〈平成28年12月22日投稿〉
(1)NPO法人 富山・イタズラ村・子ども遊ばせ隊
(2)氷見市役所見学
からの続き
《11月10日:視察2日目》
岩見沢と同じようにICT活用を標榜しているまちが南砺市です。
しかしその活用事例は岩見沢市とは大きく異なり、二つの視点から調査をお願いさせていただきました。
一つ目は観光人口を増やすための取組にICTを活用している事例。もう一つが合併により分散している市役所庁舎をICT環境で結び、都度会議で集合するのではなくインターネットを活用した会議によって、円滑に業務を行っている事例があり、岩見沢の新庁舎建設にあたり、北村や栗沢支所や市内各拠点をフルに活用した分庁方式を想定することもできるのではないか?という視点でした。
〈その1〉観光施策”アニメーションツーリズム事業について
元々南砺市は合掌造りで有名な白川郷にも近く、市内にも五箇山の世界遺産など歴史的観光資源が豊富で観光交流人口も多いが、どうしても年齢層が高い傾向にあり、今後の観光の伸びを目指すには若年層に対して魅力的な施策を行う必要があるとの認識から、ICTを活用した観光誘致を実施しています。
その一つが「true tears」という、ゲームソフトを元に2008年からテレビ放映されたアニメがあり、その舞台が富山県南砺市城端地区であり、随所に高岡、氷見、富山市などの風景が使われ、そのファンが聖地巡礼的に多く訪れるようになったのがきっかけ(当初は富山が舞台であるにもかかわらず、富山では放送されていなかったとのこと)。
その効果をより多くの層に拡大し観光誘致へと繋がるよう、南砺市では2012年に2千万円を投資して、この南砺市に来なければ見られないICTシステムを用いて「ture tears」のオリジナルストーリーのアニメを製作したものです。
ポイントは現地に行かなければ見られないこと、またその舞台となる場所を巡るフォトラリーキャンペーンなどを展開することにより、整地巡礼の効果が強化されること。
合計で6話製作されているが、それぞれ南砺市の中でも「利賀・福野地区」「井波・平・上平地区」「福光・井口・城端地区」を舞台とし、その舞台となった地区内でしか視聴することができないシステムになっており、アニメの内容を見たければその地区にいかなくてはならないことが特徴になっています。
費用としては、前述のイニシャルコストの他、ランニングコストとして年に1千万~500万円程度かかっており、平成28年度においては430万円の計上となっています。
この投資に見合った効果があるかどうかは、残念ながら我々のようなアニメに馴染みの無いものには計る術もありませんが、当然そのファン層には多大な影響を発揮していると思われ、インターネット上で情報を収集するとその旨を感じることができます。
また、下のポスターにもある通り、東京から僅かな時間で訪れることの出来る北陸新幹線の効果も十二分に視野にいれた投資であると言えます。
この交通手段の進化というのも南砺市にとって大いに追い風になっていると思いますが、あらためて、アニメの地域限定視聴などアイデアとしては誰しも浮かびそうなものではありますが、それを実現する能力の高さと、たまたまテレビ放映されるほどの人気アニメで南砺市を舞台としたものがあった。という幸運もありますが、そのチャンスを活かそうという姿勢に大きく感銘を受けます。
これらを岩見沢に当てはめようとすると、実は鉄道や炭鉱というキーワードは今後大きく力を発揮してくると考えています。
特に鉄道に関しては、現在は衰退してしまっていますが、もともと鉄道の街として生まれ、発展してきた経過を含め、このICTを活用することにより聖地巡礼的な思考を行っていくことは重要であろうと認識しています。
また2年後の北海道150年に向け、北海道でも炭鉱や鉄道、鉄、港などを含め「炭鉄港」で日本遺産を視野に取組を進めていることからも、この様なICT活用は大いに可能性を広げて思考していくべきだと考えています。
今後の人口減少社会に対応するために、観光交流人口の増加は経済効果や雇用の推進に多大な影響を及ぼします。その炭鉄港の要素において、特に炭鉱と鉄道に所縁のある岩見沢のアイデンティティを発揮していく様なことを具現化していかなくてはならないと思うと共に、そこにICTは絶大な効果を発揮すると確信しています。
今回の例は、その先進事例として大いに参考になりました。
「平成28年度 岩見沢市議会 市民クラブ他都市調査(3)南砺市ICT活用事例の調査〈その1〉」への4件のフィードバック