令和5年第1回定例会_代表質問議事録転載

〈令和6年1月6日投稿〉

令和5年第1回定例会(3月議会)において、会派を代表して質問をさせていただきました。

その議事録を紹介し忘れておりますので、改めて投稿いたします。

*代表質問とは新年度における市長の市政方針演説や教育長の教育行政方針演説を受けて、それに対して会派を代表して実施する質問となります。よって一般質問とは異なり、行政全体の広い範囲を網羅することとなります。ぜひ御覧ください。

動画はこちらからご覧いだけます。


◆議員(平野義文君) 〔登壇〕 市民クラブの平野でございます。会派を代表し、質問をさせていただきます。

まずは、令和5年度の予算編成に伴う基本的な考え方についてお伺いをいたします。
内閣府の令和5年度予算編成基本方針を引用すれば、「我が国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進みつつある中、緩やかな持ち直しが続いている。その一方で、ロシアによるウクライナ侵略を背景とした国際的な原材料価格の上昇や円安の影響等によるエネルギー・食料価格の高騰、欧米各国の金融引締めによる世界的な景気後退懸念など、我が国経済を取り巻く環境には厳しさが増している」とされています。

また、人口減少、少子高齢化の進行は加速度が高まり、山積する各地域課題に対し懸念が募るところですが、岩見沢市においても令和5年度は、選択と集中の視点に立ち、必要な事務事業の新設、既存事業の再構築を行ったとのこと。結果として、一般会計の総額は前年度比3.7%減の466億円。特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額は890億5,300万円の前年度比1.6%減となっています。また、財政調整基金からの繰入れも9億8,000万円とされております。市長の所信表明の中でも、持続可能で自立した行財政基盤の確立に十分留意するとともに、必要な施策全般にバランスよく予算を配分することができたと述べられており、そこに至るまでには大変な苦労があったものと推察をいたしますが、改めて令和5年度予算を組むに当たり、特にどのような考えを持って取りまとめられたかお伺いをいたします。

次に、行政改革大綱についてお伺いをいたします。
昭和61年の第1次岩見沢市行政改革大綱の策定から、現在は第4次行政改革大綱が進行をしております。この第4次からは、それまでの管理型の行政運営から市民の満足度を高める経営型行政運営に転換し、中長期財政計画や職員定員管理計画などの個別計画も策定をされていると認識しております。現在は、今後のより厳しい行財政運営が想定をされる中、持続可能な財政運営と満足度の高い行政サービスの実現に向け、次期行政改革大綱に係るパブリックコメントが実施をされているところですが、改めて、これまでの10年の総括、そして次期行政改革大綱を策定するに当たり、市長が特に留意した点などをお聞かせください。

また、個別計画として平成25年に策定された中長期財政計画では、当初10年間で130億円の収支不足に陥るとされ、大きな危機感を共有したと記憶しております。結果として、令和3年度の地方債残高は平成24年度比で144億円増の639億円、基金積立金は平成24年度比で7億円の減となる137億円となったものの、健全化指標には大きな影響はなく、当初130億円と見込まれた収支不足も15億円まで圧縮し、115億円もの収支改善を達成したということになり、大変な成果であると認識をしています。この成果についての市長の見解をお聞かせください。

新たな中長期財政計画素案では、令和5年度から14年度までの10年間で、新たに122億円の収支不足に陥ると試算されている状況です。今後のさらなる改善については、財源確保と歳出の削減に尽きるわけでありますが、その対応についての市長の考え方をお聞かせください。

また、現在計画が進行中の新病院については、約344億円の概算事業費が提示されており、昨年10月に開催された新病院建設特別委員会において、開院10年目までの令和10年から令和19年までの事業収支シミュレーションが提示をされました。当該期間においては比較的良好な分析がなされている状況でありましたが、改めて本中長期財政計画においては、一般会計から病院事業会計への繰出金が考慮されているものと思われますが、その状況についてお伺いをいたします。

また、行政改革大綱の個別計画として、職員定員管理計画も掲げられております。近年は地方公務員のブラック化がニュースになるなど、職員1人当たりが担う仕事において、質、量ともにその役割が増えてきていると考えています。また、近年はコロナ禍もあり、さらに大変な思いをして仕事を遂行されてきた職員も多いと思われ、改めて敬意を表したいと思います。現在、職員定員管理計画も令和5年度から14年度までの次期計画素案が示されている状況ですが、それを見ると、職員の年齢構成等に今後の日本社会の姿が映し出されております。また、人口が減る一方で、行政に求められるサービスは減ることはないと考えると、業務分担等の仕組みづくりがより加速するものと思われます。現在においても、岩見沢市の行政に携わる方々は、正規職員や再任用職員のみならず、会計年度任用職員や派遣職員など多岐にわたると思いますが、近年の会計年度任用職員や派遣職員の推移について、どのようになっているかお聞かせください。また、今後の傾向について、どのように考えるかお聞かせください。

次に、新型コロナウイルス感染症についてお伺いをいたします。
2019年12月、中国で初めての感染者が確認をされ、翌2020年1月30日、WHOが国際的な緊急事態宣言を行いました。国内においても当感染症により命を落とされた方、今なお後遺症に苦しんでいる方がいらっしゃることを認識し、改めてお見舞い申し上げたいと存じます。

それから約3年間にわたり社会に強い影響を及ぼし続けた新型コロナウイルス感染症ですが、いよいよ本年5月から季節性インフルエンザと同じ5類へと感染症法上の位置づけを引き下げることが決定いたしました。誰もが待ち望んだ長く続いた我慢のときが終わろうとしています。現在はその過渡期として、徐々に日常を取り戻すかのように社会全体の動きが活発になってきておりますが、この間、地域は様々に疲弊、変化をいたしました。しかし、国や市としても、子供たちの学びを止めないための学習環境整備事業や、感染防止に向けたワクチン接種対策事業、テレワーク等の推進による新たな雇用環境を創出するICT活用型総合戦略推進事業等を実施。地域経済対策や生活支援などの各種支援事業等々、莫大な費用を投入しての対策が実施をされました。もちろん、それらが全て万全であったかというと、これまでに誰も経験したことのない事象ゆえ、明確な正解を導き出すことは困難であると思いますが、多岐にわたる数多くの業務を遂行された市職員の皆様の努力には本当に頭が下がる思いであり、そのおかげで窮地を救われた方も多くいらっしゃることと思っています。つきましては、この3年間の新型コロナウイルス感染症対策をどのように総括されるか、改めてお聞かせいただければと思います。

