〈平成30年7月26日投稿〉
7月9日に北海道自治立志塾の仲間で秩父別の『屋内遊戯場 キッズスクエアちっくる』と今年出来たばかりの『屋外遊戯場 キュービックコネクション』(ベルパークちっぷべつ~3世代公園)を視察してきました。
その理由は、平成30年1月1日時点で秩父別町の人口は2,436人となり、前年同期と比べると3人の増加となったことの背景を知るため。
現在、地方のまちは急激な人口減少に歯止めがかからず、都市のベットタウン的な位置づけにある場所以外は、なかなか人口増になるまちは少ないのが現状です。
にもかかわらず、この秩父別町の平成29年中の人口社会増減は、転入が98名に対し転出が62名。また、転入者98名の内、約4割が20~30歳代となっており、新婚世帯・子育て世帯を対象にした家賃助成・引っ越し費用助成、町内就業者を対象とした定住促進家賃助成などを積極的に展開したことが大きいと思われます。
またそれらの根幹にあるのが、積極的な子育て支援。
中でも子育てに力を入れているイメージを高めているのが表題にもある遊戯場ではないかと感じています。
今回は立志塾の中島塾長、松本先生のつてもあり、神薮町長様に直接お話をお伺いすることができました。
もともとは財政的に裕福なまちではなく、平成19年の町長就任以降、財政の立て直しを最優先してきたこと。それと並行し子育てにお金をかける施策も展開してきたが、改めて財政の目処がついた段階で遊び場を設置することに。
その思いは「勉強も大事だが遊びが必要」是非、子ども達を遊ばせたかった。とのこと。
その遊び場をつくるにあたり、担当者複数人が全国の事例を勉強し、この岩見沢のあそびの広場も視察された模様。
この遊び場建設の背景には、町長自身が孫をつれて旭川のカムイの杜公園に良く行った。周囲からも孫を遊ばせる場所がないとの声も聞く。是非、子どもの頃に秩父別で遊んだ記憶を持ってほしいとの思いがあった。
しかし「こどもが少ないのに、大金かけてそんな立派な遊び場をつくってどうなる?」という声もあった。
現在の秩父別町には特徴が無い。薔薇ではなかなか人を呼びきれない。そこで外から人を呼ぶには小さいものでは駄目だと決断し、平成29年、昔スケートリンクだった場所に6億円をかけて屋内遊戯場を建設することに。それが”キッズスクエアちっくる”となります。
利用料は町内外問わず無料。
受付はタッチパネル式となっており、中の遊びはネットが主体。
このネットが侮れず、不安定さの中に非日常の感覚があり、私自身スーツで行ったことを後悔するほど!
この屋内遊戯場は昨年1年で約8万人が利用し、近隣の旭川や深川を始め、あらゆる場所から遊びにきています。
自分が子どもの頃だったら夢中になって、あっという間に時間が過ぎ去る夢のような環境でした。
屋外遊戯場はこの様に屋内2階からも見えます。
今年の7月にオープンしたばかりの遊具で約4億円をかけて建設されています。
とても良く出来た施設で、万が一のときにも上階から直接地面に落ちることが無いようなレイアウト。一見、鉄製かと思えばステンレス製との事で、初期投資は割高なれどメンテナンス費用は相当抑制できるものと思われます。
これら両遊び場の思いとして「学びの少ない単純な遊び」という表現がありました。深いなと思うのですが、意図的な遊ばせ方ではなく単純な遊びを通して得られるかけがいのないものを大事にしていると言い換えても良いと思います。
この両施設で約10億円。
その費用内訳は全額過疎債。自治体負担が約3割であり、それもふるさと納税の目的を明確にして支援を募る方法を取っていました。
これら複合的な取り組みが、北海道内で人口社会増となった28市町村の内の一つ、秩父別町の施策であり、財政健全化、子育てに注力した施策、また公営住宅を持たずに民間にお願いしてアパートをつくってもらいその費用を助成したり、手厚い新築住宅取得補助金交付事業などを展開したりと複層的な取り組みが結果を出していると感じました。
あらためて「岩見沢ならどうする?」という問いを持ち、考え続けていきたいと思っています。
この度、視察対応いただきました神薮町長様を始め、担当の方々に心より感謝申し上げます。
「秩父別町の遊び場施策~34年ぶりの人口増」への2件のフィードバック