岩見沢にインバウンドの中国人観光客が沢山訪れています。

〈令和7年1月27日投稿〉

今日は朝から札幌と江別で炭鉄港に関する2件の打ち合わせを済ませて岩見沢へトンボ返り。先日の投稿(実際はSNSでしたが)を見ていただいた某報道機関の方から連絡を頂き、少しだけ取材対応をしてきました。

前回のブログ投稿をした1月中旬頃は、中国の方々が増えてきているけどまだ珍しい状況でしたが、ここ数日はかなりの増え方!特に岩見沢中央公園は大勢の観光客の方々が雪の上で遊んでいる様子を見ることができます。

訪れる方々にとっては残念ながら、1月上旬の大雪を最後に岩見沢の降雪は落ち着いてしまってます。

更に街なかのアーケードの雪下ろしも済み、道路の排雪も完璧な状況下、岩見沢市民から見ると「雪が少なくて申し訳ない!」と思うものの、出会う観光客にインタビューしてみれば「美しい!」「すごい!」と言ってくれています。


今日の取材は岩見沢駅周辺の喫茶店でも!という提案を受けていましたが、その前に少し早めの昼食を取ろうと「カフェ ヘリングス(CAFE HERRINGS)」さんに入ったところ、すでに3組が座っていて、そのうち1グループが日本人。他の2グループが中国人という状況だったので、せっかくなので取材の場所もこちらにしていただきました。

どうやらヘリングスさんは中央公園にも近く、ちょっと休むのに良いようで、ここ1週間ぐらいは1日に6~8組の中国人の観光客が訪れるとのこと。他にも同様の状況が他店でも発生していることを聞いておりますし、多少なりとも厄介物の雪が経済効果を生んできたことがわかります。

どうして岩見沢に訪れるのか?というと、札幌の積雪が少ない中、中国版のInstagramと言われる「RED」で岩見沢の大雪が紹介されているらしく、札幌や美瑛、ニセコとは全然違う「レアな場所に行っている」という状況が人気を呼びつつあるようです。

なんともすごい時代になったものです。

色々と情報交換をしていると、市内でも各店舗にそこそこの数が訪れているようで、多少なりとも経済効果を生みつつある状況と認識しました。

これまで期待できなかった、岩見沢にもインバウンドを取り込める可能性が高まった今、まずはこの事象を冷静に俯瞰してみると、このような状況は恐らく12月下旬から3月の上旬までの実質3ヶ月弱程度と思われ、その短い期間で良い印象を抱いてもらうことが必須です。

岩見沢市全体に与えるプラス効果としては

■現在はなにもない中で、雪で喜び、そこで写真を撮ったり寝転んだりという状況ですが、ニーズに応えるコンテンツを生み出すことができれば、宿泊、飲食、アクティビティ、買い物等々の利用により、地域全体の収益が向上する可能性があります。

■地域ブランドの向上では、最初は「大雪のイメージ」が独り歩きしたとしても、「岩見沢」という好印象を抱いていただければ、今度はさらなる魅力がSNSで広がり、通年で人が訪れる可能性も高まります。

■農産物等の価値向上にもつながるかもしれません。年間7mもの降雪によって豊かにリセットされる土で育つ玉ねぎや米など、大雪がプラスになる連想はよりわかりやすいイメージ向上に繋がるかもしれません。

■通年で岩見沢市への経済効果が現れてくると、大なり小なり、新たな「投資(宿泊、各種サービス、商業、交通等々)」や「雇用機会」が拡大していくこととなります。

■公共交通の維持にも恩恵があると思います。札幌ー岩見沢間の鉄道やバス、また岩見沢市内やどこかへ、という公共交通の利用が増えれば、維持が難しい状況も多少の効果は出てくることが考えられます。

これら好循環は、今後人口減少や高齢化が進み、消滅可能性都市の一つとして位置づけられる岩見沢市にとっては、非常に重要な要素であることは言うまでもありません。放置すれば衰退する一方となる今後の岩見沢の厳しさはこちらも参考にご覧ください。


次に岩見沢に与えるマイナス効果は?

どんなことがあるか少し考えてみたいのですが、その前に美瑛やニセコのような大きな社会問題となるオーバーツーリズムにまでは至らないことを前提としたいと思います。

■現状では地元住民のストレスが懸念されます。例えば、私有地に入り込んで雪庇の写真を撮る。車道の真ん中に出て写真を撮る。などの情景も見られます。また、駅前のメタセコイア周辺もそうなっていますが、普段はきれいで落ち着いた雪原が、観光客の足跡でボコボコの姿になっている。これらは、今まで無かった事象であり、改めて目にする市民からするとストレスになる可能性が高いです。

■現状では雪を見に来ている都合上、屋根雪に魅力を感じて近づいた結果、落雪に巻き込まれる可能性もあり、また、車道で撮影をしている際も、雪上を走る車は急停止ができないなどの知識も足りず、事故に遭ってしまう可能性も危惧されます。先日も朝里駅で痛ましい鉄道事故がありましたが、同様の懸念は拭えません。