新型コロナウイルス感染症の影響は、地域経済の疲弊のみならず、様々な社会的変化をもたらしたと認識しております。先日開催された総合戦略特別委員会で提示された近年の出生数や合計特出生率を見ると、2021年以降、急速に落ち込み、合計特殊出生率は2021年で1.06、2022年は岩見沢市の独自調査値ではありますが、0.99と1を下回る衝撃的な値となっていました。内閣府の少子化社会対策白書を見ても、日本の場合は婚姻と出生は大きく相関すると認識をしているため、改めて岩見沢市における婚姻数の推移を尋ねてみたところ、2018年から2020年までは年間270件前後の婚姻数であったものが、コロナ禍となった2021年には約70件減の203件、2022年も206件と大きく落ち込んだことが分かります。これは結婚を望む世代にとっても、新型コロナウイルス感染症が非常に大きな影響を与えたと言ってよいと思います。そのように、あらゆる分野にわたって多様な影響が生じてしまっておりますが、いよいよ5月8日から感染症法上の位置づけが2類から5類へと引き下げられることに伴い、様々な活動が活発化し、人流や経済活動、これまで疎遠になりがちだった交流等も戻ってくることと思われますが、改めて市として、どのような取組を進めようと考えておられるかお聞かせください。

次に、デジタル技術の活用推進について、お伺いをいたします。
令和5年度予算案の重点分野として、AI、IoT、ビッグデータなどのデジタル技術の活用による人々の生活をよりよいものへと変革させるデジタルトランスフォーメーション、DXと、2050年カーボンニュートラルや温室効果ガス排出削減目標に向けた取組を進めながら、産業構造や社会経済を変革し、成長につなげるグリーントランスフォーメーション、GXの両輪で取り組むことで、課題解決や持続可能なまちづくりへとつながるとの記載がなされております。近年、特にAIの進化もすさまじく、昨年11月に発表されたChatGPTは、まだ不正確な情報も混在するものの、一般的な事象に関しては、日本語の入力でもかなり高度なやり取りができ、この進化が続けば、ごく近い将来、行政窓口を含め、あらゆる物事にAIチャットボットなどが普及することが容易に想像できます。これらの進化は、よくも悪くも職員定員管理計画や市中の雇用環境に影響を及ぼしていくものと思われますが、やはり今後の担い手不足等の地域課題を解決する大きな武器の一つになってくると感じています。そこで、デジタル技術の活用推進について、幾つか質問をいたします。

現在、非常に好評な書かない窓口についてですが、利便性や利用者の評価についてはこれまでも伺っており、十二分にその効果を発揮していると認識をしております。今後は機能の拡張を図るほか、電子申請なども進めていくとのこと。ますます利便性の向上が高まると期待をするところですが、改めて、コストや業務面での効果についてお伺いをいたします。実際に、書かない窓口をベースとしたシステムが稼働したことにより、これまでと比較して当該業務に関わる職員の数に変化はあるのでしょうか。また、今後、拡張機能及び電子申請が進めば、人材の有効活用、業務効率化等においてどのような利点があるか、また、利用される市民にとってどのような効果が期待されるかお聞かせください。

近年、ビッグデータという言葉が一般化して久しい状況です。これはDXを推進していく上ではなくてはならない要素の一つであると認識をしております。行政においては日々の業務の中で接する多様で大量のデジタルデータの蓄積と捉えられると思いますが、岩見沢市においても、今年度の予算資料にて幾つかの項目でビッグデータという文字を目にいたします。そこでお伺いをいたしますが、現在このビッグデータの活用に向けて、どのような取組がなされているかお聞かせください。

また、ビッグデータは、国や地方公共団体が提供することでオープンデータと分類されることになると認識をしております。国の定義によれば、営利目的、非営利目的を問わず二次利用可能なルールが適用されたもの、機械判読に適したもの、無償で利用できるものということになり、現在の岩見沢市においても、AEDの設置箇所一覧、指定緊急避難場所の一覧、地域・年齢別人口、また、オープンデータ一覧の4つのデータがホームページで公開をされています。既に多くの自治体で取組が進められており、政令指定都市である札幌市のオープンデータでは、ほんの一例を申し上げると、インバウンド観光客の取り込み状況や地下空間の通行量、地下鉄人流等々、多岐にわたる内容で、なおかつ、それらのオープンデータを活用した事例では、朝起きたときにスマートスピーカーのアレクサが今日のごみの日の種類なども教えてくれるといった設定も可能で、いよいよ新しい時代がやってきていると感慨深いものがあります。

さすがに岩見沢市において、どこまでオープンデータの活用がなされるか、また、そのデータを使って誰が何をつくるのかというと簡単ではないのが実態ではありますが、市民の生活に関わるものや商業的なデータ、健康に関すること、まちづくりに関するもの、防災に関することなど、種々需要もあろうかと思いますし、官民協働で新たな活用ニーズを掘り起こすことも可能かと想像いたします。恐らく市長としても、今後のオープンデータの充実、発展、活用を進めていくビジョンがあろうかと思います。そのイメージをお聞かせいただければと思います。

次に、ゼロカーボンに向けた取組についてお伺いをいたします。
市政方針でも触れられていたグリーントランスフォーメーション、GXについて、重点分野の5点目、自然と調和した快適で暮らしやすいまちづくりにおいて、環境省が定めた2050年ゼロカーボンシティを目指すことを表明するとありました。その意思に強く賛同するとともに敬意を表します。

このGXは、環境省によると脱炭素を日本の成長エンジンへと転換していくこととし、いわゆる脱炭素で内需を拡大していく、また、今後10年間で官民協調150兆円の脱炭素投資を目指すなど、国を挙げて取り組んでいくことを明記しています。国の地域脱炭素ロードマップのイメージでは、2020年から2025年までの5年間の集中期間に政策を総動員し、少なくとも100か所の脱炭素先行地域を支援し、自家消費型太陽光、省エネ住宅、電動車等々の重点対策を全国で実施、2030年では日本全国で脱炭素ドミノを起こし、2050年を待たずに脱炭素で強靱な活力ある地域社会を全国で実現すると描かれております。そこで市長にお伺いをいたしますが、このGXについて、岩見沢市でも温泉付随ガスや太陽光をエネルギーに、マルチ燃料発電機から得た電力によってEV自動運転バス等の実証実験も始まっておりますが、改めて今後どのようなアプローチでGXの取組を推進していこうと考えておられるか、お聞かせください。

また、再生可能エネルギーの新たな取組として、昨年の12月から青森市で実証実験が始まった雪発電があります。これは温度差発電技術と呼ばれるもので、もともとは株式会社商船三井が海の表面と深層の温度差を利用する海洋温度差発電の技術が基になっているとのことで、生じる温度差で冷媒に対流を起こし、その回転力で発電できるシステムとなります。経済産業省の試算によれば、2030年時点では洋上風力発電や石油火力発電より安くなるとのことでした。実際の雪発電では現状の技術では気温差が20度以上なければ発電できないとのことから、まだまだ実用化には課題が多いと認識をしていますが、豪雪地帯の岩見沢にとっては厄介者の雪が再生可能エネルギーに化ける可能性があり、今後大いに期待の持てる明るいニュースでありました。

