炭鉄港議連:室蘭研修報告

〈平成29年11月27日投稿〉

11月23日(木・祝)に今年3回目となる北海道「炭鉄港」市町村議員連盟の室蘭研修ツアーがありました。

今回快く受け入れをしてくださったのは、㈱日本製鋼所 室蘭製作所様です。

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最初に座学にて会社の概要や役割などをレクチャーいただいた後、稼働中の工場内の見学をさせていただき、そのスケールの大きさに一同圧巻。広大な工場内部には世界に誇る巨大な設備により、一際大きな製作物が製造されておりました。

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(工場は撮影禁止のため画像はありませんが、巨大な発電所等のパーツなど、その一つひとつのスケールが本当に大きく、世界をリードする製鋼業の凄さを感じることができました。)

余談ですが、岩見沢と室蘭はとても大きな繋がりがあります。

室蘭が鉄のまちとなったきっかけとして、明治22年に官営幌内鉄道の払い下げを受けた北海道炭鉱鉄道会社(北炭)が、明治37年には鉄道の要衝である岩見沢に本社を移転。後に日露戦争を機に、鉄道を国で一括管理する必要性を感じた明治政府は、明治39年に鉄道国有法発布し、国内のすべての私鉄を買い上げます。

北炭はその時に鉄道を国に売却することとなりますが、そこで得た売却資金を元に、イギリスのアームストロング社、ビッカーズ社と共同で立ち上げたのがこの日本製鋼所になります。

この背景としては、北海道の開発は薩摩閥が一手に担ったことと、明治維新前の薩英戦争以降、薩摩とイギリスが友好を深めた結果と見ることもできるのかもしれません。

ちなみに北炭は、この明治39年に社名を北海道炭鉱汽船株式会社と変え、本社を室蘭に移転します。

下画像は、構内にある創業時(M41年)に建造されたレンガづくりの旧火力発電所。

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この佇まいは、これより約8年早く(1899年)建てられた岩見沢レールセンターや、1890年に建てられた札幌ビール博物館などにも通じる意匠で、明治の面影を感じることができます。

 

 

 

また、天皇家のご宿泊所として建築された「瑞泉閣」も見学することができました。

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明治44年、日本製鋼所が天皇家のご宿泊所として建築した建物。洋館と和風建物で構成され、洋館の内装はフランス ルイ16世様式となっています。

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戦後はGHQに使用され、その際天皇家の菊の紋章が好ましくないとの指摘を受け、危機を迎えるものの、下のような社章を上手くかぶせて難を逃れた歴史があるそうです。

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またこの日は別会場で展示中でありましたが、伊藤博文による「日本製鋼所」の社額等々、相当に価値の高いものがこの瑞泉閣に存在しています。あらためて日本の近代化において、兵器製造等の側面もありつつ、この室蘭の鉄がどれほど重要な会社だったのかを垣間見ることもできます。

 

 

また、近代化により衰退していた日本刀製作技術保存のために大正7年に建設され、歴代の刀匠が今なお日本刀製作を行っている「瑞泉鍛刀所」も見学させていただきました。

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設立時は、当時名工といわれた堀井胤明、俊秀親子が招聘され、その後代々引き継がれ、現在は画像で説明をしていただいている胤匡氏が日本刀製作を行っています。

 

研修は、その後会議室での意見交換を経て無事に終了。

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その後、有志にて場所を移し、〈(一社)むろらん100年建造物保存会様〉が行っていた「むろらん100年・北海道開基・明治維新150年企画」の座談会に合流させていただきました。

そこでは戦時中、旧三菱合資会社室蘭出張所で実際に働いていた堀田さんのインタビュー座談会を行っていました。

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その後段において、何故か我々5名の炭鉄港議連メンバーが登壇する機会もいただきました。

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これらの活動に触れ、あらためて室蘭における歴史文化保存・活用の気運の高さを感じることができました。これらの研修を通し、室蘭・空知・小樽の3地域が日本の近代化を支えてきた背景を強く印象づけることとなり、今後の「炭鉄港」の一連の動きが活発化することを確信するに至ります。

 

私自身の感想としては、あらためて薩摩藩の尚古集成館等を起点とする明治日本の産業革命遺産の流れがこの北海道に行き着き、今なお、その系譜がリアルに続いている様子を強く感じ取ることができました。

最後になりますが、この度は我々の研修を受け入れていただいた㈱日本製鋼所様に深く感謝いたしております。本当にありがとうございました。(日本製鋼所様の歴史等はこちらからご覧になることができます。http://www.jsw.co.jp/guide/history/index.html

最後に重ねてではありますが、㈱日本製鋼所の皆様、(一社)むろらん100年建造物保存会の皆様、そしてお世話になりました室蘭地域の皆様に感謝を申し上げ、研修報告に変えさせていただきます。

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