■札幌から岩見沢に来てから、猛吹雪等の天候急変により交通機関が止まってしまうことで、岩見沢に足止めされてしまった場合、どのようなことが起きるか心配が過ぎります。

■当市においては、突然降って湧いたようなインバウンドのため、現状で計画的な取組は存在しません。よって、地域の観光資源をどうブランディングしていくかは当然のことながら、見せ方もコントロールできていません。したがって観光客の流れが偏っていること、そして経済効果に波及する手前になってしまっていることが考えられます。これは今後、雪を見に来る観光客が当たり前の流れになるに従い、市民の不満につながる恐れがあると感じています。

■日本人も良い人ばかりではないように、観光客も千差万別の可能性があります。そうなると騒音やゴミ、地域住民とのトラブルや商業施設でのクレーマー行為など、様々にマイナス面が発生する可能性があります。

*他にも懸念すべきことや、心配なこと、対策をしなければならないことがあればコメント欄で教えて下さい。

これらプラスとマイナスを考慮して行けば、やはり今後の岩見沢にとって経済効果は喉から手が出るほど大事なことです。そのためにはマイナス効果を極力減らしていくことが必須で、地域住民と観光客が「共存共栄」となる政策が必要になってきます。

そのためにも

何か組織的な取組が必須だと感じています。

例えば、現時点で多少なりとも来客等につながっているお店等での情報交換。コミュニケーションを円滑にするために翻訳アプリは何が良いのか、外国語表記のメニューをつくるにはどうしたらよいかなど、基礎的なところの情報交換。また、事故やトラブルなどが発生しないように、現状でどのようなリスクが存在し、どう対策すべきかなどの意見集約。岩見沢における基本的なマナーやルールを知ってもらい、理解してもらうための取組など、来季のために今から準備しておくことが多々あるかと思います。

もちろん、来年は札幌が大雪で岩見沢が小雪などの事象が発生すれば、この流れはピタッと止まってしまうのかもしれませんが、今季、ここまでのムーブメントになっていることから考えると、この流れを見ない振りをするのは良くないと感じています。

人間の本能として

「人間はつねに、自分に理解できない事柄はなんでも否定したがるものである。」

というブレーズ・パスカルの言葉のとおり、得体のしれないものは否定するのが人間の脳の標準機能になっています。

しかし、岩見沢に訪れている中国人の方々に、翻訳ソフトを使って話しかけると、みんなとても柔和でフレンドリーな方が多いです。今日もヘリングスの帰り際、20代と思われる二人組に話しかけ、「中国のどこから来たのですか?」と聞いたら、「チンタオ!」と答えてくれ、「チンタオはサウス?」とカタコトの英語で聞けば「イースト!」と答えてくれます。「岩見沢の雪は今はとても少ない。ぜひもっと雪の多い時にまた来てね」と翻訳ソフトで伝えると、「岩見沢の雪はすごいキレイです!」と喜んでくれ、バイバイ!と手を降ると、笑顔で返してくれる。

私の場合はこんなやり取りで1円の収入にもならず、純粋に喜んでくれる観光客とコミュニケーションを取って、なんとなく気分が良くなるだけですが、商いを行っている人であれば、これは大きなチャンスでもあります。

岩見沢は「大雪」からの予期せぬ観光客増ですが、みんなで魅力を磨いて、通年で素敵なコミュニケーションと経済効果が発揮できるような取組に昇華していけたら良いなと考えています。


ちなみに、以前「そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター」に来てくれた若い三人組に「炭鉄港」の中国語パンフレットを渡したところ、興味なさそうに棚に戻されてしまいました。

こちらのハードルもまだまだこれからです!

「岩見沢にインバウンドの中国人観光客が沢山訪れています。」への4件のフィードバック

  1. いつも陰ながらいつも応援しております。
    中国人観光客の件、私も認識しておりました。が、耳に入ってくるのは道路の真ん中で家族写真を撮影している、道路の雪山に上っていて危ない等々…日本では当たり前に気を付けていることに対して、そうではない現実を嘆いている人達が多々おりました。
    これもオーバーツーリズムによる各地の報道を目にし、拒絶しつつあるのかなと感じています。
    そもそも日本人が旅行しようと考えても高騰しすぎて行こうにも躊躇してしまうようになっていますもんね・・・
    国内外問わずこの大雪をどうポジティブな形で発信できるか、どう転換していくかポイントになってきますね。

    1. 匿名さま

      コメントありがとうござます!
      どうしても人間は理解できないものは拒絶する本能があるので、幕末の攘夷論のようになってしまいがちです。でも、黙ってると衰退一方の地域なるのは明確なので、ポジティブにしたたかに、お互いにメリットが有る気持ちの良い付き合いができれば良いと思うのです。その仕組づくりが大変ですが!

  2. こんにちは。
    この記事をXに共有させて頂きました。
    せっかくの大雪がもたらした外国人観光客の方々が岩見沢市の賑わいに復活に繋っていけばと良いと思っています。
    これからも積極的な取り組みをお願いします。

    1. キコリンさん

      ありがとうございます。
      深刻なオーバーツーリズムによる弊害がでるのは避けなければなりませんが、適度に地域活性化につながる取り組みを進めていけたらと考えています。どうぞ引き続き宜しくお願いいたします。

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