さて、当岩見沢市において、現在取り組まれている再生エネルギーとしては、太陽光発電が一般的かと思います。しかしながら、太陽光発電には全国で地域トラブルが発生しやすい傾向があります。例えば、自然環境や住宅街での景観、森林開発等による自然災害発生の懸念、電磁波や反射光等生活環境への影響等々、多岐にわたります。実際、私の家から比較的近いところでも、住宅に囲まれた僅か3宅地分ぐらいの空き地に突如太陽光発電が設置をされ、トラブルにこそなってはおりませんが、景観が一変した事例もあります。これらの件については、岩見沢市議会としても令和元年第3回定例会において太陽光発電の適切な導入に向けた制度設計と運用を求める意見書を議決し、経済産業大臣並びに環境大臣へと提出をさせていただいた経緯がありますが、やはり今後のDX推進の動きや投資効果等を考慮すると、太陽光のみならず、各種再生エネルギーに対応する調和・規制を目的とした条例の検討も必要ではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

次に、住宅施策についてお伺いをいたします。
2月6日に発生したトルコ・シリア地震では、依然行方不明者も多い中、死者は5万人を超える事態となっております。改めて被災された方々にお見舞いを申し上げる所存です。また、先月25日には釧路沖でマグニチュード6.1の地震が発生し、幸い大きな被害は出なかった模様ですが、改めて地震の発生に懸念が募るところでもあります。


現在の国内の新築住宅においては耐震基準も確保され、一般的な考え方であれば想定範囲の地震で倒壊するおそれはないことは承知をしております。しかし、豪雪地域である岩見沢市において、冬期間に大きな地震が発生した場合、住宅の屋根の上に大量の雪が載っていた場合はどうなるのかなど、心配の声を聞くことがあります。少し調べてみたところ、現在の耐震基準には垂直最深積雪量として、岩見沢市においては1.6メートルを基準とする配慮があると聞いていますが、改めて雪深い時期に地震が発生した場合、既存住宅においてどのような状況が想定されるか、市の見解をお聞かせください。

また、市内には旧耐震基準の住宅も多く、岩見沢市地域防災計画を見ても、建築物の防災対策の項目の中で、市は、岩見沢市耐震改修促進計画に基づき、現行の建築基準法に規定される耐震性能を有さない既存建築物の耐震診断及び耐震改修を促進するため、リフォームセミナー等の開催やパンフレット等を活用して耐震改修の必要性等について普及啓発を図るほか、建築関係団体と連携して住民の問合せに応じられる体制を整備するとともに、指導及び助言等を行うものとすると記載があります。この現行の建築基準法に規定される耐震基準を有しない既存建築物は、北海道の推計では一戸建てと共同住宅を合わせて22万9,000件に上ると言われています。岩見沢市内においてはどれぐらいの数になるのか、お伺いをいたします。また、現在、木造住宅耐震改修等助成制度を実施しております。札幌市が行う無料耐震診断には年間600件以上の利用があると言われていますが、岩見沢市内において耐震診断の利用件数と耐震化率について御教示ください。

また、実際に耐震基準に達しないものの、改修や建て替えに要する多額の費用を捻出することができず、対策ができない方は、札幌市でも、年間600件程度の耐震診断を受けるという中で、市の補助を受けて耐震改修を実施するのは年間10件程度にとどまるようです。恐らく岩見沢市も同様の傾向があると思われますが、その場合、耐震改修未実施の住宅について注意啓発等はなされているのかどうかお聞かせください。

今年、岩見沢市は、開庁140年、市制施行80年を迎えます。三笠の幌内から小樽手宮港まで石炭を運搬するため、日本で3番目の早さで敷かれた官営幌内鉄道、そのフラグステーションとして明治17年8月に岩見沢に駅ができ、翌9月に山口県や鳥取県等からの士族移住が始まり、その翌月の10月に岩見沢村が開村したと聞いております。地域にとってその歩みとなる歴史は、とても大切なものです。人間は自分自身の記憶があることによって、それをアイディンティティーとして取り込み、自分自身が誰であるかを確認できると言われます。それは人間のみならず、地域にとっても同じではないかと感じるところです。そのためには、地域の歩んできた記憶、出来事を記録し、節目節目を通し、できるだけ多くの市民の皆さんと共有することが、地域愛の醸成、ひいてはシビックプライドにつながるものと考えます。よって私は、この開庁140年、市制施行80周年という節目を大事にしていきたいと考える一人です。これは当時、岩見沢百年史編さん事務局の事務局職員としても名を連ねていた松野市長も同様のお考えかと想像をするところであります。

そこでお伺いをします。近年、市史に関するものは昭和60年3月に発行した岩見沢百年史以降は、今から20年前、岩見沢開基120年、市制施行60周年記念として岩見沢市市史資料室から発行された「岩見沢市のおいたちと発展の歴史 ふるさと山口・鳥取からの旅立ち」という士族移住の理由と経路をテーマにした冊子以降、特段作成されていないのではないかと認識をしています。市町村合併から早いもので17年がたとうとしています。今回の140年に当たり、何か新たなものを発行する計画はないのでしょうか、お聞かせください。

また、この節目に対し市政方針でも、創立100周年の節目を迎える北海道教育大学岩見沢校と連携し、市内各所で芸術文化、スポーツに係る記念イベントを集中的に開催するとともに、大学の持つリソースをまちづくりに生かし、市民との交流や協働を深める取組を進めるとありました。大変すばらしいことと思い、大いに期待するところでもあります。そこで現在、どのようなことが検討されているのか、お聞かせください。

また、前述の市民との交流や協働を深める取組の中には、市民が共に祝うという気持ちが含まれると思いますが、市民が市民の手で何か独自に記念イベント等を催していくという方向性は、市民とともに創る持続可能で自立したまちという重点分野にも合致することと思われます。そこで、官民それぞれ主催の催し等に関し、共通のロゴマークなどをつくり活用してもらう等の仕組みは検討されていませんでしょうか。また、冠を共有するなど連携できる余地はあるのでしょうか、お聞かせください。

最後に、教育行政について、教育長にお伺いをいたします。
まずは、部活動の地域移行についてです。昨年度の市内中学校において、サッカー部のある学校で中体連大会に単独出場したのは9校のうち2校。野球では2校が市外の学校との合同チームを編成したと聞いております。今後は、ますます学校単独で多くの人数を必要とする部活動の継続が困難になること、また、教員の勤務体制等の課題解決も含め、部活動の地域移行が求められていると認識しています。また、本市においては、北海道教育大学岩見沢校がそのリソースを生かし、積極的に実証事業を行うなど、大変ありがたい環境下にあります。

そこでお伺いをいたしますが、現状において部活動の地域移行はどのような見通しになっておられるか。また、生徒が拠点に集まることになるため、別途移動手段が必要となってきます。道北の士別市では、昨年、保護者が働いている時間が対象となる送りの部分を主として、コロナ臨時交付金を活用し、乗車ポイント等を定めた、いわゆる乗合タクシー、習い事応援タクシーの実証実験が行われました。実験結果は非常に好評であったと聞いておりますが、改めて岩見沢市教育委員会において、この移動手段に関する課題をどう捉えられているか、お聞かせください。

