〈平成28年12月22日投稿〉
(1)NPO法人 富山・イタズラ村・子ども遊ばせ隊
(2)氷見市役所見学
(3)南砺市ICT活用事例〈その1〉
からの続き
《11月10日:視察2日目》
南砺市のICTを活用したアニメーションツーリズム事業に引き続き、2案件目はICTを活用した「TV会議」「テレワーク事業」についてを調査させていただきました。
この調査を選定した大きな理由は、岩見沢市役所新庁舎建設に向けた議論が始まるタイミングにおいて、既存の北村支所、栗沢支所、市内各拠点を的確に結び、密なコミュニケーションを取れるのであれば、大半の職員が一同に集う大きな新庁舎を建設するまでもなく、建て替えする本庁舎をそれなりの規模のもので抑え、あとは周辺拠点を密なネットワークで繋ぐことができれば、既存施設の再活用を含め様々に可能性が高まることも考えられるのでは?という考え方を想定したものです。
というのも、南砺市は平成16年に8つの町村(城端町、平村、上平村、利賀村、井波町、井口村、福野町、福光町)が合併して市となった事から、各庁舎が広く分散している状況。市長室のある庁舎と議会のある庁舎も異なるというぐらい各地に行政機能が分散しています。
南砺市の総面積は668.86キロ平方メートルと、およそ琵琶湖に匹敵する面積(岩見沢市は合併後481.1キロ平方メートルで、現在4庁舎8行政センターで行政運営をしていますが、上図の通り、山村部は非常に交通の便も悪く打ち合わせをするのも一苦労という実態があります。
よって、
・市民への公平なサービスの提供が必要
・ネットワークとICTの活用によるサービス提供
・ICカードをキーデバイスとしてサービス提供
という事に基き、平成15年度から「地域公共ネットワーク整備事業」を展開し、砺波地域8町村公共ネットワーク基盤整備を行われました。
それらをベースとして、南砺市では3つのICT利活用事業を進めています。
①対面型オフィス連携システム(H21)
一般的にテレビ会議システムと言われるもので、大都市圏や海外等の遠隔地の企業等が、このシステムを使用することによりオフィス機能等の誘致の推進やテレワーク等の新たな就業環境の普及により若者等の定住人口の増加や技術者・専門家等の転入を促進させ、地域経済の活性化を計ることを目的としたシステムです。
②遠隔医療コンサルテーションシステム(H22)
医療コンサルテーションの構築に向け、南砺市情報ネットワークを基盤に、診療医療情報等を標準化し、専門医のいない診療所において総合診療医が小児患者を診察する際に、南砺市民病院や富山大学等の小児科専門医がシステムを用いてコンサルテーションを行い、その効果と住民意識変革を検証する事業です。
③そくさいネット「ふれiTV」システム(H23)→「ふれiTVⅡ」へ進化
高齢者世帯を中心にTV電話システムを導入し、地域ぐるみの活用を行うことで、独居老人や高齢者の多い集落における社会生活の困難を解消し、安全安心なまちづくりを進める事業となります。
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これらの中で、特に①のTV会議システムにおいて、岩見沢の庁舎建設に活用できるものがあるのではないかとの関心を持って調査に挑みました。
南砺市では分散する庁舎間の情報共有や協議の場として庁舎TV会議システムを構築しています。
平成20年度からは民間会社のシステムを利用し、電算会議や定例会、指名委員会、予算査定等をTV会議で実施。平成23年度からは民間会社のシステムをやめ、skypeを活用して、指名委員会や予算ヒアリング等を実施。平成27年からはgoogleのハングアウトに変更し、予算ヒアリングや市外遠距離(単独)を実施しているとのことでした。
このTV会議システムがどの程度実用的なもので、今後更なる進展があるかどうかをお伺いしたところ、複数の人が同時に話たりした時にリアルであれば人間の耳は非常に高性能で、どんなに複数の人の話し声がしても、特定の人物に特定して声を聞き取る事も可能だが、どうしてもTV会議等の場合はそうはいかず、非常に不便なところも多いとのこと。結果、南砺市ではこのTV会議システムにも限界を感じており、現在、統合庁舎建設に向けて動き出しているとのことでした。
結果としては岩見沢市においても各拠点をTV会議のネットワークで結ぶ、分庁舎方式を積極的に推進していくことは非常に難しいという結論に至りました。
当初予定とは結末が大きく異なってしまいましたが、これも調査の現実です。
いずれにせよ、岩見沢市もICTを力強く推進する立場もあり、この南砺市の様々な取組は参考になりました。
実は我々がお伺いした視察日程は、南砺市議会議員選挙の真っ只中でした。そのような大変多忙な中で受け入れしていただき、詳細にわたり丁寧にレクチャーしていただいた南砺市職員の皆様方に心より感謝申し上げます。
この後、我々は午後の視察地、金沢に向けて1時間ほど車を移動させていきます。
「平成28年度 岩見沢市議会 市民クラブ他都市調査(3)南砺市ICT活用事例の調査〈その2〉」への1件のフィードバック