部活動地域移行の岩見沢モデルを考えるフォーラム(岩見沢JC主催)に参加して

〈令和5年11月6日投稿〉

先ほど、表題のとおり(一社)岩見沢青年会議所主催で「部活動の地域移行」を考えるフォーラムがありました。このテーマは少子化が進む環境下、既に時間的猶予の少ない重要なテーマでもあり、先日、会派の視察でも白岡市の先進事例を学ばせてもらったところでした。

さて、自身の備忘録も兼ねて記録しておくと、今回のフォーラムの参加者は前段として基調講演に3名が登壇。(この投稿においては、あくまでその場でのメモ書きが主となっていますので、言葉の聞き間違いや発信者からの発言の捉え方、理解に誤りがある可能性があることをご了承ください)

◇山本理人氏 国立大学法人北海道教育大学岩見沢校 キャンパス長

◇杉原 賢氏 岩見沢市教育委員会学校教育課 部活動コーディネーター

◇石塚大輔氏 スポーツデータバンク株式会社 代表取締役

というそれぞれの立場で実績のあるスペシャリストと称すことができる面々です。


それぞれの基調講演の主旨としては、

◇山本理人氏

そもそも「地域移行」という呼び方に誤解が生じる ⇒ 「部活動を地域に移せば今後の課題解決につながるのか?」決してそうではない。また、教師の働き方の解決をテーマにすると本筋からズレていく。これらは手段の目的化につながってしまう。

経産省の「未来のブカツ」ビジョン

上記「未来のブカツ」ビジョンの中でも3つの課題が明確になっている(リンク先P41)。
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/chiiki_sports_club/pdf/20220928_1.pdf

山本理人キャンパス長いわく

要するにこれらは「部活動の問題」ではなく、地域のスポーツ、文化活動の課題である。

という言葉に事の重大さを認識することができます。


◇杉原賢氏

令和4年度の出生数は空知全体で1,035名、南空知で544名となる。その中で岩見沢市の出生数はわずか287名。

下記画像にもある通り、平成18年度は市内小学校は15校で小1は737名、現在の令和5年の小1が476名、令和4年に生まれた子が小1になる令和11年は、今後変化がないと仮定すれば287名となる。まさに激減。

すでに中学校の部活動は学校体験格差が発生しており、進学する学校で存在する部活動が異なり、やりたい種目が存在しないことが多々。

例えば陸上部に入ろうとすれば、市内中学校9校のうち存在するのは光陵中のみ。野球は5校しかなく更に9名以上揃うのは3校のみ。学校間格差でいえば、光陵中は運動部は拠点校方式も含めると11種目から選ぶことができ、少ない学校では1種目のみや2種目の中から選ぶという状況になっている。

これは運動系のみならず文科系も同様で、すでに岩見沢市内から合唱部がなくなってしまっている。

ちなみに、中学校の教職員数は9校で159名(校長、教頭、事務除く)となり、うち41歳以上が73%、40歳以下は27%。現在部活動に関わっている教員は運動部110名、文化部41名の151名で、専門的に指導ができる割合はわずか39%にとどまり、現在の手当として平日はボランティア、休日は1日3時間以内で2700円という現状では今後も積極的にかかわれる教員数は減る一方と思われる。

これら学校体験格差をなくすためにも、学校現場はもう限界を迎えていることが言える。

しかし、子ども達には「熱中できるものを見つけて取り組んでほしい」そんな環境を何とか整えていかなくてはならない。


◇石塚大輔氏

人材、財源、管理が主な課題である。

沖縄県うるま市ではいち早く2017年から検討を重ね、現在進行形で充実が図られている。

まず最初は学校現場等のアンケートを実施し不足している部分の洗い出しを行った。その後、足りない部分へ外部指導者を充てるなどを実施。具体的な課題である建物管理の鍵の課題はスマートキー等で解決やスケジュール管理もICTでクリアできる。問題は財源。これは企業版ふるさと納税や部活動応援基金、チャリティー基金などを実施し、大きな成果を上げている。

という話が印象的でありました。


また、後段のトークセッションにおいても、既存の学校管理下の部活動と、同じく既存の学校管理下外の領域があり、それぞれが元々ある同志の重複する部分を考慮しながら新しい活動の仕組みをつくることが必要と明確化されていました。

トークセッションで印象的だったのは「学校の部活がそっくり地域に移行するわけではない。形を変え、お互いに責任を負いながらお互いに同じ船に乗る意識で仕組みをつくっていかなくてはならない」という旨の言葉。

子どもたちの芸術文化、スポーツ環境の向上のためにも、これまで横の連携はあったものの、小、中、高という縦の連携はなかなか存在しなかった。その様な連携も行いつつ、「今後、岩見沢のスポーツ・文化環境は大丈夫なのか?」という課題を多くの人と共有していかなくてはならない。という締めくくりであったと思います。


と、ざっくりさわりだけの記載になりますが、改めて自分なりの考えを記しておくと、日本国内の人口減少と少子高齢化は著しく難しい課題を孕み、既に学校現場では部活動が維持できないなど明確なネガティブ要素が露呈しています。これらを何とかしていかなくてはなりませんが、何をするにも財源が必要であり、今後、乏しい財源と人材でクリアしていくのは益々難しいことと認識しています。

なぜなら学校現場のみならず、国内あらゆる自治体において、様々な要素で同じように財源と人材の不足が課題となっている状況下、それらをどうやって優先度を定めていけるか・・・。ただし教育というのは社会において最優先しなければならない領域であり、この部活動は様々な感情起伏、経験を通し、人間としての幅を持たせ、まさに人生を豊かに過ごすための大事な能力を育むものだと思っています。当然、それは部活動以外でも可能ですが、経済格差も強まる昨今において、どのような経済状況の子においても同様の経験を担保できる環境づくりは重要です。

様々な課題が複雑に絡み合い、容易な解決が叶わない現代社会において、今すぐに明確に答えが出るような状況にはありませんが、私たちは子どもたちが健やかに逞しく育つ環境は何よりも優先しなくてはならないのだろうと思わずにはいられません。

そのためにも、まずは部活動においてはどのような手法、どのような仕組みが良いのか。

しっかりと見定めていけたらと思っています。


最後に、後輩にあたる(一社)岩見沢青年会議所の例会としてのフォーラムでしたが、テーマ、人選、進行等含め、とても良い内容でした。改めてこのような機会をいただいたことに感謝いたします。

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