令和7年度に岩見沢東高校と岩見沢西高校が統合するに当たり、市内各校のそれぞれの特色がますます重要視されてくることと思います。そこで、岩見沢市立の緑陵高校としては、教育長からの教育行政方針にもあったように、普通科、情報コミュニケーション科の併設校という特色を生かして生徒の興味関心に応え、多様な進路希望をかなえる教育課程を編成・実施し、将来の自己実現に向けた資質・能力を育成するとありますが、もう少し詳しく教育長の考える緑陵高校の強みや魅力、今後の目指すべき姿についてお聞かせをください。

令和4年8月に公開された北海道ヤングケアラーに関する実態調査・小学生、大学生、小学校に対する調査によれば、小学生の回答率が29%と少ないものの、そのうちの4.7%が自分が世話をしている家族がいると回答をしています。小学生の場合は、その対象が主に兄弟で67.1%、祖母16.7%、母11.2%と続きます。その世話をする頻度も、ほぼ毎日が約半数を占め、自分の自由になれる時間が取れない、友達と遊べないことがあるなどと回答をしています。その反面、特に影響を感じないという回答が46%と高く、世話をしていることそのものが誰かに相談するほどの悩みではないと認識している子が大半という結果が出ています。とはいえ、その78%が誰にも相談した経験がなく、中には家族以外の人に相談するような悩みではない、相談しても状況が変わるとは思わない、相談した相手を困らせたくない、誰に相談するのがよいのか分からないなどという回答が続きます。これは兄弟同士で下の子を世話するという昔ながらのポジティブな視点と、そうではなく、やむを得ず家族のために自分の時間を犠牲にするなどの深刻な事態も含まれると想像できます。それらを踏まえ、小学校に対する調査では、ヤングケアラーという言葉を知っており学校として意識して対応しているが61.5%、言葉は知っているが学校として特別な対応をしていないが38.2%という回答になっており、まだまだ万全ではない様子が見て取れます。さらに、現在及び過去にヤングケアラーと思われる子供はいなかったと回答した学校が76%という回答結果もあり、実は学校側で気づけていないのではないかという懸念も生じます。

そこでお伺いをいたします。学校現場は多忙で大変な状況であると認識をしておりますが、やはりヤングケアラーの実態としては学校が一番把握できる機会であると認識をしております。よって、岩見沢市内の学校において、ヤングケアラーの実態を把握されているでしょうか。把握されている場合、その対応についてはどのようにされているか、お聞かせください。

以上、代表質問といたします。

○議長(篠原藤雄君) 市長。

◎市長(松野哲君) 〔登壇〕 平野議員の代表質問にお答えをいたします。
初めに、令和5年度予算編成についてのお尋ねでございます。
市の財政状況は、歳入の面においては地方交付税をはじめとする一般財源の減少により、厳しさを増す一方、地域を取り巻く課題は多様化、複雑化しており、人口減少や少子高齢化に加え、Society5.0時代への対応や脱炭素社会の形成、ウィズコロナへの安定的な移行といった新たな取組が求められております。

そのような中で編成した令和5年度予算の基本的な考え方でございますが、これまでと同様に総合計画における6つの基本目標を重点分野と位置づけた上で、第2期総合戦略の事業展開に引き続き予算を重点的に配分したほか、当面する課題への対応と各施策のバランスに留意しながら、施策の質、量、スピードを特に意識しており、中でも新年度におきましては地域の未来に資する取組として、DXとGX、子ども・子育て支援の3点を重視したところでございます。

DXにおきましては、行政手続のスマート化の一環として、書かない窓口からステップアップしたオンライン申請への拡充や、健康ポイントの若年層への普及促進と機能拡張に対応するスマートフォンアプリの導入、スマート技術やデータ解析の活用により、地域農業の競争力強化を図る農業DXの推進などに取り組んでまいります。

また、GXの分野では、北村地区において温泉付随ガスや太陽光による発電エネルギーを、EV自動運転バス等に活用する地産地消・自立型地域エネルギーシステムの実証や、太陽光発電システム導入支援の拡充、環境保全型農業の推進などに係る予算を計上したところでございます。さらに、子ども・子育て支援につきましては、子ども・子育て広場えみふるにおけるワンストップの相談支援や保育料の負担軽減など、これまでもきめ細やかな取組を進めてまいりましたが、新年度においては、子供の入院・通院に係る医療費の助成対象を高校生世代まで拡大することや、不妊治療費助成のさらなる拡充、伴走型相談支援による相談体制の充実と経済的支援の一体的な実施、学校給食費の据置きによる保護者負担の軽減などに取り組み、生まれる前から切れ目なく、子供が健やかに成長し、安心して子育てができる環境づくりをさらに進めてまいりたいと考えております。


これらの事業につきましては、新年度における取組の一端でございますが、施策全般を通じまして、市政の大きな目標である市民生活の質の向上と地域経済の活性化の実現に向けて、必要な予算を確保できたものと考えているところでございます。

一方で、一般財源の減少や物価高騰の影響により、財源の確保はさらに厳しさを増しており、財政調整基金から繰入れを行ったところではありますが、新たな中長期財政計画において掲げる収支均衡予算に向けて、繰入額を前年度から4.1億円圧縮するなど、厳しい財政状況下にあっても選択と集中の視点に立ち、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドを進め、持続可能な財政運営の確立に取り組んだところでございます。

次に、行政改革大綱についての御質問でございます。
私が、市長就任直後に着手し、翌平成25年に策定した行政改革大綱につきましては、最終年となる今年度において、実行計画である中長期財政計画及び職員定員管理計画とともに、これまでの取組の総括と次期計画の策定を進めてきたところでございます。

行政改革大綱に掲げた2つの基本方針に沿って、この10年間の取組の一端を申し上げますと、基本方針の1点目の成果を意識した効率的・効果的な行政運営におきましては、平成30年に第6期岩見沢市総合計画を策定し、市の政策全般において6つの基本目標から成る32の施策体系を再構築した上で、毎年度の予算編成及び事業の執行に反映させるとともに、市民意識調査や外部評価を取り入れた行政評価システムを導入し、PDCAサイクルに基づく進行管理を確立したところでございます。

また、公共施設の適正配置については、平成28年に策定した公共施設等総合管理計画における数値目標に基づき、30年間で30%の床面積削減に取り組むとともに、調理所の集約や文向台衛生センターの廃止に係るMICS事業、栗沢市民センターの整備といった施設の再編を積極的に進め、維持管理コストの削減とともに機能の充実を図ってまいりました。

基本方針の2点目の市民満足度を重視した行政サービスの向上においては、岩見沢市まちづくり基本条例を制定し、市民と行政が共通認識を持って、相互の連携・補完・協力を図り、共にまちづくりを担う基盤を整備したところでございます。また、スマート・デジタル自治体、窓口のスマート化の一環として導入した書かない窓口では、市民にとっての利便性の向上と行政事務の効率化が図られているものと考えております。

