〈令和7年12月22日投稿〉
この度の令和7年第4回定例会で最も重要と認識した議案は、表題のとおり、公共施設の値上げに関する条例変更です。

議案としては、「議案第62号 岩見沢市自治体ネットワークセンター条例の一部改正について」から始まり、43件にわたる各施設の条例一部改正となり、それぞれ利用料金等の改定が審議され、賛成多数で可決されました。よって、令和8年4月1日より新料金となることをご報告いたします。
以下、私が値上げの議案に賛成した理由やその内容について補足説明をいたします。
①なぜ公共料金の見直しが必要か(重要)
■多くの公共施設・手数料は長年据え置かれてきた料金が多く、その間に人件費・光熱費・維持管理等が大きく上昇している現実があります。(最も古いもので昭和54年のまま)
■現状では、足りない分の費用をそれら施設利用者以外の市民全体の税金で負担している状態で、実際に利用しない人のお金で、利用する人への費用負担をしているということは「受益者負担の原則」と乖離していると考えるものです。
■将来世代に過度な負担を先送りしないためにも「使う人が適正に負担する」という仕組みへの見直しが必須と考えます。
②見直しの基本的な考え方(受益者負担の整理)
■施設の性質に応じて、利用者の負担割合を明確化
・0%負担:図書館・学校など、生活に不可欠で公共性の高い施設
・50%負担:多くの市民が利用する地域施設(公費と利用者で分担)
・100%負担:観光施設、企業向け施設など、市場性が高いもの
■手数料(証明書発行など)は、原則100%受益者負担
*一律値上げではなく、施設ごとの性格に応じた整理を実施することとなります。
③値上げ幅の大きいものへの激変緩和
■原則として
・150%を上限とする施設
・200%を上限とする施設
に整理している。
■現行料金が極端に低い一部施設のみ、例外的に200%超となるが、2~3年をかけて段階的な引き上げを実施。
■地域コミュニティ施設に関しては、改定時期を令和8年4月ではなく、10月に延期し影響を緩和。
④市民への配慮策
■市民料金(市民割)の新設・拡充
・市外利用が多い施設では、市民料金を2~5割引きに設定。
■学生・高校生料金の新設
・部活動や通学利用を考慮し、一般料金の半額などに抑制。
■コンビニ交付の証明書手数用は据え置き
・日常的に使うサービスほど負担増を抑制
⑤今回の改定で対象となる範囲
■施設使用料:全体の約8割(84施設)
■手数料:12項目(主に2~3割程度)
■児童館など、子どもが使う部分は従来通り無料を維持
⑥本見直しの意図
■公共施設を「なくす」「縮小する」ための値上げではない
■必要な施設を将来にわたって維持するため
・負担の見える化
・公平性の確保
・持続可能な財政運営を実現するため
大まかにまとめると上記のとおりとなりますが、日本国内において物価高騰が著しく、しかし収入はなかなか増えないという厳しい状況下、公共料金まで値上げすることは非常に危惧すべき状況ですが、このまま何もしなければ、更に大きな負担や施設の維持が叶わなくなる現実があります。
よって、今回の改定では「使う人」「支える人」「将来世代」のそれぞれのバランスが重要視された結果であり、私自身、やむを得ないと判断しています。

また、値上げ幅や対象件数も多いため、市民への影響が大きいと判断し、この度の議会では全会一致となりませんでしたが、賛成多数で「附帯決議」が可決されました。
その内容については以下のとおりです。
1 料金改定後、社会経済情勢や施設利用実態の変化を踏まえ、適宜、検証及び見直しを継続的に行うこと。
2 特に、改定率が著しく高い施設( 200 超)については、利用状況の変動、市民活動へ の影響、コミュニティ維持への影響等を注視し、必要に応じてさらなる緩和措置や段階的見直しを検討すること。
この「適宜、検証および見直しの継続的実施」に対する私なりの趣旨としては、今回の改定においては、値上げによる利用者の減などの影響も懸念されます。
私が民生常任委員会で行った質問では、議案第97号「あそびの広場」が、これまでは利用料が100円だったものが、市民100円/市外300円に変わります。実態として、令和6年度では利用者計が約5.7万人で、そのうち65%にあたる約3.6万人が市外利用者でした。
300円になることで、近隣では南幌町の「はれっぱ(300円)」、恵庭市の「はなふる(250円)」、秩父別の「ちっくる(無料)」などがあり、それぞれが競合となり、あそびの広場の市外利用者が減少する可能性があります。
一見、市外利用者が3分の1に減っても、利用料金は3倍なので経営収支的には痛手は少なく、むしろ市民利用者には遊びやすさなどのメリットが出る可能性もあります。しかし少し俯瞰し、場所柄である中心市街地の「人流」という点で考えると、あそびの広場の利用者だけで「であえーる岩見沢」に年間延べ5.7万人が訪れているのは大きな要素となります。これは活性化が課題とされている中心市街地においては、かなり大きな要素の1つであると思います。
