令和6年第4回定例会(12月議会)一般質問について

〈令和6年12月5日投稿〉

12月2日(月)から開会している定例会において、一般質問を行います。

私の登壇予定は12月9日(月)13時から開会する議会の4番目となる予定です。時間は恐らく15時前後になるのかな?と予想しています。

他の議員の通告内容はこちらからどうぞ
https://www.city.iwamizawa.hokkaido.jp/soshiki/gikai_jimukyoku/iwamizawashigikai/1/12623.html

今回の私の質問通告は以下のようにしました。

大きく1項目で「人口減少社会への対応」を軸として、3つの項目8件の質問で構成しています。


【一般質問通告】

1 人口減少社会への対応について
(1) 各種計画の基軸となる「地域の未来予測」を示す意義について
① 各種計画の長期的な基軸となる「地域の未来予測」の整理と見える化について
(2) DXの推進について
① スマート・デジタル自治体の推進において重要な、人材の育成や確保について
② シニア世代対象のスマホ教室などの効果と評価について
③ シニア世代のデジタルデバイド克服に向けた今後の取組について
(3) 不良空き家に関する懸念について
① 市内に存在する管理不全な空き家の軒数について
② 相続放棄を含めた相続人不在空き家の軒数について
③ 不良空き家等において所有者と連絡が取れない場合の措置について
④ 相続放棄物件等が周辺に影響を及ぼす場合の市の対応について

となり、以下に読み原稿を記載します。


1,人口減少社会への対応について

今後、日本全国において、著しい人口減少が進むことが避けられない状況下、この岩見沢市を持続可能な地域とするために、少し大きな枠組みになってしまうところもありますが、問題提起と情報共有の意も含めながら少し質問をさせていただきます。

まずは岩見沢市の現状認識ですが、平成28年に策定された人口ビジョンの中に、《人口の長期見通し(将来展望)》として、合計特殊出生率を2025 年に1.4、2035 年に1.6、2045 年に市民の「希望出生率」である1.8、2065年に人口置換水準とされる2.07 を達成することを目指す。という記載があります。

岩見沢市はこれまで切れ目のない、手厚い子育て支援等の体制整備に努力をし、評価すべき実績を残していると考えています。しかしその様な中においても社会環境や個々の意識、価値観はそう大きく変化することはなく、近年の合計特殊出生率もかなり低い水準のままであると認識しています。

平成28年に掲げた岩見沢市人口ビジョンでは、今から1年後の2025年の総人口推計を77,570人としていましたが、令和2年改訂版では約3,000人の下方修正を行い、2025年の人口は74,318人と推計をされています。しかしその想定の1年前となる今現在、2024年10月末での実際の人口が74,439人と、すでに1年後に起こるべき推計値とほぼ同一であり、岩見沢市人口ビジョン推計との乖離が生じはじめています。このままでいくと来年2025年は、恐らく国立社会保障人口問題研究所の推計結果73,202人にかなり近い値になることが想像できます。

改めて、社人研の推計が正しい。と考えていくと、今からたった6年後の2030年には岩見沢市の人口は6万7千人台、11年後の2035年には6万1千人台、16年後の2040年で5万6千人台、21年後の2045年で5万人台、現在からわずか26年後の2050年で4万5千人台と、現在と比較し、人口は約4割減となり、尚且つ高齢化率は2025年の39.3%に対し、2050年は49.1%と非常に高い状況になることが推察されています。

その中でも特に深刻なのが年齢構造であり、“最も働き、最もお金を稼ぐ世代”と言える「生産年齢人口」を見ると、2025年で推計約3万8千人ながら、2050年には約2万人とほぼ半数近くまで減ってしまうことになります。しかし65歳以上人口は2万9千人から2万2千人へと約2割程度の減少となることが予想される事から、今後はじわじわと働き手不足が加速し、あらゆるサービスが機能しなくなる「労働供給制約社会」が顕在化してくると共に、社会保障費等の増加、歳入の減少による財政の悪化で自治体運営も更に難しさが増していくのは間違いありません。

そこで〈(1)各種計画の基軸となる「地域の未来予測」を示す意義について〉をお伺いいたします。                 

我々の生活と密接に関連する経済状況を予測する時、あらゆる変数が複雑に絡み合い、簡単に予測が出来るものではありません。しかし、様々な経済指標の中で最も高い精度で予測可能であり、最も大きい影響を与える変数が人口であると言われています。よって人口動態は私たちの暮らしに非常に多くの影響を与えるものとなります。

しかしながら、実際に今から僅か26年後の2050年になった時に、どの様な社会、どのような岩見沢市になっているのかを正確に思い描くことは難しいことです。数値的には総人口は今より約4割減っていて、生産年齢人口は現在のほぼ半数近く、そして高齢化率は49%を超えてくる。しかし、多くの市民の皆様にとっては、この数字だけを見てもイメージが思い浮かばないことが多いかと思います。しかし行政運営においてはそうは言っておられず、やはり今後、厳しい状況となるのが明確であるからには、粛々と対応をしていかなくてはなりません。

