岩見沢市役所 庁舎建て替えについて(4)

サブテーマ:徒然検討(まとめ)

〈平成29年5月22日投稿〉

(3)より続く

 

ここまで「新しい市役所庁舎は中心市街地へ」という声が多いと記載しました。

恐らく高度経済成長期には、多くの自治体が【中心部にあった公共施設を郊外へ移転する。】という行為を行い、現在に至っていると思います。これは岩見沢市も同様で、元々街中にあった市役所を約50年前に現在地に移転しています。

この高度経済成長期においては、非常に効率よく経済循環が発生する商業地に公共施設が場所を取るのではなく、公共施設を郊外に移することで、高い経済活動が伴うものを中心市街地に集約し、好循環を発生させた背景があると思います。

しかし、現在の少子高齢化、人口減少の時代、つまり全体が「鬆」となりつつある背景、更に中心市街地が疲弊している現状においては、多くの職員が通い、更に多くの利用者が集まる市役所の様な公共施設が中心街に戻ることの効果は、新たな経済活動の誘発と公共交通の活性化等にも期待できるものがあり、これからのまちづくりの視点として検討の余地があるものと認識しています。そしてこれは恐らく多くの市民が感じていることだろうと思います。

では、どこにつくることができるか?

平成33年末までに供用開始という合併特例債の条件に叶うことを踏まえ、現在の検討資料条件にすると、残念ながら選択肢は見つかりません。私が唯一考えられる所としては駅東市民広場ぐらいか?と思っています。(他にも三館跡地などに分庁舎という事も可能かもしれません)

 

著作権上、ここに駅東市民広場に現在の庁舎を重ねたgoogleMAPを出すことができませんが、実はこの広場の面積は約1万6千㎡あり、駐車場を考慮しても申し分ない大きさです。また、公共施設マネジメントの観点から、将来の公共施設面積を大幅に減らして行かなくてはならない岩見沢市の状況を鑑みると、既存の赤レンガホールと連絡通路を結び、利用者の多いホール以外を市庁舎として活用することで、建設費の大幅削減と一人当たり公共施設面積の減少の両立が図れる利点もあるかもしれません。

また、ここであれば、現在、企画財政部の一部が入っている自治体ネットワークセンターと教育委員会が配置されている”であえーる”とも徒歩で行き来することができるため、新たに新築する新庁舎もかなりコンパクトにすることが可能と想像します。

とは言え、やはり検討場所としてすら選定されない「出来ない理由」もあります。

 

本年2月の総務常任のやりとりを参考にすると、最も難しいと思われることは

①この広場の建設には公園の補助が入っているため、それ以外の用途に使用する場合は補助金と起債の残債として約4億5千万円を返さなければならない。

②都市公園法でいう緑地区分のため、これを廃止する場合は中心市街地区域に同等規模の代替地を用意しなくてはならない。

③既存で活用しているドカ雪まつり等のイベントが開催できなくなる。

④床面に市民参加の刻印レンガがある。

という様な事があります。

 

①の補助金は長い目で見たときにそれ以上の効果が期待できれば返還しても問題ないと考えます。

②の区分としても、中心市街地活性化の概念でつくられた公園ゆえ、より中心市街地の活性化に寄与する変更であれば、全面的に関係官庁と相談、交渉し、熱意を持ってかけ合うことで何らかの緩和措置があるのではないかと期待できる。(これは私ができる事ではないので、そもそもその様な掛け合いが可能かどうかを含めて、言うのは簡単、実行するのは難題と思っています。出来たら凄いことであると。。)

③これは簡単に解決できることではありませんが、新たな制約の中での工夫や遊戯道路等の施策も視野に入れることができるかもしれません。

④既存の刻印レンガは一度取り外し、再利用することで庁舎の床面や駐車場に活かすこともできると思われます。

 

という具合に考えますが、これができるかどうかは全く別の話です。恐らく②に関しては相当難しく、簡単に口にできるようなレベルの事ではないことは言えるのだろうと認識しています。よってリスクを冒すべきかどうか、(3)で述べたように「民意の強い後押し」がなければ決断に至るものではないと思います。

 

他にも委員会において、他所に関する質問も出ていましたが、あらゆる想定をしていくことが重要だと考えています。

 