来年度からスタートする次期行政改革大綱につきましては、これまでの取組や成果を継承しつつ、人口減少や少子高齢化に伴い、将来的に財政規模の縮小や職員数の減少が見込まれる中にあっても、行政サービスをさらに高めていくとともに、DXやGXといった大きな社会変革にも的確に対応していけることを念頭に、未来のあるべき姿を起点に考えるバックキャスティングの手法により、策定を進めてまいりました。その中で重要な要素の一つといたしましては、行政運営の根幹となる、先見性を持って政策を立案し、推進できる職員力であり、引き続き、計画的な育成等を通じた資質の向上と意識改革に取り組むとともに、限られた人員を必要な業務に投下できるよう、デジタル技術やアウトソーシングをバランスよく組み合わせた効率的な体制の構築など、組織マネジメントの強化を図ってまいりたいと考えております。

次に、中長期財政計画についてのお尋ねでございます。
平成25年度に策定した現行の中長期財政計画におきましては、10年間の計画期間で見込んだ130億円という収支不足に対し、財源の確保においては、市税等の収納率の向上や、合併まちづくり基金を活用した事業の実施、ごみ処理の有料化、ふるさと応援寄附の活用など、また、歳出削減の取組においては、公共施設の統廃合や公債費負担の平準化などを進めたことにより、収支不足を15億円にまで圧縮し、115億円の改善が図られたところでございます。加えて、人口減少下にあっても市税収入が堅調に推移したことや、消費増税による地方消費税交付金の増加、交付税算定の見直し等により歳入が想定を上回るなど、安定した財政基盤を維持できたことも、大きな要因と捉えております。

以上の総括を踏まえて取りまとめた次期中長期財政計画におきましても、10年間で122億円の収支不足が生じるものと試算したところであり、その解消を図るため、受益者負担の適正化や未利用資産の有効活用などにより、引き続き財源の確保に努めるとともに、事務事業のスクラップ・アンド・ビルドや公共施設の統廃合などにより、物件費、維持補修費を中心とした歳出の削減に取り組むこととしております。しかしながら、これまで大きな成果を上げてきた財源の確保においては、今後さらなる伸びを見込むには限界があることから、実際には歳出側での取組が中心となりますが、近年の物価高騰による影響に加え、老朽化が進む施設の更新や維持管理経費といった増加要因も多く、歳出の削減をより一層進める必要があるものと考えております。とりわけ、老朽化した公共施設を今後も全て更新し続けることは財政的に困難であることや、維持管理経費についても、指定管理施設の運営に係る委託料が年間約12億円、庁舍や学校といった直営施設に係る燃料費、光熱水費が年間約8億円に上り、既に財政を相当圧迫している現状を踏まえますと、公共施設マネジメントによる施設の統廃合や用途廃止により、施設の総量削減を加速させていくことが、特に重要になるものと考えております。次期計画におきましては、持続可能な財政運営のあるべき姿として、単年度収支の均衡による収支不足の解消と、将来に負担を先送りすることのない安定した財政運営の確立を目指すこととしており、大変厳しい目標ではありますが、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

次に、病院事業会計への繰出金でございますが、中長期財政計画では、病院経営に対する従来からの繰出金を年12億円程度見込んでいるほか、新病院建設については、昨年9月に策定した新病院建設基本計画と整合を図り、病院事業会計において借り入れる企業債の元利償還金に対する繰出金を総務省が定める基準に従い計上しております。中長期財政計画の素案でもお示しをしておりますように、令和8年度から計上される新病院に係る繰出金は令和14年度までの合計で約58億円と試算しており、企業債の償還に対応して推移するため、ピークとなる令和12年度から14年度にかけて年間で約13億円程度となり、以後は減少していくものと見込んでおります。

次に、会計年度任用職員や派遣職員の近年の人数の推移についての御質問でございます。
初めに、会計年度任用職員の人数につきまして、病院と消防を除く人数で申し上げますと、令和2年度は416人、令和3年度は425人、令和4年度は426人となっており、ほぼ横ばいで推移しております。また、派遣職員につきましては、新型コロナウイルスワクチン接種業務や各種選挙期日前投票事務、特別定額給付金の申請受付や支給事務などに活用しており、人数につきましては、令和2年度は33人、令和3年度は42人、令和4年度は41人となっており、令和3年度と令和4年度においては、ワクチン接種業務に派遣職員を活用したことにより増加しているところでございます。

次に、今後の傾向についてのお尋ねでございます。厳しい財政状況の中、職員数の削減に取り組み、かつ、さらなる業務の高度化や市民ニーズの多様化に対応し、市民サービスの向上を進めていくためには、職員が担うべき業務とRPAなどのデジタル技術や会計年度任用職員、業務委託等を活用したアウトソーシングなど、職員でなくても担うことができる業務に分類し、かかる費用や時間も考慮した中で業務分担の最適化を図り、職員が幅広く業務に従事する体制から政策立案や方針の決定、高度な知識が必要となる人的サービスなど、非定型的で専門性の高い分野に集中する体制への転換が必要と考えており、会計年度任用職員や派遣職員による業務の遂行については、現状程度で推移するものと予想しております。

次に、新型コロナウイルス感染症についての御質問でございます。
初めに、これまでの対応、取組についてのお尋ねでございます。
令和元年12月に中国で最初の新型コロナウイルスの感染者が報告されてから、瞬く間に全世界へ感染が拡大し、我が国におきましても、アルファ株、デルタ株、オミクロン株の3種類の流行株が蔓延し、感染拡大の波が第8波まで繰り返されてきました。市では、令和2年1月28日に道内で初めて感染者が確認されて以来、翌月の2月3日に新型コロナウイルス感染症対策連絡会議を設置し、2月22日には新型コロナウイルス感染症対策本部へ移行させ、これまで81回に及ぶ会議を開催し、感染症への対応や様々な対策を行ってまいりました。


これまで3年間にわたる主な対応、取組等を申し上げますと、感染防止等につきましては、広報いわみざわへ令和2年6月号からこれまで関連記事を毎月掲載したほか、ホームページ、SNS、デジタルサイネージなど様々な手段を用いて、感染状況や感染の拡大が懸念される時期ごとに、私からのメッセージや市独自のチラシを28回にわたり作成し、周知、啓発に努めるとともに、北海道が担っている感染者の健康観察やクラスターへの対応にも協力してまいりました。
さらに、高齢者福祉センターや各小中学校、保育所における施設の換気対策として、空調設備の整備を行ってまいりました。

また、新型コロナワクチンの接種に当たりましては、当初から高齢者、障害者、妊婦、子供に配慮した案内や予約体制を整え、本年2月末までに2万1,000件を超える相談や問合せにも親切丁寧に対応したほか、医師会、薬剤師会、歯科医師会と連携し、令和3年4月の接種開始時から個別接種、集団接種及び大規模接種を組み合わせた接種体制の構築により、本年2月末現在で総接種回数は26万1,000回を超え、国、道の接種率を上回る結果となっており、日本全体ではワクチンの接種とともに大幅に重症者や致死率が低下し、オミクロン株の弱毒化と相まって、今後の新型コロナウイルス感染症対応を転換させるきっかけとなったところでございます。

