桂沢水道企業団議会一般質問について

〈令和7年11月28日投稿〉

11月26日(水)に桂沢水道企業団議会が開催され、そこで、懸念事項をベースに一般質問をしましたので、以下にその要約を掲載します。

今回の前提条件として、構成市全体の人口減少も著しく、将来的に水需要が減る状況にあること、その一方で設備の更新からは逃れられず、今後の経営状況には大きな懸念があること。また、現時点で新浄水場が設置されてからの経営状況は厳しく、令和3年度に料金改定を行ったが、今後も5年ごとに料金を見直すこととしているため、都度の値上げが避けられない状況にあるのではないか?と感じているため、今回はそれらの確認の意をもって、シンプルな一般質問としています。


■一般質問(ラフ原稿)

通告に従い一般質問をいたします。

改めて桂沢水道企業団の課題ということを考えてみると、令和2年12月に策定した「桂沢水道企業団水道事業ビジョン」にもあるとおり「持続」「強靭」「安全」という枠組みの中で、どう課題を解決しながら、今後の未来を描いていくか、ということに他ならないのだろうと思います。そのような観点から、少し質問をさせていただきます。

企業団では令和3年度に2部料金制を含む料金改定を実施しましたが、新浄水場稼働に伴う減価償却費の増加などにより、令和4年度以降は経常収支比率が100%を下回り、令和5年度には約6,500万円の純損失を計上しています。さらに、令和7年度予算では1億円を超える収益的収支差額(赤字)を見込んでいます。

中長期的に人口減少等で水需要の減少が避けられない状況下、管路等各種更新事業や耐震化事業における投資費⽤を確保した上で、健全な財政運営を持続させるための具体的な方針が求められますが、これは現在顕著に影響がでている物価高騰などの悪影響もあり、水道事業ビジョンを策定した令和2年当時と比べると、更に難易度が上がっていることと思います。

そこで、、

(1)経営収支の改善に向けた料金戦略と将来への展望についてお伺いします。

公営企業会計の原則である料金収入を基本とする健全な財政運営を維持するため、今後、料金の適正化をどのような頻度、あるいはタイミングで行う計画になっているか、計画上では令和3年度の見直しの後、5年ごとして、次は令和8年度に供給単価を見直しという記載もあったかと思いますが、改めて中長期的な財政計画を踏まえた見通しについてお聞かせください。

水道事業ビジョンにおいては、「供給収益以外の収入に関する研究」として、将来的な水需要減による供給収益の減少が見込まれる中で、費用縮減、特定財源の確保などに務めるとともに、資金による利息以外にも収入を得る方策の研究などが掲げられています。先日稼働したマイクロ水力発電もこのような意識のひとつかと想像するところですが、改めて、料金改定に過度に依存しない経営効率化に関する展望や進捗状況を伺います。

    次に、(2)基幹管路の強靭化についてお伺いいたします。

    本年1月に策定した「上下水道耐震化計画」では、今後約30年間で耐震化を図る計画になっていて、特に令和11年度までの5年間を初期の重点期間とし、被災時の影響が極めて大きい「急所施設」の中から、耐震性能がない浄水池および1号導水管の非耐震区間の対策を最優先としています。

    そこで以下についてお伺いいたします。

    1.送水管耐震適合率が令和5年度末で39%であり、令和11年度末時点での耐震化目標値が40%と、今後直近では約1%しか手をかけられないこととなっています。これは限られた予算の中で、計画的な優先度を設けてのことと十分理解をしていますが、長期的なリスクを抱え続けていくことになるのも事実です。そこで万が一、大規模地震発生時における水道用水供給停止のリスクに対する評価と、構成市への影響をどのようにシミュレーションされているかお聞かせください。


    ◆ 答弁(要約メモ)

    ● (1)-1 料金改定の頻度・タイミングについて

    水道料金の算定期間は、日本水道協会の基準で「3~5年」が目安。
    企業団では「5年ごとに見直す」と決めており、次の料金改定は令和8年度に向けて構成市と協議中

    ● (1)-2 経営効率化や収入確保について

    ・浄水場の運転効率化により、薬品や電力の使用量削減に努めている。
    ・国庫補助の活用、構成市からの業務受託(水質検査等)、 マイクロ水力発電の売電収益など、収入源の多様化にも取り組んでいる。
    ・ただし施設の維持・更新費など固定費が多く、大幅な削減は困難であり、人口減少で水需要と収入が減る見込みのため、料金改定で収入確保が必要と考えている。

    ● (2)-1 大規模地震時の影響想定

    ・石狩低地東縁断層帯主部において地震が発生したことに伴う被害想定のシミュレーションを実施。導・送水管は通常は1条であるが、当企業団では2系統化されておりリスクは軽減されていると考える。
    ・地震のみならず大規模災害時においても取水から浄水処理まで確実に行い、給水車などにより構成市へ水を供給できることを最優先する。


    答弁から気になった点としては、公式な再質問とはしていませんが、料金改定において例えば経常収支比率や料金回収率など、何かしらの財政指標が大きく下振れした場合、その指標が一定の水準に達した場合には、5年周期を待たずに料金改定を検討するトリガーを設定しているのかどうか。という部分も気になっており、耐震化についてはBCPの定義づけ等にも確認が必要かと思っています。

    これらはまた別の機会にて確認してみようかと考えています。

    いずれにせよ、こういった水道事業等は、通常の市ごとの一般財政とは異なり、なかなか表立って見えるものでないながら、将来的にかなり厳しい財政状況が想定され、今回、久々に桂沢水道企業団議会の議員として参加することとなったので色々と勉強しながら、少しでも懸念を解消できるように務めていきたいと思っています。

    また何かあれば紹介させていただきます。