また、そこで蔑ろにしてはならないのが各種計画等との整合性です。

■例えば、公共施設マネジメント

現在岩見沢市では、公共施設の老朽化による将来経費の増加に対し、管理計画等の策定を進めています。また単なる老朽化等のみではなく、岩見沢市の実態として、他の自治体に比べて市民一人当たりの公共施設面積が多いことがあげられます。これは今後の市民負担増が想定されるものです。であるならば、これからつくる公共施設に関しては、それらの概念を踏まえ、既存の施設の再活用なども視野に入れ、一人当たり公共施設面積の減少を進めて行かなくてはなりません。

 

■公共交通のあり方も重要です。

市としても現在公共交通について、種々検討をしています。現在、身近なところでも高齢による運転免許証の返納などの話を聞きます。それに呼応し、公共交通の必要性は一層高まるはずですが、現状ではまだ利用者が減少の一方のため、種々苦労しているのが実態です。先日もバス路線再編成の説明会が市内各所でありましたが、より利用しやすくなる部分が出る反面、郊外の人が現在の市役所に行こうとすると、かなりの路線で乗り換えが必要になるなど、一部利便性の低下も見られます。

これがバスが集まる駅付近に市役所があれば、市内の大抵の地域から1本のバスで来られること、また職員や議員も自家用車通勤ではなくバス通勤が増加することも考えられることから、バス利用者の純粋な増加も期待できるかもしれません。当然、車ではなくバスであれば、帰りに居酒屋で一杯・・なども発生しやすくなり、市内の経済効果も・・・というのは、あまりに安易な絵に描いた餅かもしれませんが・・。

いずれにせよ、現在、高齢者のバス無料乗車券の配布なども行っておりますが、より利用者が増える要素を目指していくのは必要な視点であろうと思います。

 

■中心市街地の活性化は、市の固定資産税収入の減少を防ぐにも非常に重要と捉えています。

過去、中心市街地活性化計画を策定し、様々な取り組みをしてきましたが、現実の人口減少や空洞化は予想を上回る状況で進行中です。しかし市の税収等の面から見て、大きな割合を占める中心市街地の固定資産価値を下げることは、全市に影響することにも繋がります。よって、中心市街地の活性化は、その地域に関わる人だけで行うのではなく、全市体制で取り組むべきものと考えます。そこで現在も「岩見沢市まちなか活性化計画」を策定し、活性化に繋がる努力をしているところです。

 

雑ぱくにこれら3つの関連を考えただけでも中心市街地に新庁舎を!という声が出るのは当たり前のことと感じます。やはりそれぞれ個別の計画等との相乗効果を図ることは、将来に岩見沢にとって大いに価値のあることと考えます。

 

また、ここで補足をすると、先日公募された「岩見沢市新庁舎建設基本計画策定業務」において、市の各種計画との整合性を図ること。という項目がありますが、そこに明記されている各種計画とは、

ア 新岩見沢市総合計画
イ 新市建設計画
ウ 地域防災計画
エ 都市計画マスタープラン
オ その他委託者が指示する計画

と記載されています。是非、「その他委託者が指示する計画」の中に、上記3つの要素も入ってくると良いと思います。

 


さて、ここまで乱雑に色々と記載してきましたが、あらためてここで決断をしていくには、合併特例債の期限が最大のネックとなります。

現状で議論を深めるために工期を延ばし、50億円もの合併特例債の活用を見送ることは大きなリスクとなります。

しかし、今後最低50年以上、恐らく西暦2070年過ぎまで活躍するであろう市役所庁舎です。恐らく現在の鳩が丘で建て替えるのと、中心市街地に建て替えるのでは、岩見沢市街地の姿形にかなりの影響があるのではないかと感じます。その費用対効果とまちづくりデザインにおいて、”急ぐのが得か”、”じっくり議論するのが得か”は残念ながら、私には今ここで結論を導くことはできません。

その決断はどちらを取るのもリスクが発生し、尚かつ、長い年月が経たなければ正解がどちらかわからないと思われます。

 

ここは多くの市民の声を真摯に聴いていくことが重要で、それこそ私自身、議員としての大事な仕事であると認識します。少なくとも自分も現状で結論を導くことが出来ていません。限られた時間の中でどのような展開が考え得るか常に思案していきたいと思っています。

 

尚、この度の岩見沢市議会第19期の後期において、新たに庁舎建設特別委員会が発足しました。ここでも議論が可能になります。是非、身近な議員の方に皆様のご意見をお聞かせいただけると良いかと思います。