経済対策及び市民の生活支援につきましては、令和2年度、3年度決算及び令和4年度見込みの合計で申し上げますと、経済対策では、コロナ対策資金の融資153件、約17億8,000万円、飲食店や宿泊業等への経営サポート給付金、延べ4,468件、約5億9,000万円などの事業者への直接支援のほか、地域応援クーポン券やプレミアム商品券の発行等による消費喚起策に約14億3,000万円、宿泊料金等を支援するザワ割による観光誘客促進策に約1,400万円など、様々な経済対策を実施し、市内事業者の事業継続及び雇用の確保や誘客の促進を図ってまいりました。

また、市民の生活支援では、全ての世帯を対象とした給付金、約80億2,000万円や子育て世帯、独り親世帯、低所得者世帯に対する給付金、約35億2,000万円、高齢者・障害者世帯への商品券の支給、約1億4,000万円、全世帯、事業者を対象とした水道料金の一部減免、約2億円など、様々な世帯等を対象に切れ目のない支援を行ってまいりました。なお、これらの対応や対策へは、関係機関・団体の協力はもとより、通常業務に加え、限られた期間でスピード感を持って実施しなければならないことから、市の職員が全庁体制で連携協力して取り組んでまいりました。

学校教育につきましては、感染リスクの低減と学びの保障を両輪として、換気や手指消毒など基本的な感染対策を丁寧に行うとともに、GIGAスクール構想により整備されたタブレット端末を最大限活用し、双方向型のオンライン授業や学習アプリの活用など、コロナ禍以前には想定できなかった方法で学びの保障に取り組みました。

また、市立総合病院におきましては、感染症病床の増床や発熱外来の設置など、南空知医療圏で唯一の第二種感染症指定医療機関としての責務をしっかり果たしてまいりました。

これまでの取組を総括いたしますと、過去に経験したことのない感染症への対応、市民の生命と健康を守るための対策に取り組み、経済、生活支援の両立といった難しい判断や取組の変更を迫られることが幾度となくあり、また、度重なる外出や移動の自粛による消費マインドの低下、飲食店への休業・営業時間の短縮要請やイベント中止による人流の減少など、市内経済に大きな影響がありましたが、様々な関係機関・団体と連携し、知恵を出し合い乗り越え、ウィズコロナへの橋渡しができたものと考えております。

次に、ウィズコロナに向けた取組についてのお尋ねでございます。
本年5月8日から、感染症法上の位置づけが2類からインフルエンザと同じ5類へ変更されます。変更後の感染症対策は、行動制限などの法律上の根拠がなくなることから、個人がリスクに応じて選択する自主的な判断が中心となります。しかしながら、位置づけの変更により新型コロナウイルス感染症の特徴が変わるわけではないことから、今後も感染拡大が生じ得ることを想定しつつ、市では当面の間、重症化リスクが高い高齢者等を守るなど、周囲への配慮を重点に、個人の選択を尊重しつつ、位置づけ変更後の流行レベルをなるべく低く抑えていくため、必要な対策を講じてまいります。

また、市の新型コロナウイルス感染症対策本部は5月7日付で廃止をし、その後は必要に応じて新型コロナウイルス感染症対策連絡会議を開催し、引き続きウィズコロナに向けた対策等を推進してまいります。

また、市民への新型コロナワクチン接種につきましては、4月以降も引き続き公費負担による接種が継続される方針が国から示されており、今後、国からの通知があり次第、接種体制を整え、実施をしてまいります。医療提供体制につきましては、国が今月上旬をめどに決定するとしている段階的移行の方針や北海道が4月中に策定する移行計画に基づき、岩見沢市医師会など関係機関と連携し、5類移行後の体制を構築してまいります。
 

さらには、今回の新型コロナウイルス感染症の対応を踏まえ、昨年12月に改正された感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律等の一部を改正する法律に基づき、今後も市民の生命や健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症の発生及び蔓延等に備え、必要な措置を講じてまいります。

また、経済面では、人流や消費マインドの回復による市内経済の活性化に期待しているところですが、依然エネルギーや原材料価格高騰の影響が幅広い業種に及んでいることから、引き続き国等の動向や市内経済の状況を注視しながら、必要な対策を実施してまいります。今後におきましても、新型コロナウイルス感染症の影響が少しずつ解消され、市民が日常を取り戻すことができるよう取り組んでまいります。

次に、デジタル技術の活用推進についてであります。
令和2年12月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針では、デジタルの活用により、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会、誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化を社会ビジョンとし、また、デジタル技術を用いた行政サービスの変革、いわゆる自治体DXの推進に向けて昨年6月に閣議決定されたデジタル社会の実現に向けた重点計画においても、全国どこでも誰もが便利で快適に暮らせる社会を目指すこととしております。このような社会ビジョンの実現に当たっては、住民に最も身近な行政を担う自治体の役割が極めて重要とされており、当市における窓口業務のスマート化は、社会ビジョンを具現化するための大切な取組の一つと捉えております。

そこで、窓口業務のスマート化について、職員数の変化や人材の有効活用、業務効率化、利用される市民にとって期待される効果についての御質問でございます。現在、窓口業務を担当する職員の総数は従来と変わらないものの、受付窓口数をシステム導入前の5か所から7か所に拡充し、待合時間の短縮などサービスの質の向上を図っております。このように窓口業務のスマート化をはじめとする自治体DXの目的は、デジタル技術やデータを活用し、サービスを利用する側である市民の利便性向上に加え、サービスを提供する側としても、RPAやAI等を用いて業務の効率化を図り、限られた人的リソースを最大限に生かしながら、行政サービスのさらなる向上を目指すものであります。つまり、単にデジタル技術を導入することが目的ではなく、業務本来が持つ目的達成に向け、既存の組織や制度を抜本的に見直し、業務フローや組織管理、情報システム等をデザインし直すこと、BPR、ビジネスプロセス・リエンジニアリングの具体化が重要となるものであり、費用対効果等の分析も並行しながら、引き続き行政サービス全体の最適化・高度化を図ってまいりたいと考えております。

なお、窓口業務のスマート化のさらなる展開により期待される効果でありますが、対象とする手続の拡張により来庁時の利便性向上が図られるとともに、既に市外への転出届や子育て・介護手続など一部で供用開始しておりますが、来庁することなく24時間365日、いつでもどこからでも手続が可能となるなど、デジタル社会時代に即した市民サービス環境が具現化していくものと期待しております。

次に、ビッグデータ及びオープンデータの推進についてでございます。
初めに、ビッグデータ活用の取組についてでございます。Society5.0社会を迎える現在、例えば気象情報や道路交通情報は、観測装置により取得できる情報を集積・ビッグデータ化し解析した上で配信されているほか、インターネット等を通じて送られてくる広告情報については、検索履歴情報などを基とした利用者の嗜好に関するビッグデータを解析した上で、マーケティング情報として提供されるなど、日常生活や経済活動をはじめ、様々なサービスの背景にビッグデータ活用が進められております。

