〈平成28年12月22日投稿〉
《11月9日:視察1日目》
富山市内での非常に有意義な視察の後、片道約1時間かかる氷見市へと向かいます。
これは現在岩見沢市が市役所新庁舎の建て替えを検討している背景から、あらゆる角度から思考を巡らせる事ができるように、特徴的な庁舎を是非見ておきたいと思ったものです。
実はこの氷見市役所。総務常任委員会での他都市調査でも受け入れが叶わず、今回の会派でも公式な受け入れが叶わなかったことから、半ば諦めていたものの、せめてその外観と内部の構造ぐらいはこの目で見ておきたいと思い、公式な受け入れを得られなくとも一方的な見学をさせてもらおうという趣旨でした。
この氷見市役所はなぜ見たかったのかというと、元々県立高校の体育館等をリノベーションして市役所庁舎に改築したところで、その内部にも様々な工夫がされていると共に、ファシリテーションを駆使した市長の手腕が注目を浴びているところでもあります。(氷見市役所+ホワイトボード 等で色々と検索していただけると話題が沢山でてきます。)
外観は見事に学校校舎&体育館です。
中に入るといかにも体育館を改装した、広い空間が現れます。
あとでお伺いしたのですが、湾曲した天井は空調の効率化を行うため、室内の体積を減少させるための工夫だと言うことでした。
元々が体育館ゆえ、窓が高い位置にあるためにこの様な湾曲構造になっているとのこと。
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そして、ただ見学するだけでは認知しにくいため、篠原会長が受付に「何か庁舎の資料などはありませんか?」と伺ってみたところ、とても立派なパンフレットをいただき、尚且つ「ご案内をいたしますか?」という大変ありがたいお言葉を頂戴。
お言葉に甘えさせていただくこととすると、ガイド担当の方がいらしてくれて、急遽市庁舎ツアーをしていただくことに。
議員の視察の場合は、議会事務局同士の交渉になるため、どうしても議会や委員会、その他何らかの行事や他都市の受け入れ等があった場合はお断りをされてしまうのが常です。しかも氷見市の様に人気のあるところは尚更です。よってこの様な突発的な訪問も本来は褒められる様な行動ではありませんが、ガイド担当の方のお話によると、この様な庁舎案内はすでに数千名を対象に行っているため、全く問題ない模様でとても親切で丁寧なご案内をしていただけました。心より感謝申し上げます。
庁舎概要としては以下の図の通りとなります。
この庁舎は、二つの体育館と校舎の一部を残して改築したものです。北陸地方の体育館は北海道とは違い2階建てが一般的とのことで、大きな方の体育館の1階は窓口業務が主となり、2階が市長部局や打ち合わせなどが主となります。小さな方の体育館は1階が教育委員会や地域協働スペース、2階が議会関係となっており、元校舎側は1階が建設部は農業関連、2階が会議室や災害対策室となっています。
大きな体育館の窓口業務は・・・
業務内容は常に変化するものという前提で間仕切りはなく、簡単に看板などを変えることができるようになっていました。
2階は至る所に会議スペースがあり、そのどれもがオープンで、しかもホワイトボードなどで簡単にディスカッションを行えるようになっているのが特徴的でした。
手前の縦長の四角は空調機器で、それをホワイトボードで覆うことでディスカッションスペースになっていたり、その奥の人が見える場所はガラス張りの会議室。右奥の黒っぽい一角は市長室と市長応接室となっています。
ガラス張りの会議室では、まさに市長を交えた会議が行われている最中で、その風景を市民も普通に見ることができます。
市長応接室もガラス張りとなっていました。
この庁舎内には、あらゆるところにホワイトボードがあり、それらを上手く活用していこうという意思を垣間見ることができます。まさに対話・議論を重視する姿を感じます。
市役所内でも部署を超え、何かあればすぐに集まって議論ができる環境が整っている様子を見ることが出来ました。これは体育館という広いワンフロアのメリットと言えるかもしれません。
多くの校舎は解体してしまったそうですが、一部の校舎を残して活用しています。
下の画像は元教室を会議室として活用しているところです。
雰囲気がいかにも校舎ですが、あるものを上手く活用する発想は、これからの時代にとてもマッチしていると思われます。
小さな方の体育館では、1階が教育セクションと市民協働エリア。
