〈令和2年3月8日投稿〉
昨日、同様の投稿をfacebookにしたのですが、メモ代わりにこちらにも投稿します。
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感染力が強烈で、感染した多くの人が死に至る。運よく生き残っても著しいアバタが残ってしまい、これまで通りの生活が難しくなる恐怖の疫病、天然痘。
江戸時代の薬は牛の糞を乾燥させたものを煎じて飲むこと。しかし、当然の事ながら何ら根拠はなく効果もなし。人々はただただ逃げ惑い、神仏に祈るのみ。
西洋では、人間だけでなく牛も天然痘にかかり、しかしそれは死に至るほどのものではないことに注目。その牛痘を採取し人の皮膚に種痘することで決定的な成果を上げる。
しかしながら、鎖国期の日本においては一般的な漢方医の勢力が強く、蘭方はなかなか認められない。それどころか、既得権益を守るため強い妨害の動きすら出てくる。
その様な逆境の中において、強い使命感をもって幕府に種痘の必要性を認めさせ、命をかけて庶民への普及に向けて立ち向かう町医者の生涯を描く「雪の花(吉村昭著)」
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あらためて役人の保身的行動。今で言う官僚達の行動の愚かさが切ない。もちろん世情を敏感に察知し正当な取り組みを評価して引き立てる人もいる。
日本人は今も昔も変わらず、素晴らしい人もいれば保身に走る人もいる。利他的に身を投じる人もいれば、全ての判断を自己に誘う卑しい人もいる。
あらためて自分はどうあるべきか。
これらとは比べようもない小さなスケールの中にいる自分ではありますが、そんな矜持は持ち続けたいと思うばかりです。