そこで改めて、現在の岩見沢市の各種計画を確認してみれば、昨年、計画の開始から5年目で中間検証を行った、市の最上位計画である「第6期岩見沢市総合計画」は、平成30年から令和9年までの“10年間”の期間の計画を定めたものであり、人口ビジョン(改訂版)は令和2年から令和6年までの“4年間”、総合戦略は令和6年から令和9年までの“3年の期間”となります。これら市に存在する多様な各種計画においては、例えば岩見沢市公共施設等総合管理計画などは、その試算において令和42年、すなわち2060年までを見据えていたり、それぞれの中で長期推計を行っているものもありますが、基本的には長くても10年以内の計画期間内を想定したものとなろうかと思います。これまでの人口微増や停滞期であればそのスパンでも問題なかったと言えますが、今後、人口減少が更に加速するフェーズにおいては、高齢者数がピークを迎える2040年や、そこからもう一歩先の2050年頃の岩見沢市の各種状況予測、例えば各種行政サービスはどの程度維持が困難になるのか、公共交通や病院経営はどうなるのか、労働者不足はどれほど深刻なものとなるのか、空き家や空き地はどうか、学校の配置、公共施設やインフラの老朽化、また、市の財政状況はどうなっているか等々、様々な要素においてその時々の姿を予測し、見える化することで、それらを市民の皆さんと共有しながら、その予測の軸に基づいて、各種計画を沿わせていくことが重要ではないかと考えます。

ただこの様な予測は、非常に難しいものであると認識していますが、総務省の第32次地方制度調査会「2040年頃から逆算し顕在化する諸課題に対応するために必要な地方行政体制のあり方等に関する答申」においても「地域の未来予測」の整理等の重要性が指摘をされ、その後開催された、総務省の「地域の未来予測に関する検討ワーキンググループ報告書」においても、「各市町村において、将来、具体的にどのような資源制約が見込まれるのか、その行政需要や経営資源に関する長期的な変化の見通しを、客観的なデータを基にして「地域の未来予測」として整理し、首長や議会、住民等の地域社会を支える主体がともに資源制約の下で何が可能なのか、どのような未来を実現したいのかの議論を重ね、ビジョンを共有していくことが重要となる」という考え方が示されています。

未来の厳しい状況を極力見える化し、その解決に向けたロードマップを策定していく。これは、いわば岩見沢市政でも良く使われるバックキャスティングによるものと言えると思いますが、市民の皆様と将来イメージを共有しながら、我慢すべきことは納得の上で我慢するなどしつつ、明るい希望豊かな日々を送るべく、時代に合わせた柔軟な変化を進めるためにも、わかりやすい各種計画の根拠となり、長期的な基軸となりうる「地域の未来予測」の整理と見える化が重要と考えますが、市長の考え方をお聞かせ下さい。


次に〈(2)DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進について〉お伺いいたします

深刻な未来予測の中でも、課題解決に至る大きな要素のひとつがDXであると認識しています。従来の技術や慣習を前提とした行政体制を変革し、住民が迅速かつ正確で効率的な行政サービスを享受するためにも不可欠な要素であり、さらには、住民、企業等の様々な主体にとって利便性が向上するとともに、公共私の連携や地方公共団体の広域連携による、知識・情報の共有や課題解決の可能性が広がるなど、組織や地域の枠を越えたイノベーション創出の基盤となることが考えられます。さらにこうした連携が、デジタル化の効果を一層高める、といった好循環の形成も期待をされます。

しかし、地方行政のデジタル化を実現するためには、国・地方に共通する基盤の活用、情報システム等を効率的・効果的に整備するシステム面での対応や、専門人材の確保を含めた人材面での対応が必要となることから、スマート・デジタル自治体を推進する岩見沢市として、今後どのように人材の育成、確保を進めていこうとされているか考えをお聞かせ下さい。

また、DXの推進で多様な課題が解決する可能性がありますが、留意しなければならないのは種々デジタルデバイドの克服です。岩見沢市の場合は光ファイバーが普及し、インフラとしての格差は解消されていると認識していますが、あとは経済格差や高齢者等のデジタルリテラシーの課題等が挙げられると思います。

今後、行政と市民が互いにDXの恩恵を享受するには、市民それぞれが極力格差なく平等に機会を得ることが必要ですが、経済的な格差はもちろん、より難易度が高いのが、日頃インターネット等に縁のない高齢者の方々に、どうやってスマホなどのデジタル機器に慣れ親しんでもらえるかが重要な鍵になるのだろうと思います。

NTTドコモ系列のモバイル社会研究所が、本年8月に発表した調査によると60代の約4割、70代約6割、80代約7割がスマホを使いこなせていないと実感しているという結果がありました。岩見沢市においてもシニア世代を対象としたスマホ使い方教室などが開催されていますが、その効果と評価についてお聞かせください。

