートナーシップ排雪制度を実施~シーズンを通して1回のみ。2月ごろがピークなので、その頃に順繰り回る。
・12月1日の単価で実施する。
・パートナーシップ排雪は幅員10m以上の道路は市が受け持つので、10m未満の道路が対象~地域と市の双方が費用を受け持つ道路
・パートナーシップ排雪の他に、市民助成トラック制度がある。~市がダンプの貸出を無料で行い、地域で積み込み作業や安全管理を行う。

⑥ 凍結路面対策~塩化ナトリウム・7号砕石

⑦ その他

『福祉除雪サービス』~地域住民などから募った地域協力員が間口部分(概ね幅1.5m)と、間口から玄関までの通路(80㌢幅)を除雪する、地域の支えあいの制度(1日1回)

『小型除雪機購入費の補助』~購入費用の2分の1(50万円限度)*市道を200メートル以上、かつ3年以上除雪することが条件

『融雪施設設置資金の融資斡旋』無利子融資

札幌市の1晩に行う除雪延長=5,300㌔(札幌~石垣島間の往復距離に相当)。作業員~3,000人/日 費用約1億2千万円/日。

平成25年度の雪対策にかかる当初予算の内訳(プリントで説明)

*約151億円~近年は補正予算をかけるのが当たり前になっている。昨年は63億円の補正を行っている。今年はすでに11億円補正している(国の労務単価上昇等による)

 

【雪対策を取り巻く環境】

課題1 除雪事業者の課題~H16年は220社→H24年では200社に減少:ダンプトラック、除雪機械の課題~平成14年3398台だったものが平成23年には2400台に減少。

課題2 排雪した雪の置き場不足:現在74箇所(市内・市外) 計画2500万m3に対し2800万m3が搬入される。

土地の確保が難しい~雪堆積場所の多くが借地→土地所有者の都合で継続使用が困難。迷惑施設として近隣の協力を得にくい。→都市化~雪堆積場の遠隔化

課題3 路上駐車・道路への雪だしによる作業効率の低下:雪だしは深刻な問題

【課題解決に向けて】

課題1 夏冬一体化~通年雇用を促進:マルチゾーン~除雪エリアの統合~西区には北地区と南地区の2マルチ制

課題2 排雪量の抑制(試行): 路肩の一部をあえて残して運ばない。サービスの悪化につながるが・・・。生活道路のパートナーシップも同じ。しかしメリハリをつけるために、バス路線等は除雪の回数を増やしている。歩道除雪も通行量の多いところは回数を増やしている。

課題3 合同パトロールの実施:雪だし防止キャンペーン~地道な取り組み。広報誌や懇談会等で事ある事にマナー啓発・地域と創る冬みち通信

【取り組み例】

積雪深10㌢を15㌢に変更し、交差点排雪に費用を回す。公園の活用~覚書必要 西区84箇所実施。自主的な砂巻き


◯概要説明の後、地域ごとのテーブル割りでワークショプ形式で意見交換

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{《平野私感》テーブル上では対象地域の地図が拡げられており、その場所場所における課題や注意点等が付箋紙によって可視化され、業者さんがその出来ない理由を説明したり、逆に市民にお願いをしたりする光景もある。また、業者も住民もプラスの要素とマイナスの要素を天秤にかけながら話ができるので、状況の理解が進むと思われる。

更には、行政や業者がテーブル進行をするのではなく、中立的立場のコンサルタント業者が場を仕切るため、話題の偏りがなく、住民にとっては不慣れなワークショップ形式でもスムースに意見交換が可能になっている。更にはこれらの意見を取りまとめ、「冬みち通信」という広報誌が作製されるが、その内容もコンサルがワークショップの内容に合わせて、回答を含めた紙面となってくるとのこと。

また、担当の方々にお話を伺ってみたところ、この懇談会は当初は市長のトップダウンからスタート。あまりの苦情の多さは恐らく「意見交換が足りないからだ!」ということで、地域懇談会を実施することになった。当初は丁寧な取り組みとして、少ない地域において実践と検証を複数年繰り返して精度を上げていく流れであり、平成30年度までに市全体の半分の地域で実施ることに。しかし、途中で戦略変更となり、平成26年までに全箇所で実施することになり、この西区においては今回が初めての開催となったとのこと。

