平成28年度 岩見沢市議会 市民クラブ他都市調査(4)金沢学生のまち市民交流館の調査

〈平成28年12月22日投稿〉

(1)NPO法人 富山・イタズラ村・子ども遊ばせ隊
(2)氷見市役所見学
(3-1)南砺市ICT活用事例〈その1〉
(3-2)南砺市ICT活用事例〈その2〉

からの続き

《11月10日:視察2日目》

午前調査の南砺市を後にした我々は、高速道路にて金沢市に移動。

目的は金沢学生のまち市民交流館の調査です。

金沢は非常に学生の多いまちとして従来「学徒の歴史」があり、現在も人口1000人当たりの学生数で全国7位、人口10万人当たりの高等教育機関数として全国3位となっており、現在人口約46万6千人の中に、大学18校、学生約37,000人がいます。

規模としては岩見沢とは比較にならないのですが、学生さんに積極的にまちに関わってもらおうという思いは大小のスケールに変わりなく、その理念は大いに参考にできるはずという期待を元にした調査です。

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この交流館が出来た背景には

◇市民と学生の交わりの希薄化
(下宿からアパート・マンションへ)
◇まちに関する関心の低下
(アパート・マンションと学校の往復)
◇金沢の歴史・文化に触れる機会の減少
(大学等の郊外移転)

などの背景で、本来あった学都としての情景が薄らいでいる。まちや市民との交わりが薄まり、学生がまちに溶け込み活き活きと学ぶ姿が薄まってしまっていることから、平成22年4月1日に全国初となる「学生のまち推進条例」を設置したのがきっかけとなっています。

この条例は

第2条(定義)
・学生と市民との相互交流及び学生とまちとの関係が深まり、にぎわいと活力が創出されるまち

第3条(基本理念)
・学生を育む社会的機運の醸成
・学生の自主的な活動を促進
・学生、大学地域、市の相互の理解と連携

第4条(学生)
・学生のまちの推進主体であることの認識
・地域コミュニティへの参加
・金沢のまちに理解を深める

第5条(市)
・学生の支援に必要な施策の策定

第6条(市民及び地域)
・日常生活等において学生との交流を推進する

とあり、その推進体制として「金沢学生会議」と「学生のまち地域推進団体」「金沢学生のまち推進会議」が組織され様々な取組を進めています。

その学生の活動拠点とし、学生団体の連携を促進するための場として、この”金沢学生のまち市民交流館”が設置されました。

 

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その交流館の建物は大正5年に建設されたもので、金沢市指定保存建造物に指定されているもの。その建物を活用して学生が様々な活動を展開しています。

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館内には学生の自主事業の開催や相談受付を通して、学生、地域、市民の支援を行う「コーディネーター」が配置されています。
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そのコーディネーターはシフト制で、それぞれに得意分野のある方が対応しています。

Kanazawaコディネーター
http://www4.city.kanazawa.lg.jp/22050/shiminkouryukan/coordinator.html

 

また、それらの支援を受けつつ、学生団体の活動が活発化されるよう、様々な高等教育機関の中心にあるまちなかに交流館が位置しており、現在約40のインカレ学生団体等の活動が活発化しています。

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その様な中で、学生団体同士のネットワーク化を図るべく「金澤學生団体総会」を開催。

◇北陸に拠点を置く学生団体を中心に、学生団体同士の情報共有や学生と社会人が交流を持ち、学生団体の活性化を図る。
◇イベント内容は、学生団体の代表者が、100秒で団体紹介や活動内容等をプレゼンし参加者と情報の共有を図ります。
◇参加団体は23団体

と、種々活発化を推進しています。

また、学生だけではなく多様な団体ともこの場を拠点として連携が進んでいます。

◇商店街との連携
木倉町ふうりん祭りへの参加協力や、まちなかの商店街の魅力を紹介する「金沢学生セレクション」
◇地域との連携
学生のまち市民交流館の周辺地域の児童館等と連携し、まちなかの地域コミュニティの活性化イベントを実施

等々、を展開しています。

その機能の一つとして、学生と市民の情報交換を積極的に行うマッチングの推進も見ることができました。

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岩見沢にもこういう情報交換の場があると、とても良いと思いますね。

 

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これらの全ての活動の根幹として、

(1)学生にかける期待

◇金沢に愛着を
・金沢でしか体験できない学生生活を過ごしてほしい。

◇まち全体をキャンパスに
・金沢のまちの資源である歴史・文化を身近に感じてほしい

◇まちに元気を
・社会的なマナーや決まりを遵守しつつ、何事にもチャレンジしてほしい。学生時代にしか出来ない失敗も一杯してほしい。

それらを実現するため

(2)行政の役割として

◇学生の自主性を尊重しながら、金沢が将来にわたり希望と活力に満ちた魅力あるまちになるよう施策を策定

◇学生と市民とをつなげるプラットホームづくり、まちづくりをより楽しいものにするプランニング

◇取組を通じて、地域等の様々な課題を自分でみつけ、自主的に解決できるような人材を育成する

ということを掲げていました。

金沢市には約37,000人の学生がいるものの、この様な活動に携わる人はまだまだ少数とのこと。これを少しでも推進していくことで、より活発な学都の復活と市民交流によるまちづくりの両立を図っていこうとするものです。

これは岩見沢市においても同様と思われ、僅か8万4千人弱のまちにおいて、北海道教育大学の学生さん達が関わることにより、非常に大きな影響が起きると思います。もちろん現在も大学側から様々なアプローチがあり、学生さん達が積極的にまちに関わってくれている事も多いのですが、真に市民との交流を活性化していこうとすると、まだまだハードルが高いと思われます。

そこで行政も積極的に「学生とまちとを繋げる施策」を推進すること。またその場を設けることはとても重要なことだと認識しました。

これが具体的にどのような方法が良いのかは、まだまだニーズを含めた検討をしていかなくてはならないと思いますが、あらゆるものが多様化する時代において、地域に学生の活躍の場、言い換えると「居場所」を構築していくための施策を行政が推進していく事は非常に有効だと考えます。

今回は全国で初となる「学生とまちとの関係を推進する条例」を制定し、その具現化のために場を設けた金沢市の例を元に、岩見沢市で何ができるか、何をすべきかを議論していく土台を得たと考えます。

 

(5)野々市市及び他都市調査まとめへ

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