また、スマホの使いすぎに起因するスマホ認知症が社会懸念になっている反面、日本医療・健康情報研究所の情報から抜粋をすると、アリゾナ州立大学の研究チームが68~91歳の高齢者14人を対象に、パソコンの活用が認知能力にどのように影響するかを調査し、インターネットでのSNSの利用経験がほとんどなかった人々に、フェイスブックの使い方をレクチャーし、グループ内でSNS上の「友人たち」を作るよう指示し、1日1回以上の投稿をするように依頼。8週間後に認知能力を調べるテストを行ったところ、認知能力が25%も改善したという結果が出たそうです。アリゾナ州立大学のジャネル ヴォルトマン氏によれば、「SNSで作成したコンテンツは不特定多数の他人に読まれ、他人の発信した情報も見ることもでき、双方向的な交流ができる。こうした作業により認知力、記憶力、観察力、注意力が鍛えられ、脳のトレーニングになる」と説明できるそうです。

このように、シニア層の大きな懸念の一つである認知症についても、SNSを通じて不特定多数と双方向的な交流をすることで緩和・改善できる可能性があり、近々の高齢社会におけるデジタルデバイドの克服は、健康福祉に寄与する可能性も示唆します。よって、より活発にシニア層がデジタル技術を取り入れるために、「楽しさ」や「便利さ」を感じられる場を提供し、身近なサポート体制を整えることが鍵となってくると思われます。あらためて岩見沢市としてスマート・デジタル自治体を推進していくにあたり、シニア世代がデジタルに親しむことができる支援等の、さらなる取り組みが必要かと思いますが、どのように考えておられるかお聞かせください。 


次に〈(3)不良空き家に関する懸念について〉お伺いいたします。

人口減少社会における大きな懸念の一つが、不良空き家等の増加です。相続によって発生する空き家が話題になりつつあり、中でも「相続放棄」という言葉を良く耳にするようになってきたと感じています。「相続放棄」は、亡くなった方の“資産などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も全て引き継がない”と決める手続きですが、今年の報道でも、2022年度の相続放棄件数が、過去最高の26万件を超えたという情報がありました。理由としては被相続人の借金を引き継ぎたくない、疎遠な親族との関わりを避けたいなどの傾向があるようです。そこで大きな社会問題になっているのが、親などの住んでいた老朽化した不動産価値の低い家屋を相続することに対し、毎年の固定資産税の支払い、各種管理や修繕等の費用も発生するため、必要のない家屋を含む全ての遺産を相続放棄することで負担を避ける意思が働くこと。これらは裁判所への申し立て手続きにより、債務の清算(固定資産税なども含む)を行い、財産管理人への報酬が支払われた後、最終的には国庫に納められるという流れになると把握しています。

ただ、2023年3月末までは、民法940条によって「相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない」とあり、例えば家屋を含む遺産の相続を放棄したとしても、次の順位の相続人や相続財産管理人へ管理権を引き継ぐまでは、その当人に管理責任があるという状況が保たれていましたが、2023年4月1日の改正において「相続放棄の際に属する財産を現に占有している人にのみ保存義務が生じる」とされました。

この改正により、例えば、遠方に住んでいる子が、親が住んでいた実家の相続放棄をした際には、現に占有の実態がなければ、保存義務が生じないという解釈となる可能性が高く、現状の社会情勢を鑑みると、このような実家等の相続放棄が増加していく傾向が想像されます。また、その様なケースのみならず、法廷相続人がいない単身の方の持ち家だった空き家なども同様に社会問題となってくると思われます。

それらの空き家の周辺環境の悪化、安全確保の管理等は直接的には岩見沢市が目を光らせなければならないことから、今後の推移に懸念が募るところです。

そこでお伺いいたしますが、現在、岩見沢市内において管理不全な空き家が何軒存在するか。その中で相続放棄を含めた相続人不存在の空き家は存在するのでしょうか。あればその種別(一般住宅・商業施設/住宅地・中心市街地等々)と件数を教えて下さい。

存在する空き家が、著しい景観の悪化や、近隣に危害を及ぼす可能性が生じた場合、岩見沢市空家等対策計画では、所有者等に対し指導・助言を行うことで改善を図っていきますが、どうしても所有者と連絡が取れない場合の措置はどのようになっているか。また、相続放棄物件や相続人不存在の空き家の場合、岩見沢市としてどのような対応を取ることになるかお聞かせ下さい。

以上、一般質問といたします


今回の議会ではこのような質問を準備しました。

冒頭の「地域の未来予測」は、精度はどうであれ、やはり一定の見通しがなければ肥大化した行政サービスを的確に縮小していくことは難しく、市民納得の上で今後の行政サービスのあり様を考えていく社会に変えていかなくてはならないと感じています。よって、今後の社会は「市民満足度」の前に「市民納得度」が必須であると信じています。

現代を生きる私たちが、これまで誰も実体験していない強烈な人口減少社会は、かなり難しい舵取りが必要になります。そこに目をつぶり、今まで通りを続けるとどのようになるか・・。

そんな見える化をして、将来世代に幸福の器となりうる岩見沢市を手渡して行けたらと考えています。

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