またそのうち約3.6万人が市外利用者で、保護者も若い子育て当事者が大半であることを考えると、「岩見沢移住」を考える大きなきっかけの場(子ども施策全般のPRができる)となることは間違いなく、やはり利用者が減ることは、利用者数や経営収支以外の目に見えない事象にも影響が出ると考えられます。
よって総合的に判断すると、万が一、市外利用者の大幅減があれば、ここは何らかの措置を柔軟に行っていかなければならないなどの判断が必要だと感じていることとなります。
以上、この度の料金改定(受益者負担の適正化)に関し、私なりの説明とさせていただきます。
関連として岩見沢市では、ごみ処理料金の値上げも行われたばかりですが、北海道の人口が500万人を下回り、当市においても令和7年11月末時点で人口は7万3千人を切っています。
公共サービスは、多くの市民で費用を分かち合う「割り勘」の性質を持っていますが、人口減少とはその母数が減ることを意味します。さらに高齢化が進む中で支える側は減り、支えを必要とする側は増えるという現実があり、今後の財政運営は一層厳しくなることが予想されます。
これは岩見沢市に限った話ではなく、地方交付税に一定程度依存する多くの自治体に共通する課題であると認識していますが、この状況は今後ますます顕著になってくるはずです。私たちはその様な現実から目を背けず、厳しい未来の中にも希望を掲げ、将来世代が悲観するような状態を作ってはならないと思っています。かなり難しいことだと思っていますが・・・。
どうか値上げ等に関してもご理解いただければ幸いです。
以下、一部ではありますが、参考に代表的な料金改定を記載します。
① 地域・市民利用が多い施設(コミュニティ系)
| 施設名 | 主な利用区分 | 現行料金 | 改定後 | 改定率 |
|---|---|---|---|---|
| コミュニティセンター | 研修室 | 300円 | 500円 | 約1.7倍 |
| 〃 | 多目的ホール | 1,030円 | 1,500円 | 約1.5倍 |
| 朝日コミュニティ交流センター | 多目的ホール | 3,130円 | 4,690円 | 約1.5倍 |
| 美流渡コミュニティセンター | 会議室 | 200円 | 300円 | 約1.5倍 |
| 栗沢市民センター | 大ホール | 4,400円 | 6,600円 | 約1.5倍 |
② 文化・社会教育施設
| 施設名 | 主な利用区分 | 現行料金 | 改定後 | 改定率 |
|---|---|---|---|---|
| 市民会館 | 大ホール(市民) | 16,230円 | 21,600円 | 約1.3倍 |
| 文化センター | ホール(市民) | 4,910円 | 20,000円 | 約4.1倍 |
| 生涯学習センター | アリーナ(市民) | 4,400円 | 5,340円 | 約1.2倍 |
| 郷土科学館 | 入館料 | 310円 | 400円 | 約1.3倍 |
| 絵画ホール | 入館料 | 210円 | 300円 | 約1.4倍 |
③ スポーツ施設(屋内)
| 施設名 | 利用区分 | 現行料金 | 改定後 | 改定率 |
|---|---|---|---|---|
| 総合体育館 | アリーナ(市民) | 2,460円 | 4,420円 | 約1.8倍 |
| 岩見沢スポーツセンター | アリーナ(市民) | 1,970円 | 3,540円 | 約1.8倍 |
| 北村多目的体育館 | アリーナ(市民) | 4,180円 | 15,060円 | 約3.6倍 |
| 栗沢B&G体育館 | アリーナ(市民) | 730円 | 1,960円 | 約2.7倍 |
④ スポーツ施設(屋外)
| 施設名 | 利用区分 | 現行料金 | 改定後 | 改定率 |
|---|---|---|---|---|
| 岩見沢市野球場 | 半日(市民) | 10,480円 | 16,880円 | 約1.6倍 |
| 栗沢球場 | 半日(市民) | 4,180円 | 15,060円 | 約3.6倍 |
| 東山公園庭球場 | 1面1時間 | 140円 | 680円 | 約4.9倍 |
| パークゴルフ場 | 市民 | 200~300円 | 400円 | 約1.3~2倍 |
■参考までに、以下の表はchatGPTの〈5.2Thinking〉で84件の取りまとめをしたもの。議案資料のPDFファイルから必要な項目だけ抜き出して整理するなど、本当に便利な時代になりました。このまま進化していけば、いよいよ仕事の時短が進んでいきます。