その話の中で、なるほどと思わされたのが、市の職員が苦情処理に明け暮れるのは最も生産性のないことであることから、苦情が来ないような流れを構築するのが市の職員の仕事であり、それこそが《市民満足度を上げるのではなく、市民納得度を上げる》という取り組みであること。これは現在の岩見沢市の取り組みでは残念ながら希薄に感じる部分であり、我々も市民理解を高め、相互に納得した形でお互いに感謝し合える3方よしの空気を作り出していかなければならないと思っています。}

 

○各テーブルで共通していた意見

交差点雪山、 雪だし、 つるつる ゴミステーション 水たまり 歩道除雪(幼稚園、マンション、車通り多い~マンションが増えている、イオンがある) 公園の活用 パートナーシップの活用検討 実施タイミング 排雪の場所がない 

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{《平野私感》いくらワークショップとは言え、出てくる苦情や要望はこの岩見沢とそんなには変化がないと感じました。しかし、こういう場で話し合ったことにより、どうして今までその苦情対象の事由が発生していたのか、どうして対応できないのか。等々の理解が進み、単純な苦情のはけ口にはならないのが見て取れた。また、その場で解決できない事については、後日コンサルが関わって作られるペーパーの広報誌で回答を行うなど、その取り組みはその場しのぎではなく、非常に前向きであると感じた}

 

◯最後の挨拶 係長

30年西区住まい。2年前まで宮の沢駅をつかって通勤していた。地下鉄の駅ができてから急にマンションが増え、新しい住人が増えた。人が増えると大型店舗ができ、車往来も増えた、特に冬みちは安全に気をつけなければならない。除雪は家が建てば建つほど難しい。どこかに雪を置かなければならない。

今回、この地区で初めて懇談会を出来て嬉しい。この後、「冬みち通信」という広報をつくる。今日、課題となって残ったものはその通信で回答をつくって配布する。11月~12月になるかもしれませんが、その頃にできると思う。


ということで締めくくられました。

私も議会一般質問や建設常任委員会の中でも取り上げさせていただきましたが、札幌市の取り組みはマナーやルールの告知というのに力を入れており、絵本からガイドブック、webページや動画まで様々な手法でその啓発を行っています。その一つひとつがとても精度の高いもので大いに参考になるものです。

しかし、市民の方々に聞いてみると、意外とそういった取り組みを知らない方が多い。

今回の懇談会についても参加者はやはり町会役員が主であり、町内に住む多くの方々まで情報が伝達していくには相当の時間とエネルギーを有するものと想像できます。しかし、やらねばゼロであります。こういった取り組みを真摯に続けている事にとても共感を得ることができるし、この岩見沢もそういう市民満足度ではなく市民納得度を高める取り組みを進めて行かなくてはならないと信じます。

ちなみに、幅員8m以下の生活道路は除雪車が入らない。というのは岩見沢市民にとっては信じられないことかもしれません。実際に札幌では幹線道路から一本脇道に逸れて生活道路に入ると、車で踏み固めただけのために「すり鉢状」や「深い轍」になった過酷な状況であることが多いです。私自身、以前、岩見沢市車道除雪を受託していた頃に、何とも理不尽な苦情が多かったのですが、その中でも「岩見沢の除雪は下手くそで最悪だ。札幌を見ろ!いつもちゃんとやっているぞ!!」などと罵倒を浴びせられたこともあります。

しかし、その人は現実を知らないだけであり、岩見沢の除排雪ほどキメの細かい体制で行っているところはないと感じています。

今、最も多い苦情というのが、実はこのような現実を知らない勝手なイメージによるものが多々あるのでは?と想像します。それは市民、行政、業者の3方にとってとても良くないことではないだろうか・・。

 

【後編:旭川・岩見沢に続く

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