現在の当市におけるビッグデータの取組でありますが、市内13か所に設置する市民気象システムにて収集するデータをビッグデータ化し、農業気象サービスとして病害虫発生予測など生産者が必要とする情報を提供しているほか、北海道大学と協調し展開中であるCOI、COI-NEXTにおいて、診療や投薬、健診情報等に加え、血圧や食事など日々の健康情報を収集・解析し、健康サポートに活用する健康データプラットフォームの開発を進めているところであります。

次に、オープンデータの充実や活用イメージについてでございます。オープンデータは、行政が保有するデータを機械判読に適したデータ形式とし、営利目的も含め二次利用できるルールにて公開するものであり、オープンデータを推進することによって、官民連携による課題解決をはじめ、地域経済の活性化にも寄与するものと期待をしております。岩見沢市からも委員として参画中である北海道Society5.0推進会議においても、令和7年度までに全道全ての自治体でオープンデータが社会実装するよう、活用促進に向けた議論がなされております。

当市の状況につきましては、公開中の4つのオープンデータに加え、オープンデータの活用促進に向け、データの案内や横断的検索を可能とするオープンデータのカタログサイトの構築を進めているほか、現在、データを所管する職員の理解の醸成や保有データの洗い出しなどを進めております。先ほど御説明したデジタル社会の実現に向けた改革の基本方針の社会ビジョンである、一人一人のニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会の具現化には、ビッグデータを用いた行政サービスの効率化・最適化が不可欠であり、さらには、官民連携による新たな市民サービスを創出するためにも、オープンデータが重要になると捉え、その社会実装の具現化に向けて取組を加速させてまいります。

次に、ゼロカーボンシティに向けた取組についてであります。脱炭素社会を目指すに当たり、GXの推進は必要不可欠であると考えており、これまで市では、市役所本庁舎のZEB化や、太陽光発電設備の導入、温泉付随ガスを活用したエネルギーシステムの構築、ICTを活用したスマート農業などに取り組んでまいりました。そこで、どのようなアプローチでGXの取組を推進していくのかとのお尋ねでございます。現在策定している岩見沢市地球温暖化防止実行計画(区域施策編)の中で、地域脱炭素化に向けた対策として、3つの取組を重点的に進めてまいります。1つ目は、住宅の省エネルギー化でございます。ZEH等省エネルギー住宅の普及啓発や自家消費型太陽光発電に対する支援の強化等により、家庭部門の脱炭素化を図ってまいります。2つ目は、公共施設の脱炭素化でございます。公共施設の新築、改築の際は省エネルギー性能の高い建築物、ZEB相当を目指し、既存施設に関しては、省エネ設備への更新や照明のLED化、太陽光発電等の導入による省エネと再エネの両輪で公共施設の脱炭素化に取り組んでまいります。3つ目は、農業分野における脱炭素化でございます。北海道大学やNTTグループと連携し、引き続きICTを活用したスマート農業に取り組み、下水道汚泥の肥料利用などの取組と併せて環境負荷の低減につながる農業の脱炭素化を進めてまいります。
 

次に、各種再生可能エネルギーに対応する調和・規制を目的とした条例の検討についてのお尋ねでございます。平成24年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されたのを契機に太陽光発電の普及が進んでおりますが、全国的に土砂流出や濁水の発生、景観への影響、動植物の生息・生育環境の悪化などの問題が散見されております。現在、岩見沢市は、太陽光発電設置事業者等からの問合せの際には、関係法令や国のガイドラインを遵守するとともに、地域住民に対して設置計画の説明や合意形成を図るよう、指導しているところでございます。今後、脱炭素社会に向けて、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー施設の設置が拡大するものと考えられます。全国市長会では、発電事業者への事業計画作成時の地域住民に対する説明の義務づけや防災、環境・景観保全等に係る関係自治体の意見を反映させる制度の創設など、必要な法整備を行うよう国へ要請していることを踏まえ、国や北海道、他市町村の動向を注視しつつ、条例やガイドライン制定の必要性について引き続き検討してまいりたいと考えております。

次に、住宅施策についてのお尋ねでございます。
初めに、積雪期における耐震に関する見解についてでございます。住宅及び多数の者が利用する建築物の耐震性の向上に努め、市民の生命、財産を守ることを目的として、平成21年に岩見沢市耐震改修促進計画を策定し、平成30年と令和4年に見直しを行いながら、建築物の耐震化に取り組んでまいりました。この計画では、市内の建物被害について、最大震度6強の地震を想定し、夏期と冬期に分けて推測値の算定を行っており、その結果では、積雪の影響により冬期に建物被害が最大となり、全壊棟数で約1,300棟、夏期に比べ約1,000棟増えると推計しております。ただし、これは当市において想定される最大震度のケースで算出しているものであり、例えば震度5強であれば、冬期でも全壊の家屋はほとんど増えないと想定されております。

次に、現行耐震基準を有しない既存建築物の数についてであります。令和3年1月の固定資産家屋データ等に基づく市内の戸建て住宅や共同住宅等の総数3万7,640戸のうち、建築基準法上、旧耐震基準とされる昭和56年以前に建築された住宅が1万2,014戸となっております。しかし、昭和56年以前に建築された住宅でも約半数は新耐震基準を満たすという北海道が調査した統計的な実績を用い、当該計画では約6,000戸を耐震性が不十分な住宅と推計しております。

次に、市内における耐震診断の利用件数と耐震化率についてであります。当市では、平成28年に創設した木造住宅耐震改修等助成制度により、旧耐震基準で建築された木造住宅に対し、耐震診断をはじめ耐震改修や除却費用の一部を助成しており、現在までの耐震診断に係る制度の利用件数は5件となっております。また、耐震改修促進計画で推計しております当市の耐震化率につきましては、令和2年度で84.2%となっております。

次に、耐震改修未実施の住宅への注意喚起についてでございます。耐震性が不十分な約6,000戸の住宅につきましては、あくまで推計上の数値であり、住戸を特定していないことから、直接、注意啓発をすることは難しいのですが、これまでの建築関係団体と連携した木造住宅耐震改修等助成制度の内容を中心とした広報に加え、岩見沢市耐震改修促進計画に掲載している地震の揺れやすさマップや地域建物危険度マップなどを活用した周知も行ってまいりたいと考えております。

次に、開庁140年、市制施行80周年を迎えるに当たり、今年度の取組についての御質問でございます。市史に関する新たな発行物についてのお尋ねでございますが、平成18年の市町村合併から17年がたち、市としての一体感の醸成につなげ、また、将来を担う次の世代に歴史的な資料を継承するためにも、記念になるものを残していくことは意義があるものと認識しております。そのため、北村支所に設置している市史資料室においては、岩見沢、北村、栗沢に関する歴史的な資料や市史に関する資料を集め、分類整理に取り組んでおります。新たな発行物の予定はありませんが、市史に関する企画として、広報いわみざわの4月号から、これまでの郷土の歩みや郷土に関わりの深い人物、出来事などをシリーズで12回連載する予定でございます。また、各地域の産業、文化、教育などを取り上げた写真パネル展をまなみーるにおいて開催し、時期は9月下旬から10月当初を予定しておりますが、市民の皆様に楽しみながら郷土の歩みを知っていただき、学んでいただく機会を設けたいと考えております。こうした広報紙の企画やパネル展を通じて、市民の皆様と情報を共有するとともに、関係機関や郷土史を研究されている方々の御意見や御協力をいただきながら、将来のしかるべき節目に向けて、市史発行を検討していきたいと考えております。