この様に立派な会議スペースも備わっていました。
2階に上がると議会棟。
この様に、庁舎内を細かく説明いただき、非常に工夫をこらした素晴らしい庁舎であることを理解することができました。やはりただ見学するだけと、しっかりご案内いただくのとでは大きな差がありました。重ねて感謝申し上げたいと思います。
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あらためて概要ですが、
❏建設事業費(予算額)
◇工事請負費 1,575,444千円
◇設計等委託料 50,321千円
◇用地費 300,000千円(実質289,745千円)
◇事務費等 12,998千円
◆合計 1,938,763千円
❏新庁舎整備の歩み
◇平成23年10月 市庁舎の耐震診断調査開始
◇平成24年3月 耐震評定書交付
◇平成24年6月 市議会において市庁舎整備検討特別委員会設置
◇平成24年10月 市議会臨時会にて市役所を移転する「市役所設置条例」と移転整備のための事業費を計上した一般会計補正予算を可決
◇平成24年12月 氷見市庁舎移転整備工事基本・実施設計業務に係るプロポーザルを実施
◇平成25年6月 第一回「新市庁舎デザインワークショップ」を開催(10月までに4回開催)
◇平成25年9月 市議会で事業費を3億9千6百万円増額する補正予算を可決
◇平成25年12月 富山県との間で用地売買契約締結/第一回「新庁舎の花と緑のデザインを考えるネットワーク会議」を開催(翌年3月までに5回開催)
◇平成26年4月 建築本体工事完了
◇平成26年5月 外構工事完了(5月7日開庁式)
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この市庁舎には概要だけではわからないエッセンスがたっぷりと詰まっておりました。
その理念はパンフレットの市長挨拶から抜粋させていただくと、、
~市民と行政が”共に創る”未来へ~
このキャッチコピーに込めた想いは、『市民の中にこそ、政策を創り上げる叡智がある』という成熟した民主主義に寄せる期待と信頼です。
複雑、多様化する市政へのニーズと指数的な速度で変化する環境への対応を図るには5万人、志民皆さまの衆知による経営が望ましいと考えます。
開かれた庁舎で対話のある市政、皆さまと政策を創り上げてゆく場を目指します。
皆様の新庁舎です。いつでも気軽に足をお運び下さいませ。
という言葉に真髄があるような気がします。
岩見沢市においても、単なる市役所庁舎が新しくなる。ということだけではなく、その過程においてどのような市民参画や、今後50年、100年後を見据えた投資的意義を織り込めるか。また事象として発生させることができるかが重要だと認識をしています。その想いにおいて、この氷見市の市民協働と随所に発揮される工夫の結果が何よりも参考になろうと考えています。
是非、岩見沢市の未来に反映させていきたいと思います。
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今回のガイドにあたっては、あまりに真剣に庁舎を観察しようとする我々に対するご厚意による特例と思われ、大変失礼なことであったと認識をしています。議会としての視察でなければ、こちらの様に一般向けのガイドの申し込みがありますので、ご確認されることをお奨めいたします。
http://www.city.himi.toyama.jp/hp/departmentTop/machidukuri/kankoukouryu/hitononagare/node_17649
またこの中に、市庁舎としては非常に珍しいバーチャル庁舎案内もあります。
こちらも是非ご覧ください。
http://www.city.himi.toyama.jp/360view/himi-city-office_vtour/#p=scene_02
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本庁舎においては、まさに一見は百聞に如かずの言葉どおり、沢山の得るものがありました。
私自身、すっかり氷見市のファンになりました(笑)
そして長い1日も終わりとなり、翌日の南砺市に向けてレンタカーは走ります。
「平成28年度 岩見沢市議会 市民クラブ他都市調査(2)氷見市役所見学」への5件のフィードバック