〈平成29年12月20日投降〉
先程、『地域公共交通セミナー JR室蘭線を学ぼう!』に参加してきました。
これは平成28年11月の、JR北海道の単独維持困難線区の公表に伴い、岩見沢市・栗山町・由仁町の主催で行われ、地元の鉄路が現在、どのような状況にあるかを認識するための企画として実施されました。
最初は『JR室蘭線の現況』と題し、JR北海道常務取締役 田畑正信氏の講演。
民営化当初、6822億円の経営安定基金運用(年利7.3%)で赤字を穴埋めする計画だったものが、社会情勢が激変。尚且つ人口減少、高速道路網の整備等で収益が悪化。
結果として安全に必要な経費も切り詰めなければならない事態に陥り事故も発生。国土交通大臣より事業改善命令、事業監督命令という非常に厳しい処分を受けた。
この反省が今回の発表にも繋がっている。
JR北海道は安全の再生に努めていきたいと考えており、それには更に毎年の赤字が膨らむこととなってしまう。
【鉄道を運行する以上、安全かつ安定的に維持するためのコストと人出は削らない】と方針を定め、輸送密度が200人~2,000人未満の線区においては、鉄道を維持する仕組みについて、地域の皆様と相談を開始したいと考えている。
室蘭線の現状としては、元来が空知地区の石炭を室蘭に運ぶ路線。旅客では学生の移動が主体。貨物の輸送も岩見沢を通すのが1日に2本、石勝線からは6本。
現況で毎年12億円の赤字が発生。
また、各種設備の老朽化を考慮すると今後の設備投資として約30億円は必要。
現在は、少しでも利用促進を図るべく、一日散歩きっぷ、ご当地入場券、無人駅活用、ヘルシーウオーキング等を行っている。
JR北海道としては、なんとか室蘭線を残したい。しかしJR単独では無理。という判断であることが言われました。
次に『北海道における鉄道貨物輸送の現況』と題し、日本貨物鉄道㈱ 北海道支社総括次長 上川恒成氏の講演。
トラック輸送は運転手一人で約10tの運搬。鉄道は運転士1人で650tの長距離運搬が可能。また、tあたりのCo2排出はトラックの10分の1。
現在の貨物輸送状況は道内から道外へ247万トン、道外から道内へは236万トンとなっている。
岩見沢-追分経由は本州直通便であり、年間約21万トンが輸送されているとのこと。
その後、関連自治体で行った利用実態調査報告がありました。
この詳細は11月号の広報いわみざわに掲載されているので、その内容はこちらからダウンロード可能です。
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このセミナーに参加して、室蘭線のみで年間12億円の赤字となる見込みであり、また今後の設備投資も相当な額になることを再認識しました。
更に1日あたりの乗降客数、並びに利用者年代割合等々。
あらためてこれらの情報を目にすることで、益々自分自身の中でも答えを出すことが難しく感じます。
JR北海道の単独維持は非常に難しいと理解すると共に、では沿線自治体で何らかの手出しができるのかと言えば、それもかなり厳しい状況にあると認識しています。かと言って廃止が本当に未来のためになるのか。
この前投稿で記載した〈眼前ノ繰リ回シニ百年の計を忘ル勿レ〉の言葉を元に、今後どのような議論になってくるのかを含め、自分自身も判断材料を得られるように努力していこうと考えるところです。