また、令和4年度から、市史資料室と教育委員会の図書館、郷土科学館の3者が連携し、それぞれが所有する地域資料について収集・整理並びに活用方法について検討する場を設けております。今年の周年事業を契機に、こうした場を通して地域資料の収集・保存の在り方や活用方法について、さらに検討を加え、市史編さんに向けた環境を整えてまいりたいと考えております。

次に、記念イベントについてのお尋ねでございます。本年は、教育大学岩見沢校との連携により取り組んでまいりました芸術文化・スポーツのまちづくりを象徴する試みとして、関係団体や卒業生の皆さん等の御協力もいただきながら、美術展や演奏会、健康づくりやスポーツに関連した複数のイベントを、9月から10月にかけて市民会館やi-BOX、大学構内など、市内各所で開催することを予定し、現在、大学や教育委員会と詳細について協議を進めております。

お尋ねのありましたロゴマークにつきましても、市だけではなく大学との共同で使用できるデザインをコンセプトとして、教育大学の学生が主体となって制作が進められており、完成後は、ポスターやパンフレット、プログラムやホームページ等への掲載をはじめ、あらゆる機会を捉えて芸術文化・スポーツのまちに向けた地域全体の機運醸成や、市内外への発信に活用してまいりたいと考えております。また、企業や団体等でのロゴマークの使用につきましても、周年記念の冠を付した協賛行事等の実施条件とともに、検討を進めているところでございます。

以上でございます。

○議長(篠原藤雄君) 教育長。

◎教育長(吉永洋君) 〔登壇〕 平野議員の代表質問にお答えいたします。
部活動の地域移行についてです。
学校部活動は、生徒のスポーツや文化芸術に親しむ機会を確保し、達成感の獲得、学習意欲の向上、自主性の育成などに寄与するとともに、異年齢との交流の中で人間関係を構築したり、生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めたりするなど、教育的意義の高い活動として大きな役割を担ってきました。近年、少子化による生徒数の減少が進み、学校に設置される部活動が少なくなっていることや、希望する活動に参加できないなどの様々な課題が顕著となっており、国においては、生徒のスポーツや文化芸術活動に継続して親しむ機会を確保するため、学校部活動を地域クラブ活動へ移行する方針を示しております。

そこで、本市における現在の見通しについてですが、平野議員のお話にもありましたように、これまで北海道教育大学岩見沢校と連携した実証事業のほか、各中学校の部活動の状況把握、部活動に携わる教員との意見交換などに取り組んでまいりました。しかしながら、全ての部活動について具体的な見通しを立てるには至っておらず、今後も試行錯誤を繰り返しながらの取組になりますが、次年度は、サッカーや剣道で拠点校方式の活動に取り組むほか、他の活動についても地域クラブ活動への移行を想定した実証を行いたいと考えております。

次に、子供たちの移動手段についてのお尋ねです。今後の部活動の在り方を考えますと、拠点校方式など、在籍校以外での活動が見込まれますので、生徒の安全な移動手段については大きな課題であると認識しております。今年度の教育大学との事業においても、バスやタクシーを借り上げて生徒の移動手段とする実証が行われましたが、費用面での課題も大きく、さらなる検証が必要なことから、次年度のサッカーと剣道の活動については、保護者の送迎を想定しているところであります。今後、各地で様々な取組が進められると思われますので、他都市の事例も参考にしながら、生徒の安全な移動手段の検討を進めてまいります。

次に、緑陵高等学校の強みや魅力、今後の目指すべき姿についてです。
緑陵高校といえば、部活動や学校行事など、生徒の主体的な活動が活発であり、楽しく活力ある高校というイメージを持たれている方が多く、そのイメージこそが緑陵高校の強みであり、魅力であると考えています。また、情報コミュニケーション科には、リアルタイムで動画配信可能な情報処理教室や、様々なデジタルコンテンツが制作できる道内最高クラスの環境が整っております。そうした教育環境のほか、情報教育に精通した教員が多数配置されていることを生かし、普通科、情報コミュニケーション科ともに生徒のICT活用能力の育成が図られていることが、2つの学科を併置する緑陵高校の強みであり、魅力につながっているものと考えています。具体的には、令和4年度から始まった1人1台のタブレット端末利用を機に、各教科の課題や資料のデータ配信、グーグルフォームを使って生徒からの質問に答える取組、教員が制作した解説動画の配信など、先駆的な学校DXに取り組んでいます。

今後について申し上げますと、普通科では、総合的な探求をはじめとして、生徒が主体的に取り組む授業への改善に努めます。情報コミュニケーション科では、デジタルコンテンツの作成やネットワークの活用・管理なども含む情報技術教育にさらに重きを置くなど、両学科とも今まさに社会が求めている生徒の主体性や実行力、課題解決力等の資質・能力を育成し、生涯にわたって生き生きと活躍できる人材を送り出すことを目指してまいります。

最後に、ヤングケアラーの実態把握についてです。
初めに、学校による把握についてのお尋ねです。教育委員会では、令和3年度から年に1回、実態調査を実施しております。市内の小中学校と緑陵高校の教員を対象とし、ヤングケアラーと思われる子供がいるか、その可能性も含め、該当する子供の状況や学校生活について調査を行っております。その結果、令和3年度は11校で17名、令和4年度が10校で18名の事案が確認され、兄弟の世話・送迎が最も多く、遅刻や授業中の居眠り、忘れ物が多いなど、学校生活に支障が出ていることが分かりました。これらの事案については、教員による小まめな電話連絡や家庭訪問を行うほか、スクールカウンセラーとの定期的な面談を行うなど、見守りが行われており、教育支援センターや要保護児童対策地域協議会と情報共有しております。

次に、学校及び教育委員会の対応についてのお尋ねです。教員がヤングケアラーを把握した場合、教育相談による支援が主となりますが、この問題は、家庭全体に課題があるケースも多く、家庭を支援するという視点が重要となります。このことから、状況に応じ、子育て総合支援センターの家庭相談員が調整役となり、学校や教育支援センター、児童相談所のほか、障害・介護・福祉サービスの担当や事業所などの関係機関が連携し、家庭を支援する体制を整えております。今後におきましても、子供たちが自分の将来に向けて夢や希望を描き続け、自己実現を図られるよう、子供と家庭の支援に努めてまいります。

以上でございます。
 (「終わります」と呼ぶ者あり)

○議長(篠原藤雄君) 平野義文君の代表質問を終わります。

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