 


最後になりますが、現状で考え得る変化の可能性も少し触れておきたいと思います。

今の社会環境においては、これまで綴ってきたような内容が重視され、やはり中心市街地に市役所庁舎が移転することのメリットを感じます。しかし、現在のICTの急速な進化により、もしかしたら私たちが想像するよりもずっと早くに自動車の自動運転技術が一般化すると、公共交通の概念が一変し、例え庁舎がどの場所にあろうと、多少の時間の差はあるものの、問題なく家から市役所まで連れて行ってくれると思われます。また、ICT全般の急速な進化による市役所機能そのものの変化も考えられます。

現在のテレワークなどは、まだまだ行政機能には適さないところですが、これからはわかりません。もしかしたら現在窓口業務で行っていることも、自宅からこなせるようになれば、市民が窓口に行く必要もなくなります。更に進めば市役所職員が庁舎に行く必要性にすら疑問がでるかもしれません。

果たしてこの様な時代が来るのかどうか。来るとしたら何年後なのかを想像する術を持ち得ませんが、もし近い将来その様な事になるのであれば、現在議論していることすらあまり意味のないものになってしまい、結果として、コスト重視で合併特例債を活用して現在地に建設するのが最もメリットがある。という結論になるのかもしれません。

しかし、まだ当面はその様な時代は来ないであろう。来たとしても、初期の自動車発明期からしばらくは、超富裕層にしか所有できなかった如く、その技術の恩恵を享受できる財力が我々にはないのかもしれません。であるならば、やはり考え得る身近な未来までは、中心市街地の価値の確保と公共交通の利便性確保は高い優先度を持つものと考える。

では、それはどのような落としどころか?

市民向け窓口機能の分庁化など、様々に考えて行かなくてはならないと思いますが、やはり多様な意見を基にした集合知を導くことが重要なのだろうと思います。

23日(火)が締め切りですが、是非パブリックコメントでご意見を寄せて欲しいのと、我々誰でも良いので議員に思いを伝えていただければと思います。

 

この庁舎については、どうあることが正しいことか、私もしっかりと情報収集して意思を固めていきたいと考えています。

何とぞ宜しくお願い申し上げます。

 


 

◆今回(も?)どうにも文章がまとまりを失ってしまっています。非常に読みづらい、また誤字脱字等もあろうかと思いますが、お許し下さい。もう少し自分の中でこの新庁舎について整理できてくると記載する内容も変化してくると思いますが、いかんせん焦るばかりが実情です。前述にもある通り、議会でも庁舎建設特別委員会が発足しました。また、会派の中でも検討チームが構成されます。現状はあくまで私個人の上っ面の考えを雑ぱくに記載したものであり、今後、様々に議論していく中で変化してくる事があると思いますので、何とぞご容赦いただきたく存じます。

また、ご意見も賜れれば嬉しく思います。

ご意見はコメントでもメールでも構いませんので、お気軽にお寄せいただければ幸いです。

岩見沢市役所 庁舎建て替えについて(3)

サブテーマ:徒然検討(安全性、工期と決断について)

〈平成29年5月22日投稿〉

(2)より続く

すっかり更新が滞ってしまいましたが、パブリックコメントの期日も23日までということで、遅ればせながら【私感】を記載したいと思います。

この庁舎建設で、現在地から異なる場所へ移動するというのは賛否両論あり、他都市の例を見るまでもなく非常にデリケートで大変なことです。それだけ岩見沢市の規模では将来のまちの形に影響を与える大きなことだと考えています。よって提示検討資料の3箇所に関わらず、もう少し視野を広げて考えることも重要だと認識をしています。

それは場所に関しても現在提示の3箇所以外に、全く別の視点があっても良いということ。また機能に関しても分庁型にするなど、将来の岩見沢のまちづくりに与える影響を検討してみることが重要だと思っています。

そこでいくつかテーマごとに記載してみたいと思います。

まずは議会答弁でも最も重点をおいている「工期と安全性」についてです。

〈①安全性について〉

安全性に関しては、近年発生が懸念されている大地震の影響が考えられます。

検討資料の中でも現庁舎と他所2箇所での比較に関しての最大予想震度の記載がありますが、現在地は5強、中央小跡地6強、有明中央で6弱という予測がなされています。確かに現在地は粘土地で高台。地盤は非常にしっかりしています。しかし、新庁舎は現技術の免震構造で建設するからには、この差は基礎にかかる建設費以外においては、あまり建設地の比較評価に影響を与えないと想像します。

