人口規模とサービス施設の関連から、岩見沢新病院建設について考えてみます。

〈令和6年3月16日投稿〉

前項の続きとして新病院建設に関して徒然に思考してみたいと思います。

これはあくまで資料等を元に考察するだけで、決して深い推察もなければ結論もありません。というのも、この新病院建設に関しては簡単な事象ではなく、誰もが正解がわからない中で熟考を重ねていくことが必要なのだと思っています。

よって多くの市民の皆様に一緒に考えていただけたら!という願いを込めて投稿いたします。

国土交通省が参考資料として公開しているものに、人口規模とサービス施設立地の確率をデータ化したものがあります。その元データはこちらです(https://www.mlit.go.jp/common/001042019.pdf

前項ではその一部を紹介していますので、まずはそちらをご覧いただければわかりやすいかと思います。


さて、そのデータ中の〈医療・福祉〉の項目を見ると、地域医療支援病院は97,500人の人口規模で50%の存在確率ということになります。現状の人口が約75,000人で今後更に減少が予想されている岩見沢市においては、新たに「地域医療支援病院」として承認、設置されることはあまり現実的ではないこと。ましてや「先進医療を実施する病院」の設置にはほど遠い現実があることがわかります。

しかし現状の岩見沢市立総合病院としては、「南空知の中核病院」という位置づけと、表中の「救急告示病院」というくくりであることを考えると、現在計画されている新病院を建設することそのものは懸念すべき状況ではないことがわかります。

*ちなみに新病院建設を機に、「地域医療支援病院」への承認を得ることを検討されたかどうかを非公式に聞いてみたところ、『当該病院の承認を受けることは、地域の医療機関との機能分化を推進し、診療報酬上もメリットがあるものと考えているが、一方で、当該病院の承認を受けた場合、診療科一律で、紹介状のない患者から定額負担(初診時で7,000円)をいただけなければならないことから、市内の医療機関の現状や患者負担の増を踏まえると、現在の制度では本地域医療の提供体制には馴染まない』とのことで、この基準に関しては現行のままで、上の表中では「救急告示病院」というカテゴリーになろうかと思います。

そこで、新病院の建設そのものは懸念すべき状況ではないと認識すると、あとは健全経営で持続可能な体制をどう設定するかが重要になると考えていて、そこは前回の一般質問でも行った通り、現在の基本設計の規模では到底持続可能な状況にはなり得ないのではないかと私自身は考えています。


下の図は【岩見沢市病院事業経営強化プラン(素案)】の中から引用したもので、南空知医療圏内の人口構成別推計と高齢化率になります。

*この病院事業経営強化プランの資料も参考になることが多いのでぜひ御覧ください。


下の図は同じく【岩見沢市病院事業経営強化プラン(素案)】から引用したもので、岩見沢市の人口構造推移となります。

これらは以前、動画でもお伝えした内容の主旨と差は無いと考えるところですが、やはり生産年齢人口の急激な減少は、医療関係のみならずあらゆる産業で働き手不足に陥る可能性を含んでいます。また、同じく【岩見沢市病院事業経営強化プラン(素案)】から引用すると、下表のように岩見沢市立総合病院の「入院患者数推移」、「1日当たり入院患者数と病床利用率の推移」、「外来患者数の推移」を見ても減少傾向にあることが読み取れ、またこれはコロナ禍の影響が強く出たものと考えるも、すでに感染症法上の分類が5類へと変更され、間もなく1年が経過する状況下、これら患者数は現時点でも戻ることはなく、今後は非常に難しい判断をしていかなくてはならない状況と認識しています。

そしてこれは岩見沢市立総合病院のみならず、今回の市政方針で市長から「早期経営統合を目指す」とあった北海道中央労災病院も同様の傾向とのことで、この状況から未来予想を誤ると、自治体財政に多大な負担をかける病院となってしまう可能性があります。

というのも、一般の病院とは異なり、自治体が運営する総合病院は「地方公営企業」として運営し、原則独立採算制をとっていますが、「性質上能率的な運営を行ってもなおその経営に伴う収入をもって充てることが客観的に困難であると認められる経費(政策医療・不採算医療など)等については、総務省が毎年度示す繰出基準に基づいて、一般会計が負担すべきと定められています。〈引用元:岩見沢市病院事業経営強化プラン(素案)〉となっていて、その内容は以下の様になっています〈引用元:同〉

特に表の上から2番めの「中核的な病院機能の維持に関する経費」となると、新病院建設計画に見通しより厳しい状況に陥ると、病院経営上の赤字補てんを市の一般会計から拠出し続けることとなると思われ、ただでさえ財政状況に余裕のない岩見沢市(下記リンク先参照)としては、病院建設の結果によっては、未来の岩見沢像に大きな影響を及ぼすこととなってしまう事を懸念しています。

これらのことから、令和6年3月末現在で基本設計のパフリックコメント募集まで進行している新病院建設ですが、様々な要素によって「慎重で柔軟な対応が不可欠」であると信じています。

ぜひ、多様な目線で注視いただければ幸いです。

************

というところで一旦投稿していたのですが、今朝の北海道新聞空知版において「労災病院 外来入院中止」という大きな見出しが出ていました。

新聞記事によると”労災病院の入院患者数は2019年度は約7,800人だったが、22年度には約6,200人と2割減少。外来数も19年度約8,100人だったが、22年度は約7,300人と1割減。特に全身麻酔を伴う大きな手術数の減少が顕著で、同病院は「近年は大きな手術を札幌で行う人が多い」”とのこと・・・

また、統合する両病院の外科医はともに北大病院からの派遣を受けており、当医局の判断によって岩見沢市立総合病院との統合を待たずに札幌等の病院への異動となったとも記載されています。しかし地域への影響を最小限にするため、現在の常勤医は4月以降も労災病院へ出張医として外来に当たっていただけるようです。

これらは患者減による経営状態の悪化という現実と、医師不足が課題となっている他地域との兼ね合いによるもので、決して誰かを責める様なことではなく、時代の流れにおいて課題の質の変化が明確になってきたという事だと感じます。

よって、これからの両病院の経営統合、そして新病院の建設においても、これまで誰も経験したことのない社会情勢の中、まさに正解が見えない中で必死に最適解を見つけていかなくてはならない状況につながるものと考えています。

担当レベルの苦労もそうですが、最終的な責任を伴う首長も議会も、地域医療の健全なる持続性と厳しい課題が山積する行政運営のバランスを熟考しながら、様々な決断をしていかなくてはなりません。

岩見沢市民憲章の前文にあるように、「伸びゆく産業、交通の中心のまち、かおり高い文化のまちとして、未来に大きな夢と願いをもっています」という状況であった時代が懐かしく、現段階では産業の衰退をどう回避していくか、公共交通の維持もどうやって実現していくかなど、ネガティブな要素ばかりが増えています。

しかしどんな状況であれ、「未来に大きな夢と願いをもっています」という志を忘れることなく、そして「わたしたちは、このまちに住むことに誇りをもち、品性豊かな市民となるため、こころをあわせて市民憲章をさだめます。」という言葉を胸に、時代のフェイズが変化したことによる困難に対し、思考停止となることなくしっかりと立ち向かっていかなくてはなりません。

「人口規模とサービス施設の関連から、岩見沢新病院建設について考えてみます。」への1件のフィードバック

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください