〈平成29年10月5日投稿〉
10月2日(月)~4日(水)まで、総務常任委員会にて他都市調査を実施してきました。
今回の大きな柱は「こどもの育ち」であり、特にその取組が顕著な長野県の信州やまほいくの状況を視察することを主軸としましたが、その移動範囲内にて総務常任委員会管轄で、岩見沢市に活用することで市民生活に好影響がでることが期待できるものとして、以前から関心を持っていた「ちば市民協働レポー ト」の状況をお伺いしてきました。
よって、初日は時間的にも非常にタイトで朝7時40分に市役所を出発。羽田空港から一度千葉市に向かい、研修後に長野市まで移動するというスケジュール。それでもやはり行って良かったと感じる「ちばレポ」の内容でした。
まずはこの〈ちばレポ〉がどのようなものか簡単に説明したいと思います。
これは市民が24時間、いつでもどこでもスマートフォンやパソコンを使って、公共施設の状況をレポートしたり改善を要望したり、またボランティア等で作業したこと等を報告できるシステムになっています。
例えば上図では、市民の人が道路標識が街路樹の影になっていて見えにくいので、何とかして下さい!というレポートを掲載しています。
このシステムの素晴らしいところは、
市役所担当から「レポートを受け付けました。現場を確認し、対応方法等を検討いたします。しばらくお待ちください。」などのコメントが返され、実際に対応が終わったら「街路樹の剪定が完了しました。完了した状況の写真を添付しましたのでご覧ください。今後も情報提供よろしくお願いします。」などの報告が反映される一連のシステムとなっていて、誰もがこれらのやりとりをオープンに見ることができます。
また、テーマレポートというのを設け、例えば「市内のカーブミラーの状況を教えてください!」というもので、劣化状況のみならず、それまで把握できていなかった位置の情報も集めることができるなど、一歩先を行く活用方法が行われております。現在のテーマはカーブミラーではなく、より市民に身近にシステムを使ってもらえるようになることを考慮して「ちばの魅力あるれる都市景観をレポートしよう」というものになっていて、市民の方がお気に入りの景観の写真と位置情報を掲載しています。
https://chibarepo.secure.force.com/cbc_vf_webreportmap
(上記ページの上段付近に「テーマを選択してください」というところを操作すると過去のものもご覧になれます。
更に、市民が自らが実施した行動をレポートすることもできます。
例えば、道路に空き缶が落ちていたので拾って処分しておきました。とか、公園のベンチが壊れていたので直しておきました!などの情報が載せられます。
また、この様な市民主体で作業する場合に、「サポーター活動」というプロジェクトを立ち上げ、参加人数を募ることもしています。
上記の例で行けば、除草作業を市民の手で行いたいので、実施予定日の中から最も参加人数の多いときに開催するなど、柔軟な進行になっています。
こちらのリンク先https://chibarepo.secure.force.com/CBC_VF_WebCoproductionMapを見ると、様々にペンキ塗りや清掃作業などに気軽に市民に皆さんが関われる仕組みづくりが進んでいます。
こういったシステムは、これまで自治体との接点が町会や団体経由であったり、また本当に困ったときにしか接点が持てないため、苦情等における対立構造になってしまいがちなものが、日頃から市と関われるオープンな環境になるため、市民参画意識に向上が期待できます。
千葉市の場合も「何でも行政がやる時代は終わり」という見方をしており、これからは「市民によって支えられる街へ」という変化に向けた取組と位置づけています。
またこれまでは、様々に発生する地域課題は地域担当と行政担当がクローズドの中でやりとりがされてきたことを、完全にオープンにすることで市民が地域課題を捉える機会にもなり、市民の意識変化、ひいては「市民と行政の協働の機会」の醸成に役立てています。
費用としては、導入時の開発から含め2,700万円+540万円/年の更新費用ということでした。(しかしこれは開発時のコスト及び、千葉市の規模が大きいので83IDが必要なこともあり、岩見沢市に当てはめると初期投資の激減とIDも10ぐらいあれば済むと考えると格安のコストになると思われます。)
とは言えSNSも同様ですが、そもそも活用していない。若しくは登録はしても発信はしないという方々も多く存在するように、どうしてもICTに対する抵抗感があるのも事実の様で、登録開始時の急増期を経て、現在の状況は平成29年8月末で登録者数4,939名、こまったレポート数5,282件(累計)。運用開始してから1度以上レポートしたことのあるアクティブレポーターは1,180名という状況。
人口97万人を超える市として、その状況はまだまだこれからと言ったところの様子です。
そこで平成29年3月の目標として、レポーター数5,000人、サポーター数2,500人を目指しているとのことでしたが、数だけではなく、市民協働の定着・活性化に寄与したり、既存の地域団体等との連携強化などを図っていきたい。また、防犯や災害分野、社会福祉協議会等地域団体での活用を視野にいれていきたいとのことでした。
現在は岩見沢近隣としては室蘭市が次世代Mycityreportの実証実験(国立研究開発法人情報通信研究機構委託研究)に参加発表しているとのことで、今後の展開に注視していきたいと思います。
いずれにせよ、今後の人口減、少子高齢化、財政難、地域コミュニティの変化、各種担い手の減少等々による社会変化に対応していくためにも、市民連携は何より重要で、その器をつくっていくためのプロセスとして非常に有効なものと感じました。
岩見沢市は過去IT特区認定を受けていたり、現在もスマート農業などの取組も進んでいることから、市民にもICTへの抵抗感は少ないのではないかと感じています。是非、前向きに捉えていけたらと思っています。
この度の視察は、インターネット上の情報だけではわからない苦労や課題等、様々に感じる事ができました。あらためてお忙しい中に視察受け入れをしていただいた千葉市職員の皆様に感謝申し上げます。
〈2日目 信州やまほいくへと続く〉
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