ここで気づくことは、「現在の庁舎は規程の耐震基準に達していないため、震度6強で倒壊する恐れがあり、万が一のことを考えると即急に建て替えを急がなければならない」という前提ですが、検討資料の数値を見ると、現在地での最大予想震度は5強とのこと。市内の大部分が震度6強の地震に襲われても、地盤のしっかりした現在地では倒壊の恐れのある震度までは至らない可能性があるとも解釈できるのかもしれません。とは言え、倒壊に至らずとも人の出入りが規制される被害を受ける可能性はありますので、万が一を考慮すると工期を優先するのはとても重要なことであると認識をしています。

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他には洪水などの想定があります。

岩見沢市洪水ハザードマップを参考にすれば、洪水の可能性があるところは避けるのは当然のことですが、周辺地域は浸水しても、緊急経路となる幹線道路と拠点となる庁舎敷地が浸水しない状況も想定されるならば、可能性としては大いに広がるのかもしれません。

これらを考慮すると、洪水による多大な影響や、直下に活断層など著しい要因を除き、万が一の災害発生時の緊急的諸要件(物資や車両等の一時スペースや交通確保等)を満たすとするならば、各関係官公庁等との連携を含め、岩見沢市内の常識的な範疇であることを大前提とすることで、安全性と建設場所との関係は、それほど大きな選定判断材料とは言えないのかもしれません。あくまで私感ですが。

 

〈②工期〉

合併特例債を活用することを考慮すると、平成33年3月末までに竣工しなければならないので、全く余裕の無いスケジュールとなります。(現在、新庁舎基本計画の公募プロポーザルも始まりました)

これが悩ましいところで、この財源を活用しようとすると、じっくり未来の岩見沢のあるべき姿を導くための深い検討を行えないことになります。

合併特例債は合併した自治体にだけ利用することができる有利な財源で、事業費の95%に充当することができ、そのうちの70%が交付税措置で戻ってくる起債です。

しかし、熊本の震災の影響もあり、現在は全国的に存在する”耐震基準に達していない庁舎の建て替え”に関し、「市町村役場機能緊急保全事業」が国で予算づけされています。

ただ残念なことに、この事業予算も本市が合併特例債を活用するのと全く同じ期間となってしまうため、新たな議論をする時間が取れません。しかし、他の自治体もこのタイトなスケジュールでは議論が煮詰まらず、結局間に合わないと判断して「市町村役場機能緊急保全事業予算」を活用できないところがあることも想像できます。

結果、国の事業予算の傾向として、多少内容がより良く修正されたりしながらも、新たな予算が採択される可能性もあるのかもしれないと想像します。

となると、多少大きな地震が発生しても現在の庁舎は持ちこたえる可能性が高いことを考慮すると、思い切って合併特例債を見送り、市民との議論を深め、新たな予算に期待をすることも選択肢として考えられるのかもしれません。

しかしこれらには大きな決断が必要となります。

例えば、今回合併特例債を見送り、もっと深い議論を進め、岩見沢の未来にとって最も良いと思われる選定を行っていこうとしたときに、万が一、大地震が発生し庁舎崩壊による事故が発生してしまう場合。また、合併特例債ではなく、新たな財源活用を期待したものの、国の判断で新たな予算執行がなされなかった場合などが考えられ、それらの高いリスクがあることを考慮していなくてはなりません。

もしこう悪い方向に展開してしまった時に、執行者が明確な責任を取るべき。という情勢になる様であれば、無難な選択を取らざるを得なくなると思われます。

当然、あらゆる決断には責任がつきものではありますが、多くの市民が「現在地が良い」という中で、民意の後押しなしで非常にリスクの高い決断をしたのであればやむを得ませんが、大半の市民が「これからの高齢・人口減少社会において、もっと交通の利便性の高いところや、中心市街地の価値を落とさないで、逆にまちづくりの効果を高めるところへ。」という要望が多い中で、良かれと判断することに関しては、やはり深い議論を行う余地があるのではないかと感じています。

と、、、

私も言うだけは簡単ですが、多くの民意がどうであるかを掴みきることも難しく、また現実に立ちはだかる大きなリスクを考慮すると、非常に悩ましいことであるのが